介護に足りないのは理解と情報だと介護作家・ブロガーの工藤広伸さんから学ぶ

介護って当事者になるまで何も準備ができないのに、突然、発生する事態だと耳にします。

出産・育児とは違い、タイミングもゴールも見えないのが介護の話。

制度や考え方などを丁寧に教えてくれる1冊に出会いましたので、ご紹介させていただきます。

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高齢者が増えた日本社会には介護は重要なのはわかっているけど

私の子供の頃と比べると、街中に、介護関連のデイサービス、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)などが増えました。

自宅外での介護サービスが増えているのは、それだけ需要ニーズが存在するからです。

それだけに、介護問題を考えなければいけないのに、どうしても当事者になるまで、後回しになるのはなぜなのでしょうか。

75歳以上の要介護者が増えているということは

平成29年版高齢社会白書(全体版) – 内閣府 より

介護保険制度を利用して、要介護又は要支援の認定を受けた人は、着実に増えています。

もちろん、制度を利用していない要介護者もいることを考えると、日本の中で介護問題は人口構成からして、団塊世代がこのゾーンに入った場合、大変な社会を迎えるのは想像ができる。

でも、誰にとっても、当事者にならない限り、他人事になっています。

育児休暇と同様に介護休暇の制度がある企業は増えていても、実際の利用率は数%程度。

75歳以上の介護を抱える家族は、中高年の働き盛り、自身も家族を抱えているので余裕がありません。

日本人の平均寿命と健康寿命のギャップが8〜13年ほどあります。

つまり、高齢者が自立した生活が厳しくなる期間が約10年程度。

この期間を本人だけでなく、周りでどうやってサポートしていくのか、メインとなるのは家族ではありますが、個人で支えるには負担が大きいのです。

親の介護は子供の果たすべき役割?祖母の介護をした叔母の話

介護作家・ブロガーの工藤広伸さんは、遠距離介護、在宅介護、介護離職などのご自身の経験を積極的に発信しています。

今回、日本実業出版社様から献本を受けて、『ムリなくできる親の介護 使える制度は使う、頼れる人に頼る、便利なツールは試す!』という一冊に出会いました。

私自身、介護を経験していません。

ですが、祖母を介護する叔母を長年見てきました。長くなりますが、しばらくお付き合いください。

祖母は、60歳で脳出血を起こして、長期間、入院とリハビリをしていました。当時は、まだ若かったので、意欲も元気もあり、1日も早く回復できるように頑張って過ごした結果、左半身の軽めの麻痺が残る程度で、日常生活に復帰できました。

その後、年齢を重ねて、80代になると、やはり体力も衰え、薬を飲む量も増えていき、一人で全ての生活をするのが厳しくなりました。介護制度での「要支援」の分類に該当していたと思われます。(当時は制度設計がないため、判断がつかず)

祖母と叔母は、親子ですから、一緒に暮らしていましたが、徐々に、認知症傾向が出てきてからは大変でした。お互いの会話がかみ合わず、数々のトラブルが続きます。

今考えると、叔母のストレスは大変なもので、一人で家事、介護をこなしていた苦労を思うと、心が痛みます。

必死に介護をしていた叔母の体調がおかしいと周囲が気が付いた時、進行していた大腸ガンを患っていることが発覚。

叔母の兄弟たちは、健康診断に行かなかった叔母を責めましたが、日常の介護に追われて、自分のことに時間を割けていなかったのです。

検査・手術の甲斐もなく、叔母は闘病生活1年少々でこの世を去りました。

その期間、祖母は、他の家族や公的介護サービスを受けて、過ごしていましたが、叔母の死を理解していなかったようです。

叔母の人生の後半10年以上は、祖母(叔母にとっては母親)の介護に明け暮れたわけです。

QOLが低くなっていたのは、叔母だったと思います。

翌年、祖母も亡くなりました。

祖母は、亡くなる少し前に、叔母がいないことを何度か口にしていたそうです。

当事者に近い私とは言えども、やるせない思いが残りました。

デイサービスや訪問介護、ヘルパーさんの力も借りていたのです。

高齢な祖母は、認知症と半身マヒで、障がい者認定もされていましたから、本来、在宅介護メインには無理があったのかもしれません。

可愛がっていた犬が祖母の癒しでもあったので、在宅介護を優先したことは間違っていません。

介護は家族のことだから情報をオープンにしにくいけど、必要な人は結構いる

育児と介護はセットで語られますが、明らかに異なるポイントがあります。

育児は、期間の予測がつきます。赤ん坊から小学校入学までとすれば、6年程度。しかも、徐々に自分でできることが増えるので、成長の過程で負担は減ります。

介護は、スタートしてゴールまでの期間がわかりません。また、年々、老いは進むので負担は増えることはあっても、減ることは考えにくいものです。

著者の工藤さんは、突如訪れた遠距離介護からスタートして、様々な経験を経ています。

介護カフェで、様々な介護者と接点を持つことや、ケアマネジャーとの信頼関係を作る重要性。

介護離職後の自身の生活と、金銭の話。

介護サービス提供事業の関係者や自治体などの公的機関からの情報は増えてますが、リアルな体験者の発信しているものは少ないのが現状。

ママ・パパの育児ブログは多くても、工藤さんのような介護ブログは少なく、注目されにくいのではないでしょうか。

工藤さんの『ムリなくできる親の介護 使える制度は使う、頼れる人に頼る、便利なツールは試す!』を読むと、介護とどう向き合いながら、生きていけば良いのかのヒントをもらえます。

個人の介護の話も、掘り下げていけば、同じような経験を迎える人の役に立つのです。

どこまでオープンにできるのか、という判断は必要ですが、介護経験ブログ・書籍、講演会、動画などは増えてくれると嬉しいですね。

まだ、介護なんて関係ないとは思わず、いつかやってくる日のために予習をしておきませんか?

オススメの一冊です。

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投稿者プロフィール

安斎 輝夫
【サードプレイス】ブロガー 、安斎輝夫。長年サラリーマンとして家庭と職場だけの生活に疑問を持ち、2017年から「サードプレイス」を研究・実践し、人と人をつなぐコネクターな存在になろうと決める。
Expand your life with energy and support. というミッションを定めて、人生を一緒に拡張していける仲間を増やすために活動を展開。月1回のリアルなイベント「サードプレイス・ラボ」の運営するリーダー(主宰者)。また、6人で執筆する、週刊「仲間と一緒にワクワクしながら、大人が本当の夢を叶える!サードプレイス・メルマガ」(まぐまぐ)の編集長。Facebookページおよびグループの「サードプレイス・ラボ」も運営中。