子どもや学生にキャリア教育を学ばせる先に考えられるリスクとは

キャリア教育の重要性は語られるようになって久しいです。

あなたの周りの若者の一定割合では、自分のキャリアをどう作っていくのか、真剣に考えて、具体的なアクションをしている人もいるでしょう。

では、キャリアデザイン、キャリア教育は万能なのか、と問われると、リスクがある点を無視できません。

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キャリア教育とは何か?

文科省のホームページによると、キャリア教育について以下の2点を挙げています。

・人が生涯の中で様々な役割を果たす過程で、自らの役割の価値や自分との関係を見いだしていく連なりや積み重ねが、「キャリア」であるとされています。

・一人一人の社会的・職業的自立に向け、必要な基盤となる能力や態度を育てることを通して、キャリア発達を促す教育が「キャリア教育」です。

非常に立派なものだと感じます。おそらく、ミドル・シニアの皆さんは、ご自身が受けてこなかった教育だけに、時代の変化を感じていらっしゃるでしょう。

キャリアは教育によって身につけられるものなのか?

ここで、私が違和感を感じるのは、キャリアは教育だけで身につけられるとは言えないのではないか、という問題提起です。

もちろん、自己分析を行ったり、社会を知り、自分に最適な職業は何か、を見出すというアプローチに間違いはありません。

果たして、キャリアは、職業を決めることで全てが完結するのか、という疑問があります。

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いろいろな職業(広い定義で、会社、社会などを含む)を知り、自分にとって興味と適性がある分野に進もうと考えることは正しいのです。

では、キャリア教育を受けた若者たちは、自分の職業を決めて長らく、その分野で活躍している人と、そうでない人、どちらが多いのか、という問題を意識してみたことはあるのでしょうか。

キャリア教育を施された世代は、今、世の中で何らかの職業について働いていくようになっています。

資格を取得しなければなれない、法曹界、教員、医師などを除けば、若者には無限の可能性があります。

一方で、本人の適性があるのか、その職業、分野への伸びしろがあり、成長が可能なのかという判断は、結果論でしか分かりません。

どんなに学業が優秀で、専門的知識を学生時代に身につけても、その職業がなくなってしまう、もしくは、本人の興味が移ってしまえば、取り組んできたキャリア教育はリセットされます。

だからこそ、中高年世代をターゲットに「リスキリング」という方向性まで、政府が打ち出したのではないでしょうか。

キャリアは画一的ではなく、適時変化していくものだから、習慣化が望ましい

キャリア教育によって、自身がチャレンジしてみたい職業に辿り着けたとします。

では、そのまま順調にキャリアを積み上げて、ハッピーに生きていけるか、というと疑問が残ります。

例えば、自分がデザイナーとして活躍したいと思い、学び、実績を上げてきたとしても、AIの時代になり、デザインは個人が行わなくても、制作できるように変わってきました。

とすると、AIに負けないデザイナーということは、元々のキャリア教育、キャリアデザインには存在しなかったはずなので、軌道修正が求められてきます。

キャリア教育という言葉だと、学生時代、若者にだけ求められるイメージがつくものの、キャリアデザインとなると、生涯の自らのキャリアをどう作っていくのか、という長いスパンのものに変わっていくのです。

そして、適時、状況や環境、時代によって変化していくしかないということを受け入れていきながら、キャリアを積み上げていく、もしくは、リスキリングしていくことが求められているのです。

つまり、変化を常に受けて、アップデートしていくという思想まで、若者たちが理解できているのか、というと少々疑問を感じます。

国家資格のキャリアコンサルタントが最もキャリアに悩んでいるという話

2016年から国家資格となった「キャリアコンサルタント」は、難関ながら人気資格になっています。

2002年に厚生労働省が5年間で、キャリアコンサルタントを5万人養成する計画を立てたことが起点になっています。

結果として、日本人の働く人たちのキャリアがより良いものになったと言えるでしょうか?

新卒者の短期離職は加速されるばかりで、本人が求めていたキャリア・職業、会社と合わないことを理由に、次の環境に転職していきます。

もちろん、本人の求めるキャリア観が、勤め先企業と合わないという問題も大いにあります。

また、本人との職業の適性の問題も根深いですし、適切な教育・トレーニングを施されているとも言えない環境です。

私の知り合いにも、キャリアコンサルタントの資格を取得した人はいますが、彼らの話す本音が本質を物語っています。

キャリアコンサルタントになったけど、これを職業にして生きていく道が見えない

なんというパラドックスなのか。

相手のキャリアをコンサルティングして導いていくために、専門知識を学び、難しい試験を受けたのに、実際にその資格を活かす道が明確でないと嘆いているのです。

キャリアは変化を伴うから自己判断で取捨選択を!と伝えよう!

キャリアを若いうちから意識することは正しいのは言うまでもない。

何のために、勉強するのか、面倒な手続きやルールを押し付けられるのか、と言う不満を解消できるのが、キャリアと言う「未来図」なのだと思います。

ただ、正直言って、若い頃に描いたキャリアなんていうものは、本人が自らの適性を把握しきれておらず、時代の変化によって何が変わるか予測できないVUCAの時代に、決め込みでやってしまうのは失敗の元につながるのではないでしょうか。

常に、自分のキャリアを考えて、アップデートしていき、変化に柔軟に対応すること。

こういう意味も盛り込んで、キャリア教育、キャリアデザインを促すことを忘れないようにしてください。

後々、彼らから苦情や不満をぶつけられないためにも。

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投稿者プロフィール

安斎 輝夫
【サードプレイス】ブロガー 、安斎輝夫。長年サラリーマンとして家庭と職場だけの生活に疑問を持ち、2017年から「サードプレイス」を研究・実践し、人と人をつなぐコネクターな存在になろうと決める。
Expand your life with energy and support. というミッションを定めて、人生を一緒に拡張していける仲間を増やすために活動を展開。月1回のリアルなイベント「サードプレイス・ラボ」の運営するリーダー(主宰者)。また、6人で執筆する、週刊「仲間と一緒にワクワクしながら、大人が本当の夢を叶える!サードプレイス・メルマガ」(まぐまぐ)の編集長。Facebookページおよびグループの「サードプレイス・ラボ」も運営中。