「このミス」とは、『このミステリーがすごい!』大賞であり、大賞賞金が1,200万円、文庫グランプリ賞金が200万円という、話題の対象です。
本大賞創設の意図は、面白い作品・新しい才能を発掘・育成する新しいシステムを構築することにあります。ミステリー&エンターテインメントの分野で渾身の一作を世に問いたいという人や、自分の作品に関して書評家からアドバイスを受けてみたいという人を、インターネットを通して読者・書評家・編集者と結びつけるのが、この賞です。
ミステリー作家の登竜門とも言えるので、毎年チェックしています。
第21回 文庫グランプリ作品『レモンと殺人鬼』が気になったので、読んでみました。
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正直、探偵も警察も出てこないミステリーって新鮮だった
ミステリー好きな私としては、探偵も警察も出てこない、しかも、明確なコンビなども存在しないミステリーは新鮮でした。
今までの常識的な設定を無視して、主人公の本当の姿を最後の最後まで隠しながら、ストーリーが展開していき、ラストに向けて、意外な顔を魅せるというやり方。
読み終えた時に、なんで?という気持ちが残りました。
とは言っても、二転三転は許せても、この展開は納得できるのか?!
読者を、次の次の展開に引っ張る、ミステリー作家の力量は、読者を引き寄せる力がなければ成立しません。
『レモンと殺人鬼』の場合、どこまでが伏線だったのか、その後、どうなったのか、という疑問を残しつつ、原点に戻っていきます。
果たして、誰が殺人鬼だったのか。
サイコパス的な登場人物のキャラ、しかも、前半では見えない顔が連続して出てくると、意外性はあるものの、どうも不自然に感じました。
正直に言えば、この展開・プロットってあり?というのが私の読了直後の感想でした。
ラストに向けて、登場人物の裏の顔が暴かれていくから(謎があったのか)
ミステリーやドラマにご都合主義的な展開は必要ですし、表の顔と裏の顔、みたいな設定がないと盛り上がらないのは事実。
だけど、裏の顔は潜んでいたと見るべきなのか、読者に隠していたものをラストに向けて、出しまくったのか、で言えば、おそらく後者にしか思えなかった。
解説を書かれた方は、この点を評価していたけれども、私としては、もう少し、この作品の主人公の複雑さを、着ている服など、細かいディテールを増やすことで、立体的にして欲しかったという点が残念に感じたのです。
もう少し、家族関係の真実、姉妹の本当の会話のシーンとか、描き切っておかないと、登場人物が薄っぺらいので、残ってこないまま、最後に暴かれていく感覚は、解せない気持ちが残りました。
例えば、ドラマ「相棒」は最初のCMまでに犯人が出ている!
例えば、長年ファンを抱えながら続いている、ドラマ「相棒」を例に考えてみると、今回の私の違和感が理解してもらえるのかもしれません。
ドラマ「相棒」は、最初のCMまでに必ず犯人となる人物が登場しています。
集中しておけば、誰が犯人なのかと想像力を働かせながら、最後まで楽しめるエンターテイメント作品です。
それと比べると、『レモンと殺人鬼』は、もうちょっと伏線を早めに散りばめてくれないと、どうも前半〜中盤とラストが分離しているような気がしていならなかったのです。
こういう新鮮な感覚を受け入れないといけないのかもしれないが
一方で、私の感覚は鉄板的すぎて退屈のワンパターンだという批判もあると想像している。
これぐらい、隠して、隠して、最後に急激に舵を切るようなストーリーの方が、読者を喜ばせるという理屈もわからなくはない。
とすると、この作品に漂う、新鮮な感覚を私が受けれいなければいけないと、あなたは指摘するのかもしれない。
少なくとも、相手を殺す手段については、もう少し、早い段階で暗示して欲しかったと私は思います。
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【サードプレイス】ブロガー 、安斎輝夫。長年サラリーマンとして家庭と職場だけの生活に疑問を持ち、2017年から「サードプレイス」を研究・実践し、人と人をつなぐコネクターな存在になろうと決める。
Expand your life with energy and support. というミッションを定めて、人生を一緒に拡張していける仲間を増やすために活動を展開。月1回のリアルなイベント「サードプレイス・ラボ」の運営するリーダー(主宰者)。また、6人で執筆する、週刊「仲間と一緒にワクワクしながら、大人が本当の夢を叶える!サードプレイス・メルマガ」(まぐまぐ)の編集長。Facebookページおよびグループの「サードプレイス・ラボ」も運営中。