【映画】「容疑者 室井慎次」(2005年)は、踊るシリーズの中で涙を流してしまう唯一の作品

「スピンアウト」作まで、展開力が広がっていた、踊る大捜査線シリーズの中で、私が、唯一、泣いてしまったのが「容疑者 室井慎次」です。(DVDを持っているのに、Netflixで表示されたので、また、見ちゃいました!)

コミカルな会話のやり取りが多いシリーズの中で、クソ真面目な室井慎次を主役にしたことで、テーストの違う重さを感じさせる映画になっていました。

当時の柳葉敏郎さんは、脂も乗り切っていて、まさに、リアルな警察官僚の雰囲気そのものを醸し出していました。(最近の人間性に温かみがある役とは大きく異なります)

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エリート警察官僚が逮捕されて容疑者になるのか!

「容疑者 室井慎次」のタイトルにもある通り、エリート警察官僚の彼が、なぜ、容疑者として逮捕・勾留されるのか、という点が、公開前から気になっていました。

どんな犯罪、容疑がかけられているのか、

特別公務員暴行陵虐罪の共謀共同正犯、なるもので、一般人の知りうるような容疑ではありません。

まして、エリート官僚ならば、この手の問題には事前に手が打てるはずなのに、罠にハマっていく姿は、実直で、曲がったことが大嫌いで、正義に邁進したい、室井慎次らしさとも言えるのですが。

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事件の結末よりも、そのプロセスで描かれる室井の過去

正直言って、事件の結末は、くだらない印象しか残っていません。こんな事件のために、捜査本部長として、現場の指揮を取り、警察庁と警視庁、検察、弁護士の狭間で葬り去られそうになる姿は痛々しさしかありませんでした。

あんてる
あんてる
世の中の冤罪事件って、こうやって、証拠よりもストーリーで設計されて、成立されちゃうんだろうね。

この作品は事件よりも、人間・室井慎次に焦点が当たって、彼の過去が暴かれていきます。

大学時代の恋人との関係、淡い恋でありながら、真面目な彼が彼女の看病に努めていたものの、亡くなってしまった事実。

その結果、彼は自分の信念を曲げずに、まっすぐに歩んできたという人生の原点。

私が涙したのは、喫茶店で、小原久美子(田中麗奈)が、彼女の日記を渡した際に、自分語りをする室井慎次の姿です。

理不尽で無情としか言えないような出来事なのに、事実を捻じ曲げられて、自分を陥れる道具に使われて、心が折れかけた室井慎次に、小原久美子が真正面から対峙している、あのシーン。

刑事ドラマ、推理モノにある、陰湿な過去、痛ましく辛い出来事、というよりは、青春の1ページで起きてしまった、不遇なストーリー。

彼は、そのことを胸に秘めて、ほとんど誰にも語ることなく生きてきたのでしょう。

彼女の日記を前に、淡々と語る姿に、人間・室井慎次が現れて、その当時の姿を思い浮かべて(あえて、映像で回想シーンがないのがいい)しまったら、思わず涙が出てしまった。

堅物の官僚人生を歩む前に、彼は、こんな重たいものを背負っていたのだと理解できたからなのではないかと、振り返っています。

真実を突き止める室井の姿は誰にとっても怖い

「容疑者 室井慎次」の中で、彼を巻き込む周囲の人たちは、彼の真実を突き止めてようとする飽くなき姿勢、態度、行動に対して、妨害を続けます。

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「君のことが怖いんだよ」

フィクサー的な老人と観覧車で言われた言葉に全てが現れています。

組織の中で生きる官僚でありながらも、容赦なく、事件を解決して、真実を明らかにしていこうという彼の存在は、臭いものに蓋をして誤魔化していた方々にとっては、目の上のたんこぶなのです。

だからこそ、彼を社会的に消し去ろうと、あの手この手を尽くします。

失うものを持たないで突き進む人物の強さ。

妥協したくない生き方こそ、真面目人間、室井慎次の大事なポイントです。

信念を曲げずに、突き進むことへの限界

津田法律事務所 所長 弁護士、津田 誠吾(柄本明)が、以前、青島俊作と関わった彼は、相当、厳しい状況に追い込まれて、勇気を失ったと映画の中で、さりげなく、小原弁護士に語っています。

私も、昔、自分が持っていた信念は、曲げたというか薄まっています。

私の仕事への原動力、生きるパワーの源だったものを、さまざまな軋轢、問題、障害の中で、捨てたとは言わないまでも薄めるしかなくなり、いい年の大人として、頃合いを見つけてなんとか落とし所を見つけられる術を身につけてしまいました。

若者から見れば、妥協とか、怠惰だと批判されるかもしれません。

でも、自分の中で突き進むことに邁進したのは事実。

それを本当の意味で突き抜けきれなかったことで、梯子を外されたり、時代や環境が変化したことを受け入れざる得なかった。

それらに逆らって、生きていけるほど人間は強くありません。

あの室井慎次だって、最後は定年前に、自分のキャリアや仕事の限界、青島との約束を果たせなかった後悔を秘めていたわけですから。

室井慎次の3本の映画の中で、「容疑者 室井慎次」が最高傑作だと思う

その後、室井慎次に焦点を当てることはなく、踊るシリーズの中では重要な脇役ポジションとして活躍を続けていきました。

2024年、映画「室井慎次 敗れざる者」と映画「室井慎次 生き続ける者」という前後編的な作品では、警察を辞めた晩年の彼の人生そのものが描かれているので、本来のシリーズの警察組織問題が薄まりますし、衰えた姿がスクリーンにも描かれています。

正しいことをするために、信念の為に、偉くなってやろうとチャレンジを続けた室井慎次は、目指すゴールに到達できなかったという残念な物語になっています。

それと比べると「容疑者 室井慎次」は、まだまだ上に向かって行こうとする、バリバリの姿が垣間見れます。

約20年のブランク期間で彼に焦点を当てたのは、室井慎次を成仏させたい、柳葉敏郎を楽にさせたいという制作者側の意図を感じます。

それでも、私は、「容疑者 室井慎次」こそが、最高作品だと思えるのは、後半の喫茶店の語りのシーンへの共感、心情の傾倒があるからなのだと思います。

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安斎 輝夫
安斎 輝夫
【サードプレイス】ブロガー 、安斎輝夫。長年サラリーマンとして家庭と職場だけの生活に疑問を持ち、2017年から「サードプレイス」を研究・実践し、人と人をつなぐコネクターな存在になろうと決める。
Expand your life with energy and support. というミッションを定めて、人生を一緒に拡張していける仲間を増やすために活動を展開。月1回のリアルなイベント「サードプレイス・ラボ」の運営するリーダー(主宰者)。また、6人で執筆する、週刊「仲間と一緒にワクワクしながら、大人が本当の夢を叶える!サードプレイス・メルマガ」(まぐまぐ)の編集長。Facebookページおよびグループの「サードプレイス・ラボ」も運営中。