「世界一孤独な日本のオジサン」から逃れる方法

孤独大国ニッポンの男性(オジサン)は不幸との指摘に反応

本のタイトルで、ドキっとさせられるのは、自分にダイレクトに響くものがあるか、時代や環境を的確に捉えていると直感で反応しているからに違いない。

岡本純子さんの『世界一孤独な日本のオジサン (角川新書)』という本に引き寄せられました。

孤独に陥らないために重要なのは 、「心から信頼でき 、頼ることのできる人たちと 、深く 、意味のあるつながりや関係性を築いているかどうか 」である 。そういった意味で 、日本は世界一 、「孤独 」な国民なのだ 。

イメージが湧いたのは、私の父親の姿でした。

私の父は、メッキ工場で働く男で、真面目にコツコツと働いていました。
たまに周りとケンカをしながらも、サボることはありませんでした。

唯一の趣味は、タバコを吸うこと。一日二箱以上も吸っていた時期もあり、煙突マンという印象が残っています。

60歳で定年間際に肺がんで亡くなったのですが、もし、あのまま、父が生きていたら、どんな老後を過ごしていたのか、想像をしてみると、孤独な姿しか浮かびませんでした。

喫煙は誰かとするよりも、自分一人で吸うタイプでしたので、誰かと会話をすることはありません。家族とは会話をしていたでしょうが、仕事や家事に追われているとしたら、父の相手はしていなかったでしょう。

散歩やサイクリング程度はしていたでしょうが、タバコとセットでの話。

学生時代の同級生との関係もなく、兄弟親戚との付き合いもあまりなかったので、おそらく、孤独感を味わったのでしょう。

その姿を思い描きながら、この1冊を読みました。

なんで、日本は孤独大国なのかを考える。

世界中で、健康に関する問題よりも、大きな課題になっているのが「孤独」であるという話を展開されていく先に、日本がなぜ、その中でも孤独に追い込まれているのかという点を掘り下げて読みました。

日本では 、個人や家族という「私 」と政府やお役所などの「公 」の間にあるコミュニティ ・組織などの中間集団 、つまり「第三のソ ーシャルグル ープ 」が欧米に比べて極めて脆弱で 、存在感が薄い 。

確かに、日本では、家族というプライベートと政府や役所の公の間には、中間的な存在は感じられません。ボランティア活動や地域活動に関わるような人は別として、どうしても、「第三のソーシャルグループ」に身を置くことは少ないのはわかります。

家族に加えて職場があるのは、男性サラリーマンの世界では当たり前かもしれませんが、定年退職すれば、完全に家族しか残りません。公的なモノと言えば、福祉や年金程度なので、人が介在するのは薄い関係程度です。

家族も両親は高齢者であり、子どもたちは大人になる世代だとすると、パートナーとの関係しか存在なくなり、このあたりが熟年離婚とも繋がるテーマなのだと理解できます。

結局、職場の人間関係は永続的なものではないので、離れていくことは確実。

大人になってから、家族絡みや仕事関係以外で、何人の人と出会い、友人や仲間として付き合っているのでしょうか?

政府や自治体が 、一人ひとりの細かいニ ーズにまで対応することはできないため、網の目からこぼれるすべての人たちを掬いとることまではできない 。このように 、「サード ・プレイス 」として 、人々の「広場 」や「セーフティ ーネット 」となるべきコミュニティが未発達であることも 、日本の孤独問題の根本的要因の一つとなっている 。

岡本さんの本の中でも「サード・プレイス」が出てきました。私のキーワードにヒットしてくる本は、最近、増えているのですが、ここでも登場です。やはり、サードプレイスは、コミュニティであり、日本の孤独問題解決にも貢献できる存在なのだと思います。

日本人男性は、孤独がカッコいいというイメージを刷り込まれた部分がある

結果として、狭い人付き合いしかしない、孤独な男、オジさん、老人を生み出してきたのです。以前であれば、地域社会や親戚関係という、ある意味、ディープな世界がありました。ここが崩壊してくると、もはや、孤独な世界でしか、男性は生きていけません。

女性は、幅広い雑談を交えたコミュニケーションが多彩にできる存在なので、年齢に関係なく、新しい輪を作っていけています。余計なことを考えず、楽しい場を見つけて、そこで新しい関係を築き、場合に寄っては広げていきます。

日本人の男性、特に中高年以降に関しては、このままでは危険な状況が訪れます。

米ハ ーバ ード大学の卒業生などを 7 5年間追い続けた研究だ 。この研究を中心になって進めてきた精神科医のロバ ート ・ウォ ールディンガ ー氏は TEDト ークの中で、こう語る 。「私たちを健康で幸福にするのは良い人間関係に尽きる 。孤独は命取りで 、家族 、友人 、コミュニティとよくつながっている人ほど幸せで 、身体的に健康でもつながりの少ない人より長生きする。重要なのは、友人の数や、生涯を共にする相手の有無ではなく、身近な人たちとの関係の質なのだ。例えば愛情が薄い 、喧嘩の多い結婚は健康に悪影響を及ぼし 、離婚より害がある。愛情のある良い関係こそが人を守るのだ 」

孤独で長生きなんてできないということを研究結果から取り上げている話まで展開されています。関係の質の問題。雑談や笑顔で触れ合える人との関係性がどれだけ持てるのか。何歳まで働くという話ではなく、どんな人生を迎えていきたいのかという点に、意識を集中しないと、私たちは、孤独に苛まれて死んでしまうとしたら、いかなる病気よりも解決を急がなければならない問題だと気付かされます。

孤独から逃れる方法として、自分の夢、やりたいことに繋がるコミュニティに参加を

では、この孤独問題から逃れる為にできる方法は何でしょうか?

もちろん、定年後に開催されることが多い、クラス会に参加というのも悪くありません。

昔話で盛り上がり、楽しく同世代で過ごせるので楽しいイベントでしょう。

ただ、単発的なイベントに参加するのだと、一瞬の気晴らしに過ぎないので、孤独問題を解決できません。

同世代の集まるサークルに参加でも良いと思います。

同じ地域やテーマに興味がある人たちとの集いに顔を出すだけでも、イキイキしてくるでしょう。

さらに変化をつけるとしたら、世代や性別を越えた場、コミュニティに参加していくことだと思います。

今までの肩書きや立場を無視して、個人として向き合う人と、何を話すのか、どういうことに関わるのか、その刺激をどう受け止めるのか。

孤独を解決する方法は、勇気を持って、見知らな環境や人と出会う場に参加してみることに尽きます。

相手にとっても、あなたの個性、経験、知識は面白く感じるでしょうし、他の方の話に耳を傾けるだけでも、脳も心も活性化させられると思いませんか?

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投稿者プロフィール

安斎 輝夫
【サードプレイス】ブロガー 、安斎輝夫。長年サラリーマンとして家庭と職場だけの生活に疑問を持ち、2017年から「サードプレイス」を研究・実践し、人と人をつなぐコネクターな存在になろうと決める。
Expand your life with energy and support. というミッションを定めて、人生を一緒に拡張していける仲間を増やすために活動を展開。月1回のリアルなイベント「サードプレイス・ラボ」の運営するリーダー(主宰者)。また、6人で執筆する、週刊「仲間と一緒にワクワクしながら、大人が本当の夢を叶える!サードプレイス・メルマガ」(まぐまぐ)の編集長。Facebookページおよびグループの「サードプレイス・ラボ」も運営中。