組織は小分けにしたほうが効率的だけど、個人がフィットするとは限らない

警察小説を見ていると、アウトローが活躍する話が多い

推理小説といえば、名探偵が出てくるという鉄板のイメージがあります。トリックを見抜く推理などで読者を魅了してくれます。

名探偵は基本は非組織な個人で活躍するパータンが多いもの。もしくは、数名のチームで自由に動いています。

現実離れした感覚が付いて回るので、だんだん、名探偵モノは人気が落ちてきているような気がしませんか?

一方で増えてきたのは、警察小説。警察という組織の中で、アウトローな刑事が組織内と犯罪と向き合う人間ドラマ。こちらのほうが、私たちの日常に親和性が高く、感情移入がしやすくなりました。

ここで大事なのは、組織の話なのに、自由な行動を自分の信念で動くという人物が主人公になるストーリーが多いと言う点です。

もちろん、「警察の組織は素晴らしい」という小説も作れなくはないのでしょうが、一般にウケる内容にはなりません。

だからこそ、大きな組織の中で、アウトローな人物が活躍すること、周りとぶつかる、はみ出しもののほうが話に引き込まれやすいのです。普通の人が感情移入をしながら楽しめるという点が特徴なのです。

人気ドラマ「相棒」の杉下右京なども明らかに、警察組織のアウトローとして自由に捜査を進めるスタイルが評判を呼ぶのは、組織の論理ではなく、個人の正義感で活躍するスタイルが多くの方に受け入れられている例として上げられます。

警察内の仕事人間の考え方も時代に合うのか?

GW中に、1冊のリサイクル本として『複合捜査 (集英社文庫)』(堂場瞬一)を手に入れました。100冊の著書を持つ堂場瞬一さんの名前は知っていたのですが、初めて読んでみることにしました。

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【あらすじ】

小説の舞台は、さいたま市。治安悪化に対応するために夜間緊急警備班が発足し、その班長に着任した若林警部は、部下の失態で出世街道を外れた主人公として活躍していきます。彼は、仕事の虫で部下を無能として扱うため、若手刑事からうっとうしがられています。ある夜、放火現場へ初動捜査に入る場面からストーリーが展開。次に、繁華街で発見された惨殺死体が、放火と関連があると睨んだ警備班が、凶悪犯を追っていく警察小説。

今の時代に、ここまで使命感をもって、警察内の仕事人間で生きられるのだろうか。

家族を蔑ろにして、仕事に向かう人間の姿が強く印象に残る。昔の日本のサラーリーマンなら、普通の姿なのだろうけども、現代の場合、ちょっと違和感が残る。

家族のために、自分の使命のために必死になるという姿を賞賛するほど、世の中は単純ではなくなっているということかもしれない。

今も、警察関係者は、必死に日々、社会の治安を守り、安心な世の中を築こうとしている存在。彼らもオフタイムは一市民であるということは変わらない。

命をかけて、社会悪とも対峙する姿は、素晴らしいし、感謝すべき存在なのは変わりません。(一部、困った警察関係者もいるでしょうが、組織の)

組織は細分化したまとまりだが、機能しない場合がある

警察小説には、必ず、所轄と本庁の対立軸や部署間の齟齬が出てくる。

警察に限らず、どんな組織も、拡大とともに細分化されたユニットに分けられる。

組織単位で動くと効率性は増しますが、横断的な活動が求められる場合、対抗しやすくなります。

だからこそ、プロジェクト単位で動くものが有効な時代にシフトしています。

期間の長さは別として、プロジェクトには始まりと終わりがあります。延々と同じルーティンの繰り返しでは済まないのです。

プロジェクト型も機能せず、失敗するケースはあります。特に、参加しているメンバーの意思統一が保たれないと、収拾がつかなくなります。

組織と個人の壁や矛盾を考えるには、警察小説は参考になりますね。

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投稿者プロフィール

安斎 輝夫
【サードプレイス】ブロガー 、安斎輝夫。長年サラリーマンとして家庭と職場だけの生活に疑問を持ち、2017年から「サードプレイス」を研究・実践し、人と人をつなぐコネクターな存在になろうと決める。
Expand your life with energy and support. というミッションを定めて、人生を一緒に拡張していける仲間を増やすために活動を展開。月1回のリアルなイベント「サードプレイス・ラボ」の運営するリーダー(主宰者)。また、6人で執筆する、週刊「仲間と一緒にワクワクしながら、大人が本当の夢を叶える!サードプレイス・メルマガ」(まぐまぐ)の編集長。Facebookページおよびグループの「サードプレイス・ラボ」も運営中。