犯人が犯罪を予告するスタイルは、世の中を騒がせるには十分すぎます。
今や、情報の出所を追いかけるサイバー対策の警察組織などがあることや、ホワイトハッカーの存在で防げる部分と、その先にあるダークな部分は、いたちごっこを続けています。
映画「予告犯」は、現代的な犯罪と世相を盛り込んだ良作でした。(原作の漫画が良かったのかもしれません)
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サイバー対策が刑事物で定番になって久しい
犯罪に立ち向かう刑事物で、サイバー対策の部署が出てくる作品は、この10年で定着しました。
地道で、足を使った捜査で、情報を入手して犯人を捕まるという旧来の刑事ドラマのスタイルが通用しなくなったのは時代の流れです。
監視カメラの映像を解析し、ネットの情報発信元を探り、サイバー空間の犯罪を追い込む。
定番化したなかでも、映画「予告犯」は、込み入った犯罪者側の背景まで掘り下げた良作です。
世の中の悪を晒すこと=ネットを使った正義 という間違いを思い知る
社会悪があれば罰しなければならない、という考え方は間違いではないものの。
名もなき人物が私刑として相手を貶めるやり方は、スキャンダラスで、結果として、世間の注目を集めることになる。
世間で話題になっている、ガーシー(東谷義和さん)の本『死なばもろとも』のように、世の中のダークサイドをさらしていくスタイルに近いものがある。
「しんぶんし」と名付けられた予告犯は、期限を守り、相手に制裁を加えていく。
もちろん、善悪の価値観で考えてみれば、当初に問題を起こした当事者に非があるのは明らかで、その対象者に制裁あるべきというムードはわかる。
ネット(Twitter)などで、特定の人物・企業の人を叩いて、言葉による集団リンチのようなことを一般の人たちが匿名でやっている姿は、スタンダードになってしまった。
具体的な行動まで起こす「しんぶんし」たちの考えは、どこにあり、何を目指していたのかが、映画の後半でようやく明らかになっていきます。
日陰の存在であってもスターになれるのがネット社会
ネット社会の犯罪の特徴としては、日陰の存在として生きてきた犯罪者がダークスタートして有名になってしまう変貌にあります。
本来は、社会悪であれば、憎まれるべき存在なのに、いつのまにか、その行動やアクションを期待してしまう、トリックスターともいえる役割。
しっかりとした防御ができる知識がなければ、すぐに逮捕されてしまうので、クレバーでなければ、ネット社会の犯罪は起こせません。
一般大衆を味方につけるということによって、盛り上げるというやり方に問題があり、拡散・拡大すると手に負えなくなるという炎上要素を見逃すことはできないのです。
某コミュニティ内での「静御前」の話
私が、多少関わっていた某クローズドなインターネット上のコミュニティの中で、ハンドルネーム「静御前」という存在のことを思い出します。
荒れたチャットを正していく姿勢、まともなコメント、どれも模範的なコミュニティのキーマンでした。
ところが、ある時から、「静御前」は暴走し始めます。
自己の主張を押し付けて、排他的なコメントを増やしたり、運営側への不満を2chに書き込むなどの行為に及び、ペナルティを受けて、消えていきました。
クローズドな環境ではあったものの、コミュニティ内での注目度、変節っぷり、そして、異端とも言える言動やアクションは、映画「予告犯」に出てくる「しんぶんし」に近いものがありました。
決して、犯罪的な行為を行ったわけではないものの、場の空気を見出し、結果として強制退場一歩手前で、本人が姿を消しました。
「静御前」自身が、自分の正義感をエスカレートした結果、暴走をしたのは事実で、あのような展開になると、誰も止めることができないという部分では忘れられない記憶です。
悪役でも平然と演じられる生田斗真があっての作品
ジャニーズ事務所所属でありながら、役者としての活躍(歌わず、踊らず、アイドルをしない)している、生田斗真の存在が、この作品でキラリと光っています。
明るいキャラも演じられながらも、ダークさも問題なくこなせる貴重な役者さんです。
予告犯としてクローズアップされて、まさか、ラストに向かって、あのようなシナリオを描いているとしたら、彼は世の中に虐げられた存在ではなく、ある意味、天才的な頭脳の持ち主です。
淡々と、冷静に、ときに、感情を強烈に出したり、控えたりできるスタイルの役者さんが脚光を浴びて、活躍の幅を広げるのは当然の結果だと思います。
予告犯の模倣犯が現れないことを願うばかりです。
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【サードプレイス】ブロガー 、安斎輝夫。長年サラリーマンとして家庭と職場だけの生活に疑問を持ち、2017年から「サードプレイス」を研究・実践し、人と人をつなぐコネクターな存在になろうと決める。
Expand your life with energy and support. というミッションを定めて、人生を一緒に拡張していける仲間を増やすために活動を展開。月1回のリアルなイベント「サードプレイス・ラボ」の運営するリーダー(主宰者)。また、6人で執筆する、週刊「仲間と一緒にワクワクしながら、大人が本当の夢を叶える!サードプレイス・メルマガ」(まぐまぐ)の編集長。Facebookページおよびグループの「サードプレイス・ラボ」も運営中。