【映画】「生きる LIVING」(2023年公開)は、黒澤明作品のリメイクだけに静かな深さを感じる

映画「生きる LIVING」がAmazonプライムビデオで勧められたので、作品を調べて驚きました。

あの世界の黒澤明監督の映画「生きる」(1952年)をリメイクして作られたことを知った瞬間です。

私は、同時に二作品を見比べながら、この作品の世界を味わってみました。

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日本の作品へのリスペクトを感じながら満喫する

日本のコンテンツへのリスペクトは意外と世界中を席巻しています。

ただし、アニメ系のイメージが強く、音楽・映画となると、ダイレクトに影響を受けて、リメイクすることは少ないと感じます。(日本側が海外の作品をリメイクすることは増えているのですが)

今回、黒澤明監督という名匠をリスペクトしながら、見事にリメイクしていたのは間違いありません。

黒澤明×カズオ・イシグロ(ノーベル賞作家)でイギリスでリメイクされた!

世界の黒澤明の作品といえば、「七人の侍」が有名ですが、「生きる」も人気作だと聞いていました。

ただ、時代背景が違い、白黒映画というのは見ていて、どうしても眠くなってしまいがち。

派手な演出に慣れた私たちにとっては、どうも見たいという気持ちになれない。

今回、映画「生きる LIVING」というリメイク作品が生まれたことで、改めて、この作品のメッセージを考えてみることができました。

ストーリー

1953年。第二次世界大戦後、いまだ復興途上のロンドン。公務員のウィリアムズ(ビル・ナイ)は、今日も同じ列車の同じ車両で通勤する。ピン・ストライプ背広に身を包み、山高帽を目深に被ったいわゆる“お堅い”英国紳士だ。役所の市民課に勤める彼は、部下に煙たがられながら事務処理に追われる毎日。家では孤独を感じ、自分の人生を空虚で無意味なものだと感じていた。 そんなある日、彼は医者から癌であることを宣告され、余命半年であることを知る― 彼は歯車でしかなかった日々に別れを告げ、自分の人生を見つめ直し始める。手遅れになる前に充実した人生を手に入れようと。仕事を放棄し、海辺のリゾートで酒を飲みバカ騒ぎをしてみるが、なんだかしっくりこない。病魔は彼の身体を蝕んでいく…。ロンドンに戻った彼は、かつて彼の下で働いていたマーガレット(エイミー・ルー・ウッド)に再会する。今の彼女は社会で自分の力を試そうとバイタリティに溢れていた。そんな彼女に惹かれ、ささやかな時間を過ごすうちに、彼はまるで啓示を受けたかのように新しい一歩を踏み出すことを決意。その一歩は、やがて無関心だったまわりの人々をも変えることになる―

あんてる
ビル・ナイって、映画「パイレーツ・オブ・カリビアン」の中で、幽霊船「フライング・ダッチマン」号の船長デイヴィ・ジョーンズを演じていたよね。覚えてる!

激しいアクションや激しい展開もなく、淡々と流れる静かな映画のストーリーだけに、油断すると寝入ってまうかもしれません。

昔の役所の紙の書類の山を見ると、重要な書類を紛失してしまいそうな職場環境なので、現代のパソコン・デジタル環境に慣れた身としては、滑稽に見えてしまうのも事実。

役所の中で市民課の課長さんがどんな仕事をして、自分の寿命を見据えたラストスパートで変わっていく姿と、それを見つめる周囲の人々をどう受け止めるのか、というのがこの作品の伝えたいメッセージだったと思います。

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役所の職員が奮闘するという意味では同じカテゴリーと言えるでしょう。

黒澤作品との違いは国の違いなのだろうか?制作時期の違いなのだろうか?

黒澤明監督の「生きる」が1952年公開、今回の「生きる LIVING」は70年の時を経てリメイクされていますが、時代背景は、第二次世界大戦後の役所というのも変わりませんし、国の違いはあるものの、基本的に、当時の役所で働く人たちの姿を表している意味では共通です。

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役所の職員こそ、安定して、急がず、淡々と(ある意味、のんびりしながら、たらい回しにしても)やり過ごせるというのは、変わらないものです。

白黒映画とカラーの違いというレベルではなく、死が近づいた人間が、どうやって生きるのか、ということを役所の人間という、コツコツとのんびり働いていた人物が、どう変わるのか。

自暴自棄になっていく姿は、同じですし、若い女性の生き方・考え方に救いを求める姿も同じです。

そういう意味では、制作時期の違いだけであり、リメイク作品が、黒澤明監督の「生きる」へのリスペクトを示している作品と言えるでしょう。

特に、海外でリメイクされたということは、共通するものがなければ成立しません。

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病気(胃がん)であれば、病床のシーンが増えそうなものなのに、全く描かれていない

すっかり、患者本人にがん告知をして、残りの寿命の目安を伝えるのが当たり前になった社会だと、この作品の主人公が、「胃潰瘍」と言われても、「胃がん」を自覚する気持ちは分かりにくくなっているかもしれません。

私の父は、肺がんでしたが、本人に告知することなく、亡くなりました。

つまり、余命を全く知らず、苦しみの中、この世を去るというのが一般的で、苦悩する家族たちというのが鉄板だった時期があります。(おそらく20世紀まではその感覚が日本には当たり前でした)

ですから、この「生きる LIVING」の作品の中では、病院のシーンは冒頭でしか存在しなく、治療に向かって苦しむ患者の姿は映り出されていません。

もちろん、苦しそうな姿を描くのですが、日常生活を送ろうとしていますし、死の間際はカットされて、亡くなった後の物語にシフトしていく点が特徴です。

つまり、苦しむ姿よりも、最後の命をかけて変わって生きていく姿を見せたかったのでしょう。

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生きるとは、何か情熱を持って取り組むことにある!というメッセージ

誰もが生まれてきた以上、最後に死を迎えることは避けられません。

どうやって生きるべきなのか、真剣に向き合うことは、大変難しくて、誰もが深く考え過ぎたくない永遠のテーマなのだと思います。

主人公が、自分の人生を悔いて、泣き叫ぶのではなく、残りの人生で自分にとってできることに、愚直なまでに挑む姿は、激しいアクションなどが全くない作品でありながらも、胸を打つストーリーでした。

あなたも、自分が何のために生きて、何をするべきか、たまに胸に手を当てて考えてみませんか?

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投稿者プロフィール

安斎 輝夫
【サードプレイス】ブロガー 、安斎輝夫。長年サラリーマンとして家庭と職場だけの生活に疑問を持ち、2017年から「サードプレイス」を研究・実践し、人と人をつなぐコネクターな存在になろうと決める。
Expand your life with energy and support. というミッションを定めて、人生を一緒に拡張していける仲間を増やすために活動を展開。月1回のリアルなイベント「サードプレイス・ラボ」の運営するリーダー(主宰者)。また、6人で執筆する、週刊「仲間と一緒にワクワクしながら、大人が本当の夢を叶える!サードプレイス・メルマガ」(まぐまぐ)の編集長。Facebookページおよびグループの「サードプレイス・ラボ」も運営中。