気になる作家さんのデビュー作(出世作品)って読んでますか?
『ホワイトアウト 』で吉川英治文学新人賞を受賞、『アマルフィ』、『アンダルシア』などの「外交官シリーズ」もヒット出している作家、真保裕一さんのデビュー作とも言える『連鎖』を読んでみました。
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チェルノブイリ原発の放射能汚染された輸入食品という設定と検疫所の食品検査官が謎を追う
1994年に世に出た作品だけに、背景がチェルノブイリ原発の放射能汚染が影響した輸入食品を題材に展開されるミステリーは時代を感じます。
今の日本で読むと、東日本大震災の影響を受けて、東北の食材を輸入禁止にする国があることを考えれば、重大なテーマが裏に潜んでいることがわかる作品です。
しかも、検疫所の食品検査官という仕事は、専門的すぎて、一般人には縁遠い職業の人間を主人公にするあたり、真保裕一さんのチャレンジな取り組みを感じます。
親友との関係性と謎が謎を呼ぶ展開に、引き込まれる
元食品Gメンの羽川が事件の謎を解くために、さまざまな切り口で、身の危険に追われながら、突き進んでいくストーリー。
調査権限を超えて、関係者を調べて、アプローチを続ける姿は、名探偵そのものでした。
二転三転する中で、事件の黒幕とも言える人物と対峙するまで、ハラハラさせられます。
輸入食品は口にはしているものの、安全性を確保するために働く検疫所の検査官のような方々の目立たぬ仕事によって、安心安全を保っていることに気付かされます。
ミステリーだけに事件の裏の裏まで深入りしていく展開は最高でした。
当時は、自動車電話だったのか!連絡が取りにくい時代
1990年代の時代設計なので、当然、パソコンによるデータ管理や、インターネットによる調査もできません。
一番、驚いたのが、自動車電話という存在。
携帯電話の初期モデルとして、自動車にショルダーバックサイズの自動車電話という存在があり、移動しながら電話が可能という信じられない通信機器だったことを思い出します。
今ならば、調査もツールも変わり、このストーリーにスピード感が与えられるものに変われるかもしれませんが、当時は、偶然性も含めた展開がなければ、誰と誰が会う、何を知るという情報のズレは、今よりも大きかったのでしょう。
家にある固定電話と公衆電話の間でのやりとりだけですから、留守番電話と伝言ゲームによる流れは避けられません。
専門的知識のあるキャラクターが登場した方が面白い
この作品の主役の羽川は、優秀なようで、人間として大事なものが欠けていそうな雰囲気が愛される存在になっており、専門的知識のあるキャラクターなので、面白さが倍増しています。
テレビのドラマであれば、刑事モノ、学園モノ、医療モノ、恋愛モノ、ビジネスモノなどのカテゴリーに分かれてしまうと、鉄板の型しか浮かびません。
ただ、意外な職種の人間が、巻き込まれて謎を解いていくストーリーは、実に、知らない世界を垣間見れるので、一行一行を丁寧に読んでいくことになります。
また、想像力がないと、著者が細かく描写や説明している内容も理解できません。
ミステリーやサスペンスは時代背景とともに変わるもの
子供の頃、背伸びをして、江戸川乱歩のミステリーや、西村京太郎のトラベルミステリーなどを読んでいたのですが、難しかった記憶があります。
人間の心情は理解できても、時代背景や感覚が違うと、理解に苦しむのです。
トリックがあって、その謎を解いて犯人を特定すればいいというシンプルさがあるのに、犯行動機も含めて、時代のズレは残ります。
時代背景として、何があったのか、なかったのか、という点に着目することで、より
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【サードプレイス】ブロガー 、安斎輝夫。長年サラリーマンとして家庭と職場だけの生活に疑問を持ち、2017年から「サードプレイス」を研究・実践し、人と人をつなぐコネクターな存在になろうと決める。
Expand your life with energy and support. というミッションを定めて、人生を一緒に拡張していける仲間を増やすために活動を展開。月1回のリアルなイベント「サードプレイス・ラボ」の運営するリーダー(主宰者)。また、6人で執筆する、週刊「仲間と一緒にワクワクしながら、大人が本当の夢を叶える!サードプレイス・メルマガ」(まぐまぐ)の編集長。Facebookページおよびグループの「サードプレイス・ラボ」も運営中。