中学受験に全力で自走できる小学生なんて誰もいない!一緒に歩む家族との物語にしよう

中学受験専門のプロ家庭教師の安浪京子(やすなみ・きょうこ)さんは、多くの中学受験に関する著書やセミナーなども展開している有名人です。

朝日小学生新聞の人気連載をまとめた一冊『中学受験 6年生の親がすべきこと 53の悩みにお答えします』をKindleで購入して読んでみました。

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12歳に受験勉強をさせるって幸せな人生につながるの

日本の都市部では、私立中学と公立中高一貫校の受験の熱が高いと言われています。

参考記事

出生率が下がり、子どもの人数は減っているのに、12歳の子どもたちの中学受験の加熱ぶりはすごいものがあります。

まだまだ、遊びたい盛りの子どもたちを塾に通わせて、たくさんの勉強量をこなさせて、受験に挑ませる戦い。

これって、当事者の子供にとって幸せな人生へのパスポートになっているのでしょうか。

実際は、本人よりも親目線や思いの受験戦争だと感じます。

子どもに過度なプレッシャーをかける受験勉強は親自身も戦うしかない

中学受験 6年生の親がすべきこと 53の悩みにお答えします』を読んでいて、安浪京子さんが経験から正直に伝えているポイントがありました。

子どもたちは、受験勉強にめげてしまいやすいし、味わったことのない体験の中で、葛藤しているという事実。

そして、本来、経験しなくても良い世界に身を置いているというシンプルな事実です。

模試の結果が悪い、勉強をちゃんとできていない、など親は悩み、本人も疲れても必死に勉強しても頭に入らなかったり、理解でいない状況が続きます。

大手塾であれば、成績順でクラス分けをするなど、競争意識を煽ることで、成績を上げて合格を目指すことになります。

本人も大変ですが、向き合っている親が必死になります。

中学受験までは、本人だけの戦いではなく、親・家族を交えた総力戦になるのは仕方ないのでしょう。

友達と遊びたい、ゲームをしたい気持ちを抑えて、勉強に向かうという苦行。

この受験の先に何があるのか、想像ができているのかどうか。

学校説明会や文化祭、ホームページを見て、イメージができるとは言っても、一面にすぎません。

超難関校でなくても、誰もが自分の志望校に向けて頑張る姿には頭が下がります。

探究学習が主軸になっているのに、受験は知識競争のままなの

知識偏重な受験勉強のイメージと、これからの時代を生き抜くために、中高生から、総合的な学びとして、探究学習を文部科学省が学習の方向性として示しています。

総合的な学習(探究)の時間は、変化の激しい社会に対応して、探究的な見方・考え方を働かせ、横断的・総合的な学習を行うことを通して、よりよく課題を解決し、自己の生き方を考えていくための資質・能力を育成することを目標にしていることから、これからの時代においてますます重要な役割を果たすものである。

知識を問う以外の適性検査型(総合型)の受験も、公立の中高一貫校では増えているものの、この地頭の良さを鍛えるのは簡単ではありません。

探究スタイルの勉強は、自ら掘り下げて考えて、調べ、学んだものをアウトプットしていくという効果的なもの、アクティブラーニングとして賞賛されています。

受験という短期の勝負で、アクティブラーニングを実践することは難しいと考えます。

また、実社会として、社会課題を解決するために、この探究学習的なアプローチ、アクティブラーニングを元にした仕事に取り組むというのは、正しい方向性のようで、現実とのギャップが存在しています。

探究学習をしたからといって、成果が出るという保証はどこにもないのです。

自主的に学ぶという姿勢・アプローチとしては素晴らしいのですが、手法としての確立したとは言い切れず、不完全なゴールを迎えてしまう(予定調和的な答えを導く)ものも多いと感じています。

このような学習方向性の土台として、受験勉強の知識を詰め込むことは必要なのかもしれません。

そもそも、基礎学力は義務教育の一環で身につけるべきものであって、その穴を補うために、中学受験に挑むというのは本筋と違っているような気がします。

親は苦しみ、悩みを共有しながら、ゴールまで伴走するしかない

教育費・機会を提供したからといって、子どもが優秀な大人になって社会に出ていくというのは約束されていません。

親は、子どもと一緒に苦しみ、悩みを共有しながら、ゴールまで伴走するしかない存在です。

もちろん、私立校に進むのであれば、経済力という負担も大きくのしかかります。

個人的な意見としては、もう少し、返済不要の奨学金制度などが増えたり、教育費負担が下がるようなアプローチをしなければ、成人した時点(現在18歳)で、人生のルートが決まってしまうという、不公正を感じざるをえません。

安浪先生に家庭教師やアドバイスを受けられるなんて奇跡的なケースに限られていて、実際は、与えられた環境の中で、中学受験に向かう子どもと親がもがき苦しむしかないのです。

何のために受験勉強をするのか?

志望校に合格することだけをゴールに置いてしまう受験勉強は、入学から卒業までの期間の目的を見失いかねません。

何のために受験勉強をするのか?

学びの喜びと少し先の未来を夢見る気持ちを欠かしていけないと思います。

「本番で緊張しないコツはたった一つ。「ただただ目の前の問題を解く」。」

とは言いつつも、安浪先生のアドバイスがシンプルでした。

最後は、目の前の問題を解くしかないと。

大人であれば、さまざまな課題を抱えていても、目の前のことは無視できないという話と共通しています。

子どもと一緒に成長していく物語になればいい

中学受験に挑むのは、12歳にしては、精神的に少し大人っぽくなる必要があるでしょう。

社会には競争は避けられない。

どうすれば、その中で勝ち残れるのか、そして、その先に何を目指したいのか。

難しく考えすぎずに、どんな未来を描きたいのかを子ども軸で考えて、親としては一緒に成長していく物語になればいいと感じます。

自分の人生を歩むためには、自らが切り開くことが必要だと学ぶ経験としては、合否に関係なく、中学受験は一つのチャレンジなのだと思います。

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投稿者プロフィール

安斎 輝夫
安斎 輝夫
【サードプレイス】ブロガー 、安斎輝夫。長年サラリーマンとして家庭と職場だけの生活に疑問を持ち、2017年から「サードプレイス」を研究・実践し、人と人をつなぐコネクターな存在になろうと決める。
Expand your life with energy and support. というミッションを定めて、人生を一緒に拡張していける仲間を増やすために活動を展開。月1回のリアルなイベント「サードプレイス・ラボ」の運営するリーダー(主宰者)。また、6人で執筆する、週刊「仲間と一緒にワクワクしながら、大人が本当の夢を叶える!サードプレイス・メルマガ」(まぐまぐ)の編集長。Facebookページおよびグループの「サードプレイス・ラボ」も運営中。