西野亮廣さんは「炎上芸人」とか「ひな壇拒否芸人」とか、誤解を受けても負けない男なのは世界観が違うから
「キングコング・西野亮廣」という吉本興業所属の芸人は、若くして世に出てきたものの、ある時点から、別の顔を見せてきました。(テレビ番組からは姿を消したような印象を残しつつ)
絵本作家になり、クラウドファンディングで資金を集めて、思いもよらぬ企画を成功に導きながらも、ブログで自分の活動を伝えてきました。尖った切り口の考え方を表現し、行動することで、叩かれることで、インターネットの世界で「炎上」を繰り返してきました。
テレビ番組への露出が減っても、話題に事欠かない芸人かつ、多才な男として、注目を浴び続けながら、『魔法のコンパス 道なき道の歩き方』『革命のファンファーレ 現代のお金と広告』などの著書でもファン層を広げてきました。
自らのオンラインサロン、西野亮廣エンタメ研究所は、月額1,000円という価格で、1万人を超える会員を抱え、自分と一緒に活動する仲間を増やしています。
誤解を受けても、自分の道を歩んでいける、彼の強さと今回の書籍発売に向けた準備なども後悔することで、発売時点で重版となったのが、新刊『新世界』です。無料公開などの手法も気になったものの、あえて発売日までワクワクしながら待っていました。
西野亮廣さんの「貯信時代」という考え方は時代を掴んでいる
『新世界』全3章の中で、私は、この1章に注目してみました。
世の中は、「信用」に価値がシフトしていることを語っています。
お金を稼ごうという風潮は変わっていないものの、信用さえあれば、いつでも換金できる装置として、クラウドファンディングを捉えています。
確かに、信用を裏切るような行為をする組織や団体、個人は、認知度が高くても瞬間的に叩かれて、干されてしまう時代です。
一方で、積み上げた信用があれば、有名でなくても、成功できるという実例を、彼の周辺の人物を取り上げながら説明していくのでわかりやすい。
さらに、話しかけるように「〜ね」「〜よ」で終わる文章が、本を読み慣れていない人にも、直接、話しかけられる雰囲気で伝わってくる文章が特徴です。
私は、この本の中で、西野亮廣さんが何度も使っている、以下のフレームワークの図(炎上の4象限)が素晴らしくわかりやすくて、気に入りました。
信用度と認知度の二軸で切るフレームワークは、本全体を知り、読者自身が自分のポジショニングを理解する上でも、大事な図解です。(許可なく掲載してますが、許して欲しいです)
今、時代の寵児として、出版やインターネットの世界も飛び越えて、面白そうなことを仲間と一緒にやっているのが、信用度も認知度も高い面々です。
彼らは会社や団体などの既存の組織ではなく、オンラインサロンなどのコミュニティで自分と一緒にプロジェクトを回すメンバーと楽しみながら、色々なことにチャレンジしています。
このフレームワークの図の上側、信用度が高い人間であることが重要であるのは、誰もがうなづける内容でした。
オンラインサロン運営で何をやっているのかをオープンに
オンラインサロンは、ファンクラブだと言ってしまうと、一般常識が溢れる大人たちは、冷ややかに見てしまう。
もしくは、オンラインサロンという外から見えない世界の動きで、お金を支払ってまで参加していることを知ると、怪しんで、「宗教」だと揶揄する連中がいます。
オンラインサロンオーナーの条件として2点ほどあげています。
1.認知度と信用度が高い右上のポジションの人が成功している
2.具体的な成果物、作品をコンスタントに発表できること
図(炎上の4象限)の右上Bの人以外は、サロンオーナーになれず、失敗していると解説しています。
個人的には、2はわかりやすいです。何をやっているコミュニティ(オンラインサロン)なのかを提示することは、絶対に必要。しかも、何らかのアウトプットが出てこないと、参加者がモチベーションを保てないのも事実。
次に、図の右上Bの人でないと成功できていないという点は、反論します。
スケールに拘るオンラインサロンならば考え方として正しいでしょう。
参加者が多いことで、アウトプットに繋がらない、様子見のメンバーが多いとは言えないだろうか。1万人が同じ熱と行動量を保てないはず。もちろん、サブスクリプションモデルとして、オンラインサロンのビジネス面を考えると、規模は必要になるのでしょう。
ただ、何らかの目的のために、一定期間だけ、チームやユニットを組むようなオンラインサロンがあっても良いと私は考えます。
(無名な信用のあるオンラインサロンオーナーが、ビジネスとして儲かるか、サロン自身が熱を持って盛り上がり続けるのか、という課題は残りますが、小規模サークルでも楽しめる人たちはどこにでも存在していますから)
図の左上、Cの人たちもオンラインサロンオーナーとして成功するできる資質があるはずです。徐々に、認知度が広がり、右上のBに近く人がいないと、新しい旗を立てる人が誰もいなくなると思います。
オンラインサロンの男女のこと、プラットフォームの利用(手数料)なども正直に書いている点は、これから、オンラインサロンをスタートさせたい人、サロンを拡大させたい人、運営に苦しんでいるオーナーさんには、この2章は、役立つヒントにあふれています。
「新世界」を切り開く姿に、惹かれる人が多いのは納得
西野亮廣さんは、しるし書店、レターポットなども含めて、新しいサービスをオンラインサロンメンバーと作り上げている。
自分が必死に考えて、仲間と一緒に道を探る姿の先に「新世界」が生まれる。
全ての企画やプロジェクトが成功するとは限らないし、フリーランスタイプの人材が、オンラインサロンで楽しめる時期は、景気の動向次第では変わるのかもしれない。
「信用」が大事になる時代に、既存の仕組みや考え方を乗り越えていく男が、いろんなチャレンジを続けて、仲間を巻き込みながら突き進んでいく。
何らかの組織に属することで満足が得られる、幸せになれるという時代は終わる。
個人が強くならなければいけない。
でも、個人だけでは生きられない。どんな仲間と楽しみながら、信用を高めて生きていけるのか、その先に、「新世界」があるのだと思います。
ブームに乗って読むのも悪くないですが、この本で伝えたい、西野亮廣さんのメッセージを深く理解することも大切ですね。
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【サードプレイス】ブロガー 、安斎輝夫。長年サラリーマンとして家庭と職場だけの生活に疑問を持ち、2017年から「サードプレイス」を研究・実践し、人と人をつなぐコネクターな存在になろうと決める。
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