東日本大震災から10年以上が経過して、映像作品の題材に、あの出来事をベースにドラマを描くものが増えてきました。
映画「護られなかった者たちへ」は、背景に震災後の困窮した人々と、生活保護問題を織り交ぜながら、見事に仕上げられた秀作でした。
佐藤健、阿部寛、清原果耶、倍賞美津子たちの演技が効いていて、目立たないですが、評価されて当然だと感じました。
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大震災で家族と生活を奪われた人たちの現実と生活保護
2011年3月11日の東日本大震災によって、家族と生活を奪われた人は多く、10年以上経過しても、心の傷も癒えていない部分は残っています。
また、あの壊滅的なダメージにより、生活困窮者となり、生活保護を申請して生きなければいけない状況に追い込まれた人が増えたのも事実。
虚偽の申請で、不正受給している人がいるだけに、審査が厳密で厳しくなるのも仕方ない。
それぞれの立場で何を考えて、どうやって生きてきたのかを考えさせられる場面が続く作品を見ると、一部の富裕層以外の大半の国民が苦しんでいる生活の部分を無視できない現実を感じます。
生活困難で餓死をする人もいる日本は、制度で苦しい人たちを救いきれていない
予告編を見ると、不可解な事件の謎を解く、無骨で不器用な刑事役の阿部寛が、加賀恭一郎(東野圭吾の描くミステリーシリーズ)のように錯覚をしそうになります。
今回は、メインではない阿部寛が、控え気味に抑えた出番によって、阿部寛、清原果耶を中心とした若手俳優陣が浮き立つ感じになっていたような気がします。
この作品のキーパーソンは、倍賞美津子が演じる、遠島 けいという老婆(推定80歳)の存在です。
キャラクターのプロフィールを見る限り、年金支給対象にならず、貯金を切り崩して生活しながら暮らす存在。
生活の保護申請をしたものの、受給できない理由があり、彼女が餓死してしまう。
その後、福祉保健事務所の関係者が連続で、餓死するという事件が発生という展開。
メインのストーリーの脇で、生活保護を求めて生きる人たちの日常が垣間見れます。
高級外車を手に入れて不正受給を問われる人物、精神疾患でシングルマザー状態で子どものために塾代を稼いだことがバレて支給を止められそうになる母親。
ベイシックインカム制度を取り入れて、年金も生活保護も関係なくしようという考え方もありますが、果たして、解決するのでしょうか。
原作とは異なるものの、「護られなかった者たち」という言葉に、震災の中で命を落とした人たちと、その関連で苦しんで生活が困窮した人たちなど、さまざまな人が取り込まれたタイトルの意味深さに、心が震えます。
役所の手続き・審査には時間がかかるし、厳しいハードルがある
この作品の前提にある、生活保護で生きる厳しい貧困層の問題を、まともに紐解こうとした映画作品は限られています。
楽しいエンターテイメントでもなく、どうしても暗い雰囲気が漂い、映画の鑑賞者の気持ちを晴れやかにしないので興行的に成功しにくいのだと思います。
実際に、役所の手続き・審査には時間がかかるものが多く、年金受給以上に、生活保護や支援を受けるには苦労が多いと聞きます。
ものすごくハードルが高く、心理的にも、世間様を意識する世代には生活保護を受けることを避けたいと考えるというのは事実です。
偽物の生活困窮者・貧困者でないか調べられて、隙があれば断られ、裏技のような悪徳者は受給を受けるという不公正な仕組み。
もちろん、手続きをする役所側の人間が悪人だったわけでも、意地悪な人物と断定するわけにもいかず、厳格な対応を迫るのは当然のこと。
ただ、その結果、命を絶ったり、餓死する人がいるのであれば、判断の間違いがあるのかもしれません。
マイナンバー制度が確立して、本当の困窮者を支援できるならば
日本で定着していない、マイナンバー制度などが本当に国民100%に対応できていれば、本当の生活困窮者を支援できるのでしょうか。
収入も資産も含めた細かい情報を握られてしまうものの、正確なものであれば、手続きはシンプルになり、困った時に助けられる可能性が生まれます。
ただ、津波も含めた災害時に、大事なマイナンバーカードを紛失してしまうことも考慮に入れなければ意味はありませんが。
結局、本当に困っている人を救えずに、虚偽や悪徳な人に生活保護の費用が流れている部分を防げない限り、この問題は永遠に解決しないのだと思います。
社会福祉や貧困対策はきれいごとでは絶対に済まない!
社会福祉の充実を訴えて、今までも様々な人たちを救おうという取り組みは続いてきました。
100%救えないまま、厳しい生活、人生を送る人たちは日陰にいるため、世の中に知られないままです。
先進国であるはずの日本で、貧困問題があるという不可思議な事実に対して、正面から取り組むには、現場の社会福祉関係者の努力では足りません。
政治的判断による貧困対策も、漏れや抜けがあるでしょう。
一番は、本当に困っている人たちが、しっかりと訴えることができる環境なのではないでしょうか。
連続餓死事件という戦慄な事件の解決を求めるミステリーというよりは、社会問題に対して向き合う映画だったと思います。
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【サードプレイス】ブロガー 、安斎輝夫。長年サラリーマンとして家庭と職場だけの生活に疑問を持ち、2017年から「サードプレイス」を研究・実践し、人と人をつなぐコネクターな存在になろうと決める。
Expand your life with energy and support. というミッションを定めて、人生を一緒に拡張していける仲間を増やすために活動を展開。月1回のリアルなイベント「サードプレイス・ラボ」の運営するリーダー(主宰者)。また、6人で執筆する、週刊「仲間と一緒にワクワクしながら、大人が本当の夢を叶える!サードプレイス・メルマガ」(まぐまぐ)の編集長。Facebookページおよびグループの「サードプレイス・ラボ」も運営中。