異端のデータ&心理学経営者、鈴木敏文さんのセブンイレブン史を読んで、未来を想像してみる

非常識な策で勝ち続けた経営者・鈴木敏文氏の総括を知りたい!

大学生の頃、私は、著名経営者の中で、セブン&アイ・ホールディングス(当時は、株式会社イトーヨーカ堂と株式会社セブン-イレブン・ジャパン社長)の鈴木敏文氏の考え方・スタイルが気になっていた。

就活(就職活動)をしていたのは、私は20世紀の終わり頃。当時は、インターネットで応募するなんて仕組みがないから、基本的には、ハガキで資料請求して、イトーヨーカ堂もセブン・イレブンも応募して、選考していただいた。他の業界・企業にも応募していたので、第一希望とは言わないものの、流通業界のリーダーの会社に惹かれる思いはありました。

両社を受けて内定まで頂いたのは、リアルな鈴木敏文氏に会いたいという気持ちが強くあったことを覚えています。(実際にはお会いできなかったです。)

結果として、流通業界の働き方を見据えて、私は辞退してしまいました。

母方の実家が雑貨屋的な小売店鋪をやっていた記憶や、母親が長年地元スーパーで働いていたため、私には身近な業界ではありましたが、私は消費者側で生きようと決めたのです。

その後も、鈴木敏文氏率いるセブンイレブンの新しい策には驚かされました。他のコンビニよりも日々の売上げが10万円以上高いという話も納得ができるものでした。

常識に縛られない発想力は、データの生き筋と死に筋を見極めることと消費者心理を読むことと、拘り続けるアプローチ。

何度も、本や雑誌のインタビューやコメントなどで目にしてきたものの、第一線を引いた鈴木敏文氏の足跡と考え方を、再理解するために、1冊の本を読みました。

わがセブン秘録』鈴木 敏文, 勝見 明

経営において 、わたしがデ ータを重視し 、心理学的な視点を常に心がけた原点は出版科学研究所で統計学と心理学を猛勉強したことにあります 。

鈴木 敏文, 勝見 明『わがセブン秘録』より

トーハン時代に培われた統計学と心理学を学んだことが「変化対応」に向かって全力で取り組む大前提になっていたのは間違いありません。

単にデ ータを大量に集め 、分析するだけではそのデ ータが出てきた理由がわからず意味がない 。最初に仮説を立て 、その結果を検証するためにデ ータを分析することで初めて意味を持つ 。デ ータはあくまでもツ ールにすぎず 、仮説を立てないビジネスなどあり得ない 。つまり 、デ ータの数字だけでは何の意味も生まれないことを指摘したのです 。

鈴木 敏文, 勝見 明『わがセブン秘録』より

ビックデータと言われる前の時代から、データを元に仮説を立てて、結果重視よりも、未来を予測するというアプローチを続けてこられたことが、成功の要因なのだとわかります。

データ分析者、データサイエンティストたちも、この考え方を理解できないと、結果データからのレポートだけでは価値を生み出すことはできません。

「未来を起点にした発想」と「お客様の立場で」というキーワード

わがセブン秘録』の中で、実は何度も同じ事例が繰り返されます。

正直言えば、しつこいと感じるほどでした。

結局、伝えたいキーワード「未来を起点とした発想」「お客様の立場で」ということを伝えることに終始されていました。

いままでにない状態から 、新しいものを生み出すには 、 「未来を起点にした発想 」が求められる 。そして 、一歩先の未来像を描くときには 、常にお客様を起点にして 「お客様の立場で 」考えなければならない 。

鈴木 敏文, 勝見 明『わがセブン秘録』より

未来を見抜ける人というのは、どんな頭の構造をしているのか不思議に思ってしまう。

過去の延長線上ではなく 、一歩先の未来へとジャンプし 、 「未来を起点にした発想 」 、すなわち 〝跳ぶ発想 〟から生まれたものでした 。

鈴木 敏文, 勝見 明『わがセブン秘録』より

一歩先の未来を見据えて、考えていくことは、楽しくもあるが、なかなか常人では難しい。

だからこそ、鈴木敏文氏が、異端の経営者と言われる所以なのでしょう。

周りが反対したものは成功してきたと言い切る自信に繋がっています。

新しいものを生み出すといっても 、それは何かを創造するというより 、世の中にすでにある多くのもののなかから何かを見いだし 、結びつけてみようという発想をしてきました 。

鈴木 敏文, 勝見 明『わがセブン秘録』より

アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない。

ジェームス・W・ヤング『アイデアのつくり方』より

発想力やアイデアというものは特別なものではなく、何かと何かを組み合わせで生まれるという言葉。

以前、私も「アイデアとは、既存の組み合わせから生まれる!」というブログ記事を書きましたが、鈴木敏文氏もジェームス・W・ヤングと共通しています。アイデア発想の真理なのだと理解できます。

「お客様の立場で 」考えると売り上げが変わる。

鈴木 敏文, 勝見 明『わがセブン秘録』より

「お客様のため」という私都合の目線ではなく、「お客様の立場で」という意識を持つことの重要性を何度も繰り返しています。

単に自分の利益を主張するのではなく 、 「相手の立場で 」考えれば 、相手が納得できる論法も見えてくる 。こちらの都合を押しつけるのではなく 、 「相手の立場で 」発想すれば 、相手の関心を引きつける話し方ができる 。

鈴木 敏文, 勝見 明『わがセブン秘録』より

「相手の立場」という視点を変えることができるかどうかは非常に大きな分かれ目です。
人は、自分の立場や都合を全面に押し出しがちです。それこそが対立の根本になり、争いの火種へとつながります。

私自身も、この「相手の立場」を意識して活動できたことは、ビジネスでも、プライベートでも、もちろん、サードプレイスでも成功しています。

一度始めたら 、あきらめずに挑戦し続ける 。何ごともあきらめたら 、それで終わりです 。挑戦に挑戦を重ねても 、必ずしもすべてが成功するわけではなくても 、失敗を失敗で終わらせなければ成功にいたる 。成功するための最大の方法は 、常にパワ ーを前向きにして 、成功するまで挑戦し続けることです 。

鈴木 敏文, 勝見 明『わがセブン秘録』より

異端の改革を行う経営者は、成功ばかりでは語り尽くせないのが真実に違いありません。

書籍の中では、小さな失敗を何度もというライトな表現ではありますが、実験段階での失敗、商品化後の失敗、施策の狂いは、数知れなかったと思います。

データと顧客心理に加えて、スピードも質も求めていた鈴木敏文流の経営は一つの時代を作りました。

未来の消費者の購買活動は、リアルとネットの融合の中で、どう変わるのだろうか?

私は、セブン&アイ・ホールディングスが押し進める、オムニチャネル「オムニ7」の動き、リアル店舗とネットの融合スタイルの描く未来は、ホールフーズを買収したAmazonとの戦いになると思っています。

リアル店舗に通販コンテンツがあるとか、ECサイトでブレイクした商品がリアル店舗に並ぶというレベルの話ではなく、融合しながら、顧客の都合でリアル店舗とネット売買は繋がっていくのだと想像しています。

もしかしたら、そこに、VR的なものが加わり、実店舗に訪れた感覚で、手に取るような形で商品を選べるようになったり、配送にドローンが使われたり、店員のない無人店舗的なものが増えるのかもしれません。

逆に、パーソナルなコンシェルジュサービス的な要素が切り口を変えて可能性もあるでしょう。

未来の流通・小売りの世界は、どこまで便利になり、顧客の立場や都合を重視してくれるように変わるのか。

そこに既存のスタイルがなくなるのか、進化するのか。不安よりも期待感を持っています。

<鈴木敏文氏の関連本>

created by Rinker
¥1,650 (2024/11/21 19:40:45時点 Amazon調べ-詳細)

毎月開催【サードプレイス・ラボ】

サードプレイス・ラボでは定期的にイベントを開催しております。

★イベント情報★は >>こちら(随時更新)

ご都合が合えば、是非、ご参加いただけると嬉しいです。

関連ブログ記事

[各種SNS]サードプレイス・ラボ

サードプレイス・ラボは各種SNSで情報発信をしております。

是非、フォローやコメント、グループへの参加をお待ちしております。

[週刊]サードプレイス・メルマガ

仲間と一緒にワクワクしながら、大人が本当の夢を叶える!サードプレイス・メルマガ

「まぐまぐ」毎週火曜日発行 月額:800円(税別)※初月無料です!

仲間と一緒に執筆している週刊メルマガです。

メルマガの詳細は こちら をご一読ください。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

【サードプレイス】ブログへのご意見・ご要望・ご相談、ご依頼などは下記まで

 お問い合わせはこちら

投稿者プロフィール

安斎 輝夫
【サードプレイス】ブロガー 、安斎輝夫。長年サラリーマンとして家庭と職場だけの生活に疑問を持ち、2017年から「サードプレイス」を研究・実践し、人と人をつなぐコネクターな存在になろうと決める。
Expand your life with energy and support. というミッションを定めて、人生を一緒に拡張していける仲間を増やすために活動を展開。月1回のリアルなイベント「サードプレイス・ラボ」の運営するリーダー(主宰者)。また、6人で執筆する、週刊「仲間と一緒にワクワクしながら、大人が本当の夢を叶える!サードプレイス・メルマガ」(まぐまぐ)の編集長。Facebookページおよびグループの「サードプレイス・ラボ」も運営中。