【慶応SMD開設10年記念公開講座】ラグビーW杯日本誘致のフロンティアプロジェクトマネジメント 徳増浩司さんの話を聞く

気になる情報や機会はアンテナを貼っていると、突如、目の前にやって来るもの。

今回、読書会の仲間であり、冨岡さんから情報をもらい、慶應SDM開設10年記念公開講座「ラグビーW杯日本誘致のフロンティアプロジェクトマネジメント」に参加してみました。

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ゲストスピーカーの徳増浩司さんの肩書きが気になった!

ラグビーワールドカップ 2019組織委員会 事務総長特別補佐として誘致を支えてきた、徳増浩司(とくますこうじ)さんという存在が気になりました。

2019年11月末に、組織委員会を退職されて、今後、新しいことにチャレンジしようとする、徳増さんは、講演の冒頭で、ラグビーワールドカップの日本対スコットランド戦の黙とうの意味や試合風景を流すことで、参加者の気持ちが高まり、WORLD IN UNION(ワールド・イン・ユニオン)を一緒に歌うというスタートのさせ方。

さすが、世界的イベントを誘致するプレゼンテーションをされてきた徳増さんらしいオープニングだと感じました。

徳増さんの伝えたいメッセージ(結論)は4点

徳増さんが伝えたいメッセージは下記の4点です。

1.自分が「出会った人」を大切にしよう

2.「国際的なアドベンチャー」をやろう

3.「失敗もエンジョイする」つもりでやろう

4.「自分の好きなこと」を大切にしよう

どれも難しくはないですが、1つ1つが大切だと感じました。

さすが冒頭に自分の伝えたいメッセージ(結論)を掲げるなんて、ラグビーワールドカップ を誘致してきた徳増さんらしいと思いました。

自分が「出会った人」を大切にしよう

「もしこの人に出会ってなければ、今の自分はなかったという人は誰かいますか?」

徳増さんは、浜松のおじさんと同室のAndyという二人をあげています。

誰なんだ?この二人は?

お金がない徳増さんに1つだけも私大を受けることを進めて受験料を出してくれた、浜松のおじさんがいなければ、彼はICUに入らず、ラグビーの世界にも、英語力を伸ばして活躍することもなかったのは納得できます。

また、大学時代同室だった、Andyに相談した際に、

「ラグビーは若いうちしかできない、音楽はいつでもできる」

という無責任なまでにシンプルな言葉があったからこそ、彼は、学園紛争時で、崩壊していたラグビー部の再建をすることはなかったに違いありません。

ICU卒業後、福岡で新聞記者になり、クラブチームでラグビーでプレー。

その後、運命的な出来事が起こります。

秩父宮でウェールズの試合を見たことで、25歳の時に海外渡航を決意します。

カーディフ教育大学へ入り(聴講生)、掃除人(アルバイト)の生活、茗渓学園で教員・ラグビーを教え、日本ラグビー協会へ

異文化ウェールズに飛び込んだ、徳増さんは、4つの体験から学びます。

ウェールズでの生活体験

① まず「個人」を大切にする。

② 個性とは「人と違う」こと。

③ 自分の考えをしっかりと伝えること。

④ エンジョイとは「力を出し切る」こと。「夢中になる」こと。

どれも、日本で生活していたら感じない、気がつかないかもしれないこと。

今の時代なら、当たり前のように言われていることに、気付かされます。

ICUで共に、ラグビーをした加納さんからの手紙を受けて、2年の滞在を終えて日本に戻ります。

「茨城県に茗渓学園という学校ができるんだけど、来ないか?」

教員になり、ラグビーを教えるという道を選びます。

自分たちは、自陣からボールを回すようなスタイルでありたい、試合の一瞬一瞬をエンジョイするということを胸に抱きながら。

日本とウェールズの違いは、練習と試合の捉え方にあると語られました。

日本は、練習を重ねた先に、試合がある。(根性論)

ウェールズは、試合のできないところをやるのが練習。それを練習で直すことを繰り返すというスタイル。つまり、試合が先にあるという考え方。

茗渓学園を辞めて、ラグビー協会に入るものの、周りがメージャー大学出身者が多くて辞めようと思っていた。

2003年にワールドカップを日本でやると手を挙げたけど!

徳増さんたちは、とんでもないことを2013年に決意をしてしまいました。

2002年の日韓サッカーワールドカップを目の当たりにして、世界大会のイベントの感動を得て、是非、ラグビーワールドカップ も日本で開催したいという決意。

ラグビーは、素晴らしいスポーツだけど、伝統と歴史の厚い壁がありました。

理事国の投票数26票は、伝統国(創設協会)は2票ずつ、理事協会は1票だけという不公平な関係がありました。

当然のごとく、2011年大会は日本に招致は失敗に終わります。

次に、2009年に、2015年と2019年の同時決定する上で、南アフリカ、イタリア、イングランド、日本の4カ国が立候補。

IRB推薦案は、2015年はイングランド、2019年は日本でした。

反対する協会もあり、投票の結果、16対10で決まったそうです。

この裏には、ニュージランド協会が日本に是非やってもらいたいと思ったことが最後の決定に影響を与えたという裏話をしてくださいました。

ニュージランド協会は、この決定後、協力関係にある南アフリカ協会に謝りに行く道を選んだというエピソード。

駆け引きがありながらも、信頼関係があるのがワールドラグビー協会の世界なのだと知りました。

徳増さんの学んだRelationshipの話

・基本的には「個」と「個」の関係、信頼関係。

・日常的に「関係を耕す(cultivate)」する

・最終的には人間的なつきあい。引き出しの広さ⇨ 人間力

・「相手からどう見られているか」「相手のメリット」を意識する

ラグビーワールドカップ を誘致することで、徳増さんが学んだ4つのエッセンス。

これは、交渉ごとが発生するビジネス、その他の分野で誰もが応用できる考え方ばかりで、参加されている皆さんも、うなづきながら、メモをされていました。

ラグビーワールドカップがなぜ成功したか?

北九州のミクニワールドスタジアムでのウェールズの公開練習に1万5千人が集まる

このミクニの奇跡は、SNSから世界に伝わります。

他国の国家を本気で歌ってくれる日本人はすごい、と驚かされたという話。

日本ラグビー協会が動いたのではなく、北九州のある人が情熱を持ってやったことだと教えて下さいました。

確かに、大会中も試合前の他国の国家をスタジアムに駆けつけた日本人たちは、一生懸命に歌っていた姿は感動的でした。

「こんなことができるのは日本人だったからじゃないでしょうか。」

徳増さんの言葉には、大会を誘致するために全力を注ぎ、その先に起こった奇跡は、偶然ではなく、運命に感じられていた様子が伝わってきました。

大会が成功した要因としては、当然、日本代表の活躍とONE TEAMの存在は欠かせない。

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日本人の“おもてなし精神”とNO SIDEの精神が世界にも伝わった。

日本文化と海外文化の融合が起こした化学変化(マジック)を起こせたことが素晴らしかった。

徳増さんたちが情熱を燃やし続けてきたからこそ、ラグビーワールドカップ2019 日本大会の成功に繋がったのは、よくわかりました。

厚い壁があっても、挫折しても、とにかく前を向いて、粘り強く、夢に向かう姿勢。

ラグビーワールドカップ大会成功の陰の立役者、徳増さんたちの地道な活動から、日本人のポテンシャルと世界の中で、私たちができることは何があるのか、というテーマを与えてくれる、素晴らしい公開講座でした。

徳増浩司 – on Rugby

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投稿者プロフィール

安斎 輝夫
【サードプレイス】ブロガー 、安斎輝夫。長年サラリーマンとして家庭と職場だけの生活に疑問を持ち、2017年から「サードプレイス」を研究・実践し、人と人をつなぐコネクターな存在になろうと決める。
Expand your life with energy and support. というミッションを定めて、人生を一緒に拡張していける仲間を増やすために活動を展開。月1回のリアルなイベント「サードプレイス・ラボ」の運営するリーダー(主宰者)。また、6人で執筆する、週刊「仲間と一緒にワクワクしながら、大人が本当の夢を叶える!サードプレイス・メルマガ」(まぐまぐ)の編集長。Facebookページおよびグループの「サードプレイス・ラボ」も運営中。