誰かに薦められて本を読むことってありますよね。
今回、私は、某俳優さんがツイートした内容を見て、図書館で本を予約しました。
『世界で一番いのちの短い国 シエラレオネの国境なき医師団』を手に取り、表紙の画像にインパクトを受けて、読み進めてみました。
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「TOKYO MER」喜多見幸太医師を演じる上で、大変参考になった2冊を読む
2021年7−9月という東京オリンピック2020開催中は、地上波ドラマは不定期放送になっていましたが、日曜劇場「TOKYO MER」が視聴率も高い作品でした。
主役・喜多見幸太医師を演じた俳優・鈴木亮平さんがTwitterを見かけました。
2冊の中で、まず、『世界で一番いのちの短い国 シエラレオネの国境なき医師団』(山本敏晴 著)を読んでみました。
国際協力ってキレイなだけでなく、価値観を押し付けちゃ意味がない
2001年に医師の山本敏晴さんが「国境なき医師団」として、シエラレオナ共和国に派遣された半年間について、赤裸々に語った一冊でした。
私だではないと思いますが、シエラレオナ共和国について簡単にまとめてみます。
シエラレオナ共和国はどんな国?
シエラレオネ共和国は、西氏アフリカの西部、大西洋岸に位置する共和制国家。首都はフリータウン。約10年以上続いた内戦とHIVの影響で、現在、世界で11番目に平均寿命が短い国(2020年推定で59.8歳<男性:57.1歳、女性:62.6歳>WHO報告)です。
※『世界で一番いのちの短い国 シエラレオネの国境なき医師団』の2002年では、平均寿命が34歳だったので、18年ほどで大幅に寿命が伸びています。
アフリカ大陸にある国の名前と場所を的確に当てられる人は少ないでしょう。
そして、知る人ぞ知る話題は、シエラレオナ共和国の国旗です。
どこかで見たような気がする3色の並びですよね。
コンビニにファミリーマートの店舗を指し示すカラーと同じです。
山本敏晴さんが派遣された当時の話
遡ること18年前の2002年当時、半年ほど滞在して、医療行為と医療体制を作り上げた山本敏晴さんが語るには、当時は内戦後間もなくであったこともあり、義務教育などの環境がなく、衛生に関する概念も全く存在しないような状況が述べられています。
当然、HIVやマラリアなどの感染症だけでなく、若くして亡くなる人が多いのですから、平均寿命も短いし、早死にするからこそ、多産する国家だったのでしょう。
国内の医師たちは、危険を感じて国外で活動しており、国境なき医師団(MSF)などの国際団体のメンバーが医療分野を支えなければならない状態でした。
彼自身が医師として治療をするにしても、器具や環境、薬などの制限があり、厳しかったのは間違いなく、また、自分が去った後に、大きな病院と診療所の体制を作ることによって、どうにか最低限の医療レベルを上げることには成功できたようです。(平均寿命の上昇が物語っています)
紛争地域や貧困国に行く国際協力は美しいだけでは済まない
なぜ、山本さんがシエラレオネの医療従事体験記のような本を書いたのかといえば、この国の実態を日本人に伝えたいという思いと、国際協力とは何なのか、を問い続けた彼の思いが詰まっています。
国際協力は、先進国の技術や考え方を、後進国に植え付けるような形の国際協力が存在しているというのです。
相手の国や人々を理解せずに、グローバルスタンダードなものを押し付けようとするわけで、強制的な意味での国際協力は、価値観の押し付けだけでは意味がないのではないか、という大きな命題を抱えていたことを最後に語っています。
彼の信念と考えの大事なポイントです。
彼らは長年の文化と風習にあって、全世界のことなんか知らない
世界の中で、アフリカ各国は、文化や文明は遅れていたり、植民地時代によって、部族などの関係を無視した国を構成したために、紛争が長引いた歴史があります。
一方で、アフリカは人類が生まれた地域であり、長年の文化と風習が根付いている地域なのです。
彼らからすれば、インターネットもスマートフォンも生活には全く関係ないものであって(現在のリアルはわかりませんが)、今まで脈々と受け継がれてきています。
つまり、世界全体がどうなっているかなんて、どうでもいいというか、関係ないわけで。
価値観が我々や世界全般の国とは違うのは当然なわけです。
だって、知らなくても生きていけるわけですから。
半年の中で、世界一いのちの短い国「シエラレオネ」に何を残せたのだろう
半年間、山本さんが滞在した日々を読むと、とにかく、長時間働くしかない状況と、食事も衛生的な環境も苦しかったことが伺えます。
普通の感覚の日本人が山の中で仙人のように暮らすよりも、100倍以上大変な生活だったことが伺えました。
彼は、限られた任期の中で、医療行為を自分が行うだけでなく、医療体制と人材の育成という仕組みづくりを成し遂げたことが特筆すべきポイントでした。
識字率も衛生知識も足りない彼らに、現地の言葉で教えていくのは、本当に大変だったと思われますが、2週間休暇で離れていても、医療体制がうまく回ることを実現させたのですから、医師というよりも、プロジェクトリーダーとしての役割を果たしていたことがわかります。
知らない国、日本からきたトシ(山本さんのニックネーム)が、地元の人たちに愛されて去っていく話は印象に残ります。
彼は、命を救うだけでなく、シエラレオナという国の未来を医療体制という分野で現実的なアプローチで改善してくれた立役者だったのではないでしょうか。
世界の知らない事情を知ることには意味がある!
私自身、国境なき医師団 に少額ですが寄付を続けています。
世界中の医療が足りなくて困っている人たちを救おうとする医療従事者たちと薬や環境が必要ならば、少しでも役に立ちたいと思っています。
毎年、レポートが来るたびに、よく知らないアフリカの国々で、医療行為を続けている姿を読み、世界地図を広げて、どこにあるのか確認しています。
世界五大陸と言いながら、大体は北半球の先進国と一部の南半球の国の都合で、世界をまとめてしまおうとしています。
特殊なニュース、例えば、地域紛争や樹徳な病気の感染爆発でも起きない限り、彼らの国の実情を知る機会がありません。
彼らも同じ地球に暮らす人類ですし、かつては、エジプト文明のような先進的な文化も持っていたはずなので、見捨てたり、無視をしてはいけません。
もちろん、山本医師の考え方のように、我々の価値観を押し付けるのも間違っていると感じました。
※ 山本さん自身が立ち上げたNPO法人宇宙船地球号のサイトをみたり、山本さんのブログを見て近況を調べようとしたのですが、2013年以降の最新の情報がないのが残念でなりません。
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【サードプレイス】ブロガー 、安斎輝夫。長年サラリーマンとして家庭と職場だけの生活に疑問を持ち、2017年から「サードプレイス」を研究・実践し、人と人をつなぐコネクターな存在になろうと決める。
Expand your life with energy and support. というミッションを定めて、人生を一緒に拡張していける仲間を増やすために活動を展開。月1回のリアルなイベント「サードプレイス・ラボ」の運営するリーダー(主宰者)。また、6人で執筆する、週刊「仲間と一緒にワクワクしながら、大人が本当の夢を叶える!サードプレイス・メルマガ」(まぐまぐ)の編集長。Facebookページおよびグループの「サードプレイス・ラボ」も運営中。