シェアハウスに住むのを躊躇したい気持ちにさせる小説を読みました!

偶然、手にして気になった一冊の小説、『シェア 諍い女たちの館』(真梨幸子・著)を読んでみました。

シェアハウスを舞台にして起こる、謎の事件。

時空を越えつつ、最近の事象も盛り込み、先が読めない展開。

吸い込まれるように読み切りました。

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昔なら、下宿、今ならシェアハウス?共同生活は楽しいばかりじゃない!

昭和の時代までなら、貧乏生活、もしくは、地方から出てきた学生が住む場所といえば、下宿というイメージが強い。

今回の作品の舞台は、シェアハウス。共同生活という意味では一緒ですが、作品の中では、異常なまでの狭さと古い環境に、今時の女性が住めるのか?という疑問は残りました。

シェア 諍い女たちの館』についてAmazonの紹介文を転載します。

いわくつき物件にうごめく、わけありのアラフォーたち。
女の業が行きつく結末は――
時はコロナ禍。40歳にして無職、未婚の鹿島穂香は、行き詰まる事態を打開しようと、相続した築73年の家をシェアハウスにする。ところがリフォームで借金を負った上、床下からとんでもないものを見つける。さらに、匿名掲示板「キラキラネームさん集まれ!」の常連で、奇妙なわけありアラフォー女たちがこぞって入居。皆で始めたマスク作りはいつしか持続化給付金詐欺に変わり、相互不信は諍いへと発展。さらには次々と怪死事件が起こり——。

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お金に困った女性陣が住む世界としてのシェアハウス

舞台設定が、コロナ禍という中で、シェアハウスに住むって、ものすごくリスクがある前提だと思いました。

しかも、築年数の古い建物であり、一人当たりのスペースが異常なまでに狭い。

そんなにコンパクトな環境に一緒に他人の女性が楽しく住めるのか、と問うと、疑問しか湧きません。

もちろん、コロナ禍関係なく、お金に困った人たちは、路上生活まで行くのか、生活保護や、何らかの方法を選択するしかないわけで、その一つが、シェアハウスというのは理解できますが。

それにしても、登場人物の名前も、職業も怪しすぎて、異次元な世界でした。

引き込まれるけど、誰が主役なのか掴めない不可解さ

本来、主役であるはずの鹿島穂花が、途中で姿がなくなってしまうと、このストーリーの展開は、どこに行くのか、怪しさ満点で話が進みます。

話をリードする人が伏線関係なく、途中で入り変わり、流れていき、犯罪や赤ん坊の死体などが出てくると、もはやカオスでした。

結果として、リズムに乗ってくると、この先の展開が全く読めないので、興味を持つか、このわからない登場人物たちのローテーションに我慢できないのか、は見解の分かれるところでしょう。

誰が本当の悪なのか、そこに潜むものは何か、女たちの業(ごう)というものが蠢きすぎて、少々、引いてしまうというか、冷静に、客観的に見ると、実世界で関わりたくない面々という印象しか残らないのだと思います。

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シェアハウスにプライバシーはあるのか

そもそも、プライバシーに厳しくなった時代に、シェアハウスで暮らすとなるとどうなのか、という問題はついてくるのは言うまでもありません。

通常のシェアハウスであれば、共有スペース(キッチン・リビングなど)と個室があるので、最低限の共同生活ルールさえ守れば、個人のプライバシーは守れるのでしょう。

ただ、近いところにいるだけに、触れたくない、もしくは、触れられたくない、プライバシーというか、プライベートな部分に他人が隣接しているのは事実。

こういう点にナーバスな人は、シェアハウスでは生活できないと思います。

家主に近い人がいない環境が大半なので(この作品の場合は、家主も一緒に住んでいますが)、トラブルが起きた時の収拾方法とかは、何かと大変そうです。

読後に残ったものは何か

シェア 諍い女たちの館』を読み終えた時点で感想として残ったものといえば、共同生活の難しさと、人生が落ちる・下ってしまうと、どこまでもいってしまう恐ろしさです。

一人一人は、何らかの問題を抱えていても、セーフティな環境、人間関係があれば、この小説の舞台である、シェアハウスに関わることはなかったはずです。

まして、このいわくつきな環境に引き込まれなくても良かったのかと。

ただ、過去の話を盛り込んでいくと、立体的になる部分もあるものの、話が散らかった感は否めなかったです。

少なくとも、自分としては満足度は50%程度の作品でした。

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投稿者プロフィール

安斎 輝夫
安斎 輝夫
【サードプレイス】ブロガー 、安斎輝夫。長年サラリーマンとして家庭と職場だけの生活に疑問を持ち、2017年から「サードプレイス」を研究・実践し、人と人をつなぐコネクターな存在になろうと決める。
Expand your life with energy and support. というミッションを定めて、人生を一緒に拡張していける仲間を増やすために活動を展開。月1回のリアルなイベント「サードプレイス・ラボ」の運営するリーダー(主宰者)。また、6人で執筆する、週刊「仲間と一緒にワクワクしながら、大人が本当の夢を叶える!サードプレイス・メルマガ」(まぐまぐ)の編集長。Facebookページおよびグループの「サードプレイス・ラボ」も運営中。