吉田修一『パレード』読了!若者が2DKに一緒に暮らす物語に潜む不可思議さ

吉田修一作品は、リアルな感覚とスッキリこない部分が悪のボーダーラインの世の中と生写しなのかもしれない

今回、偶然、この1冊を手にとって読んでみました。

吉田修一さんの『パレード (幻冬舎文庫)』は、第15回(2002年) 山本周五郎賞受賞 という響きが私の記憶に残っていました。当時、全く本を読める状況にないほど、猛烈に働いていた私には、スルーをしたままでした。

吉田修一さんの作品としては、映画化された「悪人」の印象が強く残っている。どうにも救われないけど、リアルな現実感を覚えています。(樹木希林さんの演技が強烈な印象を残しています)

ただ、同じく映画化された「怒り」 については、私は、豪華キャストなのに訴えたいポイントが不明で困惑したのを覚えています。

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2002年当時、シェアハウスというものは世の中に存在していなかった。

ただ、若者が1つの空間に一緒に住む姿は、確かに現実にあった。

私の高校時代の友人も仲間数人で1つの場所に暮らしていたから、その姿は想像がつく。

ただ、男女ミックスな状態で恋愛関係などのもめ事もなく、生活できるとしたら、その個人はどんな人間なのだろう。

その疑問を掘り下げるには、十分すぎるぐらい、4人、途中でひとり増えて5人の男女の若者の生き方が生々しさを感じました。

この捉えどころのない、偶然集った若者たちの生活を垣間見せられて、この小説はどこに向かうのか、不可思議でなりませんでした。

楽しいわけでもなく、つまらないわけでもなく、淡々としていて、清濁併せ吞む部分まで伝わってくるので、自分もその場にいる仲間の一員のような錯覚がしました。

ラストに向けて、とんでもない話が入り込み、怖さが出てくるものの、あえてこの話を盛り込む意図はどこにあったのか、タイトルの「パレード」の意味は何なのか、考えても見えてきませんでした。

ただ、この小説の時期から17年経過しているので、彼らも、同じだけの時を経ていたら、中年世代になっています。

どんな人生が、あの物語の後に、紡いでいるのだろうと想像してみたくても、何も浮かびませんでした。

爽快感あふれる小説は、底が浅く感じられるのか、今、少なくなっていますが、ここまで、ライトに個人のキャラクターや生活を見せられると、覗き見をしているような感覚が残り、その気持ち悪さだけは、読了感として、私には快適ではありませんでした。

正直言って、吉田修一さんの小説は、好き嫌いが別れるのは仕方ないと思います。

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投稿者プロフィール

安斎 輝夫
安斎 輝夫
【サードプレイス】ブロガー 、安斎輝夫。長年サラリーマンとして家庭と職場だけの生活に疑問を持ち、2017年から「サードプレイス」を研究・実践し、人と人をつなぐコネクターな存在になろうと決める。
Expand your life with energy and support. というミッションを定めて、人生を一緒に拡張していける仲間を増やすために活動を展開。月1回のリアルなイベント「サードプレイス・ラボ」の運営するリーダー(主宰者)。また、6人で執筆する、週刊「仲間と一緒にワクワクしながら、大人が本当の夢を叶える!サードプレイス・メルマガ」(まぐまぐ)の編集長。Facebookページおよびグループの「サードプレイス・ラボ」も運営中。