世の中には「働かない」人がいる。そのことを選択しているならば文句は言えない。
もちろん、「働けない」人というのとは大きな違いがある。
その結果、生きていくのが大変で、苦しい日常を送っているのだとしたら、その人たちの真実を知ることぐらいは、我々も意識してもいいのではないだろうか。
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貧困とは不自由な脳の影響だと!
2015年に脳梗塞を経て、高次脳機能障害となった、ルポライター・文筆業をされている鈴木大介さんの『貧困と脳 「働かない」のではなく「働けない」』というタイトルの一冊が大変気になったので、読んでみました。
貧困とは「
不自由な脳」(脳の認知機能や情報処理機能の低下) で生きる結果として、高確率で陥る二次症状、 もしくは症候群とでも言えるようなものなのだ。
貧困の背景には脳の問題があるというのは見過ごせない内容ではないでしょうか。
読み進めていくと、確かに、脳の問題によって、貧困が引き起こされるというロジックに納得させられるのは、事例に基づいて、鈴木大介さんが丹念にまとめているからです。
貧困になるのは不真面目や、ちゃんとしていないからではない!
日本社会は、中流家庭が多くて、貧困は最近の出来事だという説を信じ込まされていないでしょうか。
確かに、戦後も生活が苦しい、貧しい人たちはいたわけで、結果として、彼らは社会悪に近いところに紛れ込んだり、貧困に落ち込んでしまい、戻る術がなかったという話を読んで納得しました。
彼らは頑張っていた。必死に努力し、足搔き、
それでもできない自分を責めつつ、生き抜こうとしていた。 にもかかわらずその水面下の足搔きは外から見て理解できるもので はなく、 だらしなさや責任感や主体性のなさばかりが目立って感じられ、 必然的に彼らは働く力と場を失い、 貧困へと転がり落ちていたのだ。
なぜ、彼らはちゃんと働かないのだろう、働けないのだろう、という観点こそが間違いで、彼らは、必死にもがいても抜けられないような蟻地獄にハマり、その背景が、脳の問題であったとしたら、単純に解決できるはずはありません。
著者自身が脳梗塞以降、味わっている不都合な現実から見えてくるもの
貧困問題などのルポライターとして、弱者に触れ合ってきたものの、どうして、彼らは貧困、底辺に落ち込んでしまうのか、本質的には理解ができていなかったと気づくのは、鈴木大介さん自身が、脳梗塞を煩い、自身の脳も不都合な不具合を感じるようになってからだったと正直に語ってくれています。
かつては何の問題もなくできていたことができない自分に愕然としながら、彼らと自分が似ているというのかもしれないと気づく内容を読むことで、普通に考えていた常識的な感覚が壊れていきます。
彼らに対して感じ続けてきた、なぜ「やろうとしないのか」、
なぜそんなにも「やる気がないのか」、なぜそんなにも「 ちゃんとしていないのか」等々が、「 必死に頑張ってもできないこと」「 やる気があってもできないこと」だったと、 我が身をもって理解した。
ちゃんとやらないのではなく、できなかったという残酷なまでの事実を知り、その表現者となりうる自分の言葉を紡ぎ出している姿は、尊敬に値します。
無縁状態になったら、どこまでも落ちてしまう
『貧困と脳 「働かない」のではなく「働けない」』を読むことで、3つの無縁の現実を突きつけられました。
・「
家族の無縁」( 困窮時に支援をしてくれる親兄弟や親族などの資源がないこと・ 適切な教育を受ける家庭環境などもなかったこと) ・「地域の無縁」困窮時に相談できる友人や相談先などが生活圏内にないこと)
・「制度の無縁」(生活保護など公的扶助の捕捉率・認知度・
制度使用の利便性が極めて低いこと・ 困窮の当事者が支援制度とそもそも相性が悪いこと)
「家族の無縁」により、自分を支えてくれる人的資本が近くになかったことから始まり、そんな彼らを支える友人や相談先という「地域の無縁」という問題で深刻度が増していきます。
さらに、「制度の無縁」により、彼らは支援制度の存在も活用方法も知ることも、理解もできないまま、放置されていきます。
結果として、安易な犯罪的行為も含めて、貧困に落ちていくのは、そもそもは脳に何らかの問題があったという本人では手の施しようのない問題が発端だとしたら、なんとも、つらい話ではないでしょうか。
不自由さを理解されない状態の苦しさは想像を絶する
約束の時間を守れない、気が散って集中できない、探し物が苦手というのは、程度の差こそあれ、誰にでも出てくる状態の一つに過ぎない。
それが常態化するとしたら、脳の問題を抱えており、それが人として現代社会では生きにくいのはいうまでもない。
約束の時間を守れない。
この不気味な不自由の背景となっていたのは、何のことはない、 注意障害。いわゆる「気が散りやすい」 などと言われる症状によって、僕の脳が「異様に探し物が苦手」 な状況になっていて、その探し物に「異様な時間感覚の喪失」 が伴っていることが、その背景だった。
もちろん、できないこと、苦手なこと、社会の中で生きづらいことに焦点を当て過ぎずに、できることに視点を当てて、その中でどうやって周囲も理解を示して、機会を提供できるのか、というのは支援には欠かせない。
「できないことを知る」のも重要だが、可能ならその前に「
いまの自分にもまだできること」= 自身の最大限のスペックがどのぐらい残存しているかを知ること。 環境や条件を完璧に調整した上であれば、 どのぐらいまだやれるのかを知る。 そして周辺者がその機会を与えることこそ、 当事者ファーストの支援なのではないか?
不自由なこと、それが変えられない脳の問題であり、結果として貧困に喘ぐことから抜け出せない状態になるという展開。
決して、他人のことではなく、あなたの家族や、知人・友人などにも起こりうる話なのだと思うと、自分には何ができるのか、自分が当事者になったらどうすればいいのか、改めて考えさせれました。
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投稿者プロフィール

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【サードプレイス】ブロガー 、安斎輝夫。長年サラリーマンとして家庭と職場だけの生活に疑問を持ち、2017年から「サードプレイス」を研究・実践し、人と人をつなぐコネクターな存在になろうと決める。
Expand your life with energy and support. というミッションを定めて、人生を一緒に拡張していける仲間を増やすために活動を展開。月1回のリアルなイベント「サードプレイス・ラボ」の運営するリーダー(主宰者)。また、6人で執筆する、週刊「仲間と一緒にワクワクしながら、大人が本当の夢を叶える!サードプレイス・メルマガ」(まぐまぐ)の編集長。Facebookページおよびグループの「サードプレイス・ラボ」も運営中。