東野圭吾氏のミステリーは、いつもながら、深さを感じて楽しく読んでいます。
人物設定において、現在・過去を絡ませる巧みさ、そして登場人物同士の関係性というミステリーの鉄板は不動なだけでなく、理系の世界を盛り込むことで、読者を引き寄せることに成功しています。
今回、書き下ろしされた『危険なビーナス
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大金持ちの一族はミステリーの舞台を彩る存在
今回のストーリーの中で、病院経営をされてきた矢島一族という大金持ちだったファミリーはポイントになります。
確かに、華麗なる一族として、優雅な生活をする人々というのは、一般庶民からすると別世界の人たちです。
そこに絡むのは、複雑な家族構成と人物たち。
この時点で、ミステリーの王道すぎて、ワクワクさせられる設定です。
そこに加えて、連れ子の立場の主人公、獣医の手島伯朗の微妙な背景とキャラクター。
事故か事件で、自らの母親が亡くなり、その夫(義理の父親にならず)が、亡くなりかけようとしている。
「サヴァン症候群」を扱うことで人物設定に奥行きと謎を残す
普通なら、莫大な隠し資産の存在となるだろうに、東野圭吾氏は、映画『レインマン 』にも出てきた設定の「サヴァン症候群」を差し込んできました。(私の好きなドラマ「相棒」でも2度ほど、「サヴァン症候群」の人物をストリーリーに盛り込んでいます。)
「サヴァン症候群」とは、知的障害や発達障害等のある者の内、ごく特定分野に限って優れた能力を発揮する者の症状を指します。
主人公、伯朗の画家だった父親が、脳腫瘍になり、「後天性サヴァン症候群」によって幾何学的な絵を描くようになる。
謎が謎を呼び、その治療に、矢島一族の人物が関わる。
自閉症スペクトラムであるとか、ADHDなど、今、世の中で増えていると言われる疾患の流れに含まれる「サヴァン症候群」を盛り込むことで、ある分野に天才的な能力を発揮することが幸せなのか、というサブテーマも見てくる内容でした。
なぜタイトルが『危険なビーナス』だったのか(ネタバレなし)
その本を読むかどうかの判断は、著者とタイトルがきっかけになります。
『危険なビーナス
突飛な人間関係から主人公のパートナーの女性しかありえない。
どうも、この人物が怪しいというか、不思議な存在であることは間違いない。
ラスト直前に、そういうことだったのかと気付かされます。
なるほど、ミステリーの人物設定と背景をしっかりと組み立てられているから、腹落ちするラストに向かうのだから、東野圭吾氏は、素晴らしい作家だしか言いようがありません。
止まることなく、どんどん先が読みたくなるので、集中して読み切れてしまうので、ミステリー好き以外の方、最近、本を読んでいない方にもオススメできます。
本でなくても、映像作品(ドラマ、映画、DVD)としても展開されているので、どれかは見たことありますよね?
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【サードプレイス】ブロガー 、安斎輝夫。長年サラリーマンとして家庭と職場だけの生活に疑問を持ち、2017年から「サードプレイス」を研究・実践し、人と人をつなぐコネクターな存在になろうと決める。
Expand your life with energy and support. というミッションを定めて、人生を一緒に拡張していける仲間を増やすために活動を展開。月1回のリアルなイベント「サードプレイス・ラボ」の運営するリーダー(主宰者)。また、6人で執筆する、週刊「仲間と一緒にワクワクしながら、大人が本当の夢を叶える!サードプレイス・メルマガ」(まぐまぐ)の編集長。Facebookページおよびグループの「サードプレイス・ラボ」も運営中。