内館牧子さんの『老害の人』は暗くならない高齢者エンターテイメント作品でした

お年寄りを大切に、敬うという教育を受けてきた私からすると、いつの間にやら、邪魔者的な扱いをされる高齢者が増えている状況に違和感がある。

内館牧子さんの『老害の人』が話題の本であると聞いて、手に取って読んでみました。

高齢者エンターテイメント作品として楽しめました。

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高齢者は、「老害」と揶揄されるのは仕方ないことなのか

高齢者が組織や社会で、過去の経験や価値観に縛られ、変化を拒否したり、若者の意見を聞き入れなかったりすることで、周囲に悪影響を及ぼす状態や人を指す言葉を「老害」と呼ぶようになって久しい。

人生経験を積み上げてきた彼らを、世の中と合わなくなったから、時代についてこれないから、古い感覚だから、という理由で、「老害」という言葉で揶揄してしまう流れは、なぜ生まれたのだろうか。

彼らは、以前は現役バリバリで、この国の成長を支え、現役世代にバトンを渡して悠々自適に暮らせる存在になっているはずなのに。

もちろん、高齢社会になった日本だから、多数派であるという点は見過ごせないのですが。

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昔の同じ話を何度も繰り返すって、新しい体験・経験が少ないからなのか

老害の人』の主役は、後期高齢者たちとその家族、周囲の人々です。

毎日、新しいチャレンジをしまくる、経験をしまくるということは稀で、昔話を何度も同じ相手に伝えてしまう。

時代錯誤で、過去の栄光とも言える自慢話を繰り返し聞かされる側はたまったもんじゃないのは理解できます。

この物語の後半、彼らは、新しい試み、老人たちによる老人たちの居場所を作る動きに追って、新しい活動に胸を躍らせていきます。

すると、今まで「老害」と指摘された姿が、薄まっていき、イキイキとしている様子が伝わってきます。

体力も含めて落ちてしまうのは高齢者にとっては避けられないもの。

それだけに、どんなふうに生きていくのか、日々を過ごすのかは、現役世代以下には想像が難しいものなのでしょう。

コロナ禍の緊急事態宣言は高齢者にどう受け止められたのか

老害の人』の舞台は、コロナ蔓延の中で、緊急事態宣言を出された、閉塞感だらけのタイミングの話です。

年寄りは、仕事はしていないし、勉強もしていないから、暇な存在だと思うと、影響を受けていないと勘違いしがちです。

当時、友人が亡くなっても、通夜にも葬式にもいけなかったり、重症化して苦しい思いをした人が多いのも、高齢者たち、持病を抱える人たちでした。

そんな時に、テレビを見て家に引き篭もることしかできないと、体力も気力も落ち込んでしまったのは間違いなく、日々の楽しみを失った度合いは、どの年代の人々も等しいのでしょうが、高齢者は暗い気持ちの度合いが高かったのだと推測できます。

彼らは、まもなく迎える人生のゴール、死に向き合わなければならず、周囲の人が一人一人減っていく寂しい日々に無関心ではいられません。

家族に迷惑をかけたくないからと、施設に入る道を選びたくても、金銭的な余裕がなければ難しいもの。

コロナ禍で高齢者が何を考えていたのかは、ワクチン接種に必死になっていた姿を思い出すと、その心情は想像できるのではないでしょうか。

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昔の大人は、今は高齢者

私にしてみれば、親世代、いわゆる、子どもだった頃の大人たちは、皆、高齢者になっています。

時代からして、今よりも厳しい人たちも多かったし、理不尽なこともありました。

彼らは、この国の明るい未来を信じて、頑張ってきただけに、そのリターンとして安心して暮らせる日々を求めているのです。

とは言っても、誰もが笑顔で穏やかなお年寄りになるわけではなく、自分の主張や考え、記憶を持って生きています。

ただ、現役世代から見たら、その感覚は古すぎるし、わかっていない相手だと見下してしまうのかもしれません。

いつか、自分も生きていたら、年寄り、高齢者になってしまうのに、そんな未来のことなんて想像ができないのです。

心身に不調を抱えたり、できることが減るという事実に向き合うのは、残酷なものも含まれるから、当然の話です。

老害の人も生きている、そして、いつかは・・・

明るいエンターテイメント作品になりきれず、だからと言って重々しい作品にならないのは、さすが、内館牧子さんらしいと感じました。

老害の人も、生きてはいるものの、いつかは、この世から去らなければいけない。

生まれてきた以上、最後のゴールは誰にでも訪れる。

いつ、どんなタイミングで訪れるかはわからないとしても、避けることはできない。

不老不死を実現しない限り無理な話なのですから。

では、そのカウントダウンを感じるようになったら、自分はどう生きるべきか、周りとどう関わるべきか、答えは一人一人違ってもいいので、頭の片隅で考え続けておかないといけないでしょう。

決して、エンディングノートや、遺書を準備することではなくて、自分が最後までどう生きたいのか、に向き合えるかどうかなのだと、『老害の人』を読みながら考えさせられました。

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投稿者プロフィール

安斎 輝夫
【サードプレイス】ブロガー 、安斎輝夫。長年サラリーマンとして家庭と職場だけの生活に疑問を持ち、2017年から「サードプレイス」を研究・実践し、人と人をつなぐコネクターな存在になろうと決める。
Expand your life with energy and support. というミッションを定めて、人生を一緒に拡張していける仲間を増やすために活動を展開。月1回のリアルなイベント「サードプレイス・ラボ」の運営するリーダー(主宰者)。また、6人で執筆する、週刊「仲間と一緒にワクワクしながら、大人が本当の夢を叶える!サードプレイス・メルマガ」(まぐまぐ)の編集長。Facebookページおよびグループの「サードプレイス・ラボ」も運営中。