森永卓郎『書いてはいけない――日本経済墜落の真相』は自分の命の最後に勝負をかけたタブーへの挑戦本

タブーに触れることに厭わない人物は、日本には少ない。

異端児扱いを受けるし、批判も受けるのは事実。

ところが、経済評論家の森永卓郎氏は、入院中のベットの上で、『書いてはいけない――日本経済墜落の真相』を書き上げて、世に送り出し、ヒット本となっています。

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真実は闇の中に隠されて、表向きクローズさせられているかもしれない

真実だから、世の中に全てオープンになっているというのは、私たちの良識判断であるかもしれませんが、実際は、誤解していることが多いのだと指摘されたら、どう思うでしょうか。

表向きに語ることができない、タブーと言われるものにチャレンジすることは、社会的に抹消されかねないリスクを伴う事象です。

今回、『書いてはいけない――日本経済墜落の真相』は、三五館シンンャという一人出版社の矜持のおかげで世に出された、前作『ザイム真理教』に続く形で出版されました。

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前書きに決意を感じる一冊が『書いてはいけない』だ!

著者であれば誰だって、自分の著書が一人でも多くの方に読まれて、売れることを望むのは当然のこと。

経済評論家の森永卓郎氏は、自分の命の最後を意識して、この本を書き上げており、その前書きがとても強いインパクトを残している。

2023年12月、私はステージ4のがん告知を受けた。
告知の瞬間、私は、何を食べたいとか、どこかに行きたいとか、そんなことは微塵も考えなかった。
なんとか自分の命のあるうちにこの本を完成させて世に問いたい。そのことだけを考えた。
その意味で本書は、私の40年にわたる研究者人生の集大成であると同時に、私の遺書でもあるのだ。

私がテレビやラジオなど、メディアの仕事をするようになって四半世紀以上が経過した。その経験のなかで、メディアでは、けっして触れてはいけない「タブー」が3つ存在した。
(1)ジャニーズの性加害
(2)財務省のカルト的財政緊縮主義
(3)日本航空123便の墜落事件
この3つに関しては、関係者の多くが知っているにもかかわらず、本当のことを言ったら、瞬時にメディアに出られなくなるというオキテが存在する。それだけではなく、世間から非難の猛攻撃を受ける。下手をすると、逮捕され、裁判でも負ける。
だから、賢い人はそうした話題には最初から触れない。知らぬ存ぜぬを貫くことだけがメディアに出続けるために必要なことだからだ。ただ、私はそうした態度を取ることができない性格だ

このタブーに挑んでも、世に残すという姿勢こそが、彼の生き様なのだと感じました。

経済だけに限定せず、日本という国に蔓延るタブーについて、自分の知りうることをアウトプットするという勇気こそ、マイルドな反骨精神の持ち主の森永卓郎氏だからこそ、書き切れた一冊なのだと思います。

3つのタブーを語ることで得られるものはあるのか

ステージ4の末期がん患者になったからこそ、今、書くしかないという3つのタブー。

財務省に絡む話は、前作『ザイム真理教』に書かれているので重複する部分は多いものの、ジャニーズの性加害を知り得ていたという章があり、驚きました。

テレビやラジオなどのメディアにも出ているから、知りうる機会があったのはわかるものの、この時点で語るのは、後出しジャンケンではないか、という非難も浴びかねない内容です。

事実が明るみになり、今までの男性アイドル系のエンタメに属してきた方々が受けた被害を、z広い意味での周囲の関係者が知らなかったはずはないという切り口。

3つ目のタブー、日本航空123便の墜落事件が日本という国に影響を及ぼした、根深い問題という説には、正直驚きました。

青山透子さんは、この『日航123便墜落の新事実 目撃証言から真相に迫る』を出版して大丈夫だったのだろうか? 真実を知りたくて、自ら掘り下げ...

私自身は、このブログの初期に、偶然出会った一冊で知った、事件の真相とも思える話。

いまだに、真相を語らない関係者と、毎年8月の慰霊登山の話が出ても、誰も切り込めないのはタブーがあるのは推測ができます。

ただ、この3つのタブーのうち、財務省以外のものは、森永卓郎氏がどのようなルートで情報を集めて、書き上げたのかはわからないので、真偽の判断は読者に委ねるしかありません。

※ジャニーズの性加害は明らかなので、真実だと認められていますが

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無難なことを書かない、批判を恐れない姿

森永卓郎氏は、以前、テレビのメディアに登場していましたが、最近は、姿を消しました。

おそらく、彼の発言などが視聴者やスポンサーからクレームが入り、番組から降ろすしかないという判断をするのでしょう。

今までも、SNSなどを含めて、批判を受けていたのは事実。(本人がSNSをやらないので気にしていない様子)

自分の意見を主張していくこと、間違っているかもしれないけど、批判を恐れずに言いたいことを言うというスタンス。

偉ぶらず、場合によっては、コテンパに叩かれてもめげない男。

今は、ラジオの出演が中心になり、マイナーな存在になったかと思いきや、果敢にチャレンジしていく姿勢。

がんと戦う姿も含めて、アンチよりもフォロワー的な存在に包まれるという、特異な存在に、森永卓郎氏はなっています。

覚悟の一冊だから、誰もが真摯に受け止めたのか

生への執着がないという、森永氏ですが、今回こそ、遺書の心意気で、覚悟の一冊として世に出しました。

言いたいことを言う、書くことで、誰かに何を言われても構わない。

この異常なメンタルを持ちうる人物だから、転職を繰り返し、メディアに出演をして、干されたとしても、自分の居場所を保ちつづけて、生きているのは立派だと感じます。

書いてはいけない――日本経済墜落の真相』は、読みながら、日本という国のタブーを考えてみるきっかけを、私たちに与えてくれていることだけは間違いありません。

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投稿者プロフィール

安斎 輝夫
安斎 輝夫
【サードプレイス】ブロガー 、安斎輝夫。長年サラリーマンとして家庭と職場だけの生活に疑問を持ち、2017年から「サードプレイス」を研究・実践し、人と人をつなぐコネクターな存在になろうと決める。
Expand your life with energy and support. というミッションを定めて、人生を一緒に拡張していける仲間を増やすために活動を展開。月1回のリアルなイベント「サードプレイス・ラボ」の運営するリーダー(主宰者)。また、6人で執筆する、週刊「仲間と一緒にワクワクしながら、大人が本当の夢を叶える!サードプレイス・メルマガ」(まぐまぐ)の編集長。Facebookページおよびグループの「サードプレイス・ラボ」も運営中。