サードプレイスと病気――心身の健康を支える「第三の居場所」の力

病気は誰にでも訪れる人生の転機です。体調を崩すと、仕事や家庭での役割が揺らぎ、孤独感や不安に苛まれることがあります。

そのときに支えとなるのが「サードプレイス」という考え方です。

家庭(ファーストプレイス)、職場(セカンドプレイス)以外にある第三の居場所は、心身の健康維持や回復を促す役割を果たします。

近年の研究でも、社会的つながりを持つことが病気の予防や改善に大きな効果をもたらすことが明らかになっています。

本記事では、データや事例を交えながら、病気とサードプレイスの関係性を探り、どのように活用すれば私たちの生活に役立つのかを考えます。

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なぜ病気とサードプレイスを結びつけるのか

米国の社会学者レイ・オルデンバーグが提唱した「サードプレイス」は、家庭や職場以外に人々が安心して集まれる居場所を指します。

スターバックスのようなカフェが典型例として紹介されますが、地域のコミュニティスペースやオンラインの交流の場も広く含まれます。

病気になると、仕事や家庭での役割を十分に果たせなくなり、孤立を感じやすくなります。そんなとき、サードプレイスは「ありのままの自分でいられる場」として大きな意味を持ちます。

データが示す「社会的つながり」と健康の関係

  • 孤独は病気リスクを高める

    米国ブリガム・ヤング大学のホルト=ランスタッド教授らの研究(2015年)では、社会的孤立が死亡リスクを26%上昇させることが示されました。喫煙や肥満と同程度のリスク要因とされ、WHOも孤独を健康課題として取り上げています。

  • つながりが回復力を高める

    がん患者を対象とした研究(Cohen, 2007)では、支援的な人間関係を持つ患者は、治療への前向きな姿勢が強まり、生活の質(QOL)が向上する傾向が報告されています。

  • 予防医学としてのコミュニティ
    厚生労働省の調査(2018年)によれば、地域活動や趣味のサークルに参加している高齢者は、要介護状態になるリスクが有意に低いことがわかっています。

これらの研究から、病気を抱えた人にとって「サードプレイス=社会的つながりを持てる場」が、単なる気休めではなく、科学的に健康を支える要素であることが見えてきます。

病気を抱える人にとってのサードプレイスの役割

心の支え

病気による不安やストレスは、免疫力を低下させる要因にもなります。安心して話せる場所があることで、精神的安定が回復力につながります。

情報の共有

患者会やオンラインコミュニティでは、同じ病気を経験する人からの実践的な情報を得られます。医師の説明だけでは補えない「生活者の知恵」が、日常生活を支えてくれます。

社会とのつながり維持

病気による離職や休職は、社会からの孤立を招きやすいものです。趣味や学びの場としてのサードプレイスに関わることで、「まだ自分は社会とつながっている」という実感を取り戻せます。

実例とケーススタディ

  • がんサバイバーの交流会

    治療中や治療後の患者同士が集まり、悩みを共有するコミュニティがあります。参加者は「病気の話をしても大丈夫な場所がある安心感」を口にします。

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  • 慢性疾患と趣味サークル
    糖尿病を持つ人がウォーキングクラブに参加する例があります。病気の管理を目的としつつも、仲間との交流が続けるモチベーションになります。

  • オンラインの居場所
    SNSや専用アプリで病気体験を共有するグループも増加中。通院が難しい人でも気軽に参加でき、孤独感を減らす効果があります。

病気予防・健康維持のためのサードプレイス活用

サードプレイスは、病気にかかった後だけでなく、予防や健康維持の観点でも有効です。

  • ストレス解消:気軽な雑談や趣味の時間が心身のストレスを軽減します。

  • 健康習慣の共有:仲間と一緒に運動や食生活改善に取り組むと、継続率が高まります。

  • 孤独の解消:研究では「孤独は1日15本の喫煙に匹敵するリスク」と言われています。サードプレイスは孤独を和らげる最良の仕組みです。

結論――病気とサードプレイスの未来

病気は避けられないものですが、その影響をどう受け止めるかは周囲の環境に左右されます。

サードプレイスは「病気を抱えても孤独にならない」ための社会的な処方箋とも言えるでしょう。

今後、医療や福祉の現場と連携したサードプレイスが増えれば、地域社会における健康支援の新しい形が生まれるはずです。

あなた自身が病気と向き合うとき、また大切な人を支えるときに、ぜひ「サードプレイス」という選択肢を思い出してください。

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投稿者プロフィール

安斎 輝夫
【サードプレイス】ブロガー 、安斎輝夫。長年サラリーマンとして家庭と職場だけの生活に疑問を持ち、2017年から「サードプレイス」を研究・実践し、人と人をつなぐコネクターな存在になろうと決める。
Expand your life with energy and support. というミッションを定めて、人生を一緒に拡張していける仲間を増やすために活動を展開。月1回のリアルなイベント「サードプレイス・ラボ」の運営するリーダー(主宰者)。また、6人で執筆する、週刊「仲間と一緒にワクワクしながら、大人が本当の夢を叶える!サードプレイス・メルマガ」(まぐまぐ)の編集長。Facebookページおよびグループの「サードプレイス・ラボ」も運営中。