母親の愛情に支えられた、(故)横田慎太郎選手の人生を思う

ノンフィクションの場合、取材対象者を誰にすることで、どんな話が見てくるのだろうか。

若くして、脳腫瘍からプロ野球選手を引退して、この世を去ってしまった、横田慎太郎さんの話は、阪神タイガースのファン、彼の地元である鹿児島の方以外にも広く伝わっている逸話です。

当事者の家族、母親の目線、立場で、中井 由梨子さんが書かれた『栄光のバックホーム 横田慎太郎、永遠の背番号24』を読んでみました。

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ノンフィクションの主人公は誰なのか

ノンフィション作家が描くスポーツ選手の物語は、心が突き動かされるものが多い。

なぜならば、本人の努力と苦悩などを赤裸々に描き出せる能力が高いからであり、ファンや一般人からは見えていなかった姿が見えてくる。

実話ならば、当事者の周囲には家族がいて、関係者がいるはず。

栄光のバックホーム 横田慎太郎、永遠の背番号24』は、横田慎太郎さんを産み、育てて、命尽きるまで支えてきた母親の目線で描かれている点が特徴的な一冊です。

生前に横田慎太郎さん自身が書かれた『奇跡のバックホーム』の話を、最も近い家族から見てた、続編だと思うと感慨深いものがあります。

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今の時代、ここまで純粋に目標を決めて突き進む息子を持つ母親とは何なのか

親子なのか、兄弟なのかわからない関係性が広がったり、厳しさよりも、温かさだけが求められる時代になっています。

横田まなみさんは、横田真之(元プロ野球選手)と結婚し、長女・真子、長男・慎太郎を育てた女性・母親です。

慎太郎が野球に夢中になり、その練習に付き合い、応援してきた母親は、鹿児島実業時代に甲子園大会に出場できなかった悔しさを知り、その後、ドラフト会議で2位指名で、阪神タイガースに入団していることからも、理解と応援をする母親像に違和感はありません。

特筆すべきは、天然ボケでありながら、実直なまでに野球に取り組む息子、慎太郎との関係。

愛情を注ぐのは当然ですが、息子が病になって、入院・手術・治療に向けて戦わなけばいけない時に、親身に近くで支えた存在なのが伝わってきます。

家族のことだから、自分の息子のことだから、これぐらいはやれるはず、と考える人はいるかもしれませんが、どこか尋常ではないレベルで息子を信じて、支えている姿に心が揺さぶられます。

我が子の命と向き合うために、全力を注いだ姿

栄光のバックホーム 横田慎太郎、永遠の背番号24』を読んでいると、息子の活躍を信じ、病に勝つことを強く願っていた母親の姿が目に浮かびます。

病院に患者家族が寝泊まりを続けるというのは、尋常ではないことです。

全ての日常を捨てでも、必死に介抱に向かうために、側に居続ける存在。

命に関わる病気に苦しむ我が子と、どう接すればいいのか。

息子のファンもいれば、球団関係者、本人の友人・知人、医療関係者などの中でも、一番濃密なのは、母親だったのは間違いありません。

慎太郎さんが「マザコンじゃない」と言いたがる気持ちがわかるほど、距離感が近すぎる。

だからこそ、彼の代弁者でもあり、思いを残していける役割であり、その結果が、この本や映画に展開されたのは間違いありません。

参考サイト

映画『栄光のバックホーム』公式サイト

幻冬舎フィルム第一回作品 - 横田慎太郎を、決して忘れない。今を生きるすべての人に捧ぐ、28年の《真実の物語》

母親の愛情、息子への強い思いを感じられる内容に溢れていました。

我が子を見送る親の気持ちを思う

最大の親不孝は、親より先に亡くなることだと言われています。

でも、不幸な事故や病気が原因だとしたら、避けられない問題です。

横田慎太郎さんも、将来を期待された、プロ野球選手だったわけですから、本来ならば、活躍する姿を見ていたと一番強く思う立場の人間。

まさか、我が子が、若くして病魔に冒されて、回復できずに、この世を去るなんて展開には耐えられない辛さがあるのは言うまでもありません。

もちろん、闘病期間に一緒に過ごせたことは、恵まれていたとしても、到底受け入れられることではないでしょう。

その切なくつらい気持ちを著者が時間をかけて聞き出して、紡ぎ出している本だからこそ、後半に行くと、涙が流れてしまう作品なのだと思います。

やはり、親より先に、この世を去ることは、誰だって避けたいのですから。

明るく、強く、全力で生きた母と子、家族の話

選ばれし、プロ野球選手になるために、いろいろなものを犠牲にして、成し遂げるという点は疑いようがない事実。

でも、『栄光のバックホーム 横田慎太郎、永遠の背番号24』には、明るく、強く、全力で生きる、努力する、挑戦する横田慎太郎という人物(息子)を、支え続ける母親、家族の思いに惹かれます。

大好きな野球ができなくなる絶望、視力を失うという恐怖の中で、講演という切り口で多くの人に経験や思いを届けようとした息子は、最後は、神戸のホスピスで命をまっとうしていく姿。

もちろん、引退試合での奇跡のバックホームのプレーも伝説として残されるべき物語ですが、その彼を支えた家族、母親の強さと思いも多くの人に知ってもらいたいと思います。

いろいろな親子関係があり、何が正解、不正解なんて、他人が口を出せることではないですが、こんな家族、親子がいたんだということは記憶に留めておきたいものです。

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投稿者プロフィール

安斎 輝夫
【サードプレイス】ブロガー 、安斎輝夫。長年サラリーマンとして家庭と職場だけの生活に疑問を持ち、2017年から「サードプレイス」を研究・実践し、人と人をつなぐコネクターな存在になろうと決める。
Expand your life with energy and support. というミッションを定めて、人生を一緒に拡張していける仲間を増やすために活動を展開。月1回のリアルなイベント「サードプレイス・ラボ」の運営するリーダー(主宰者)。また、6人で執筆する、週刊「仲間と一緒にワクワクしながら、大人が本当の夢を叶える!サードプレイス・メルマガ」(まぐまぐ)の編集長。Facebookページおよびグループの「サードプレイス・ラボ」も運営中。