「同一労働同一賃金」ってどうなの?
「働き方改革」なるものに含まれている「同一労働同一賃金」の話を、あまり耳にしなくなったような気がする。
「同一労働同一賃金」とは、同一の仕事(職種)に従事する労働者は皆、同一水準の賃金が支払われるべきだという概念。性別や雇用形態、人種、宗教、国籍などに関係なく、労働の種類と量に基づいて賃金を支払うことをゴールとしている。
グローバルではスタンダーとな賃金体系なのに、日本は特殊だという話を聞く。
結局は、会社単位で給与制度があり、JOBローテーションで総合職を育てようとするカルチャーである以上、職種が変わる度に、大幅に給料レンジが変わると困るというのは当然の話。
海外では、職種によって給与はある程度分かれていて、という話になる。
それって、転職して、職種を変えたら、どうなるんだろう?という疑問が生まれる。
もちろん、職種を転向すれば、新人と同じ扱いの賃金からスタートすることになるという。
「同一労働同一賃金」を訴える側の主張はどこにあるの?
非正規雇用で働く労働者(パート、アルバイト、派遣社員など)が増え過ぎて、雇用が不安定で給料が安すぎるという話が起点になっているように考えがちです。
私は、逆のメッセージや意味があると考えています。労働価値よりも賃金が明らかに高い人を下げるという裏目的を隠しているのです。
中間管理職と呼ばれるポジションは、本当はどこまで組織にとって役に立っているのでしょうか?経営層の考え方や指示を部下たちに伝えること。部下たちの意見や思いを吸い上げること。板挟みだけに、ストレスがたまる役回りなのかもしれません。
それって、労働なんでしょうか?マネージメントしていることは働くことだというのが基本軸なのは理解できます。では、価値を生み出している存在なのか、と問うとどんな答えが出てくるのでしょう。
「同一労働の価値があれば、同一賃金の対価を得ることを認める」
本来は、こういう表現が正しいのではないでしょうか。でも、同一って難しいです。人や環境、会社によって状況は異なります。一概に、同一にすると、企業間競争や違いがなくなる可能性も危惧されます。
そこで、私は、ある一冊の本を手に取りました。
『同一労働同一賃金で、給料の上がる人・下がる人
給料が下がる側の人のことも考えなければいけないという事実。
労働の対価、価値をどう図るのが良いのか。目に見える数値化した実績以外に貢献している場合は、どんな指標が必要なのか。
その指標を本人、組織、が納得できるのかどうか。
同一労働同一賃金になると、仕事の量と質も問われることになります。
今までの雇用形態などによる差別ではなく、能力差と成果によって給料が変わるという社会
素晴らしいと思えるようで、もし、自分の能力が、ある日、AIに奪われて、無価値に近くなったとしたら、今までの仕事をボランティア活動に置き換えることはできるだろうか?
間違いなく、納得する人はいないに違いない。
世代、性別、経営者と労働者など、それぞれの立場で自分が何らかの価値を生み出す活動をして、対価として給料をもらっているという基本に立ち戻ってみよう。
結果として、意味のない会議、資料は削らなければいけない。必死になっている仕事も価値がないと思われるのであれば、やり方やスタイルを変えなければいけない。
この『同一労働同一賃金で、給料の上がる人・下がる人
女性の活躍しやすい企業文化、副業も可能にする働き方、終身雇用に拘らない賃金テーブル設計、色々なアイデアや示唆に富んでいました。
「同一労働同一賃金」は可能なのか?と尋ねられれば、可能と答えます。
(不可能と答えたら、パラダイムシフトは起きないから!)
その代わりに、実生活面で、痛みが伴い、苦しい思いをする人へのケアや対策を考えないと、人を幸せにすることはできないでしょう。
最近、時代が大きく変わる分岐点に立っていることを強く感じます。ここ数年で、生き方や働き方は大きく変わらざるえないでしょう。好むと好まざるを問わずに、誰もが大きな波に飲み込まれていく姿が目に浮かびます。
これからの時代、人間が働くって何なのか?どんな価値や意味があるのか?という基本命題を忘れないことが、とても重要になってくると考えています。
あなたにとって、「同一労働同一賃金」は幸せな未来ですか?
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【サードプレイス】ブロガー 、安斎輝夫。長年サラリーマンとして家庭と職場だけの生活に疑問を持ち、2017年から「サードプレイス」を研究・実践し、人と人をつなぐコネクターな存在になろうと決める。
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