鈴木おさむが「小説SMAP」を書けたのは、彼らと一緒に歩んできた事実を、この世に刻んでおきたい気持ちがあったからだ!

暴露ではなく、ノンフィクションでもない小説だが、そこには真実が語れていると誰もが感じる一冊。

放送作家を2024年3月31日に辞めると決めた、鈴木おさむ氏が雑誌に書いた、あの話を一冊の本に仕上げた『もう明日が待っている』を一気読みしました。

初めて世に出た時ほどのインパクトはないものの、一冊の書籍、小説として残す(この辺りが実に上手い設定です)ことは、ある意味、彼の大事な使命だったのでしょう。

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誰が悪い!と切り込まず、彼らと歩んできた時間・歴史を小説にした男=鈴木おさむ

世の中には、暴露本的なものが出回り、話題を呼ぶことがある。

でも、『もう明日が待っている』は同じではなく、あくまで小説だと言い切ることで、このセンシティブな部分をなんとかスルーしている。

誰が悪で、善なのかという議論ではなく、そこに起こった悲しい事実と思われるものを表現することは、あのグループのそばにいた、彼だから、いや、彼にしか書けないものなのだと理解します。

そして、このタイミングで出せたのは時代の変わり目で、当事者が世を去ったからこそ、出せたのだと納得しました。

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アイドル冬の時代に、アイドルのスタイルを変えて、彼らと一緒にエンタメを作ってきた

アイドルは歌って踊ればいい存在だった時代は、彼らは神格化して、素の部分などが世に知れ渡ることはなかった。むしろ、隠されていた。

平成のスーパーアイドルだった、SMAPの6人(森且行が抜けて5人)のグループは、幅広い活動を通して、ファンを拡大し、世の中に知られていった。

もちろん、事件や批判がなかったわけでないけれど、バラエティ番組にも、MCにも、ドラマなどの芝居にも実力を発揮し続けた。

もちろん、その影には、敏腕マネージャーの飯島三智さんの存在があり、彼らが所属していた芸能事務所の力があったことは忘れてはならない。

その状況を、テレビのエンタメ番組を作る放送作家の立場で、彼らと関わってきたのが、鈴木おさむ氏であり、彼らの活躍と個性やキャラクターの部分まで踏み込んで書けている点が、小説とはいえ、インパクトが強い一冊に仕上がっています。

結果として、彼らが作った道程により、後輩たちは、活躍の場を広げてきたのは事実で、ある意味、メディア・芸能界への某事務所の影響力を拡大したことに寄与したことは忘れてはいけません。

SMAPとともにテレビ番組のエンタメを作ってきた彼は、タイミングを待って語らなければならなかったのだと思います。

放送作家の立ち位置で彼らと時代を作ってきた

鈴木おさむさんは放送作家の立ち位置をベースとして、クリエイティブな能力を発揮して、テレビ界における貴重な存在だったのは言うまでもありません。

おそらく、面白いコンテンツを生み出すことと、それに関わる人たちとの関係性が良好だったから、ここまで成功を成し遂げられたのです。

もう明日が待っている』の中で、SMAPと二人三脚で作り上げた番組の企画などは、令和の時代には忘れ去られるものかもしれませんが、明らかな爪痕を残しています。

おそらく、彼の育てた若手世代が今、最前線で頑張ってくれているのでしょう。

あんてる
あんてる
でも、今、テレビなんて見ないじゃん!若者なんて!

YouTubeや動画配信サービスの広がりの中で、テレビのコンテンツは、リアルタイムさを失い、面白いという噂があれば、Tverなどで追っかけて倍速で楽しむようなものに変わりました。

平成のテレビコンテンツとスーパーアイドルを語る上で、鈴木おさむ氏は欠かせない存在であるものの、彼が、SMAP解散後に、大きな喪失感を味わっていたことは事実として認めるしかないでしょう。

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同世代としてSMAPの解散は喪失感が残ったのは強烈に覚えている

私がSMAPを始めてみたのは、週末の午後のアイドル番組だったと記憶しています。

歌が上手いわけでも、踊りが上手なわけでもなく、ものすごくかっこよくて、イケメンばかりの集団でもないアイドルグループ。

いつの間にか、バラエティ番組に進出し、さまざまなところで、彼らを目にするようになり、彼らの活躍に注目せざるを得ませんでした。

私が大学生の頃までは、カラオケは仲間内で楽しめる遊びだったのですが、SMAPの「青いイナヅマ」に替え歌の歌詞をつけて、毎回、歌っていたことを覚えています。

彼らは、グループとしての活動よりも、個性を活かした分野で能力を発揮して、世の中に浸透していきました。

それだけに、2016年に発生したSMAP解散騒動は、驚きでしかなく、その真実を知りたいと思うものの、当事者である彼らや敏腕マネージャーが語ると、そこには複雑な思いが滲み出てしまうのは明らかなので、封印されるものだと思っっていました。

それだけに、彼らの中の3人が事務所を退所して、メディアから消えた期間に、喪失感が芽生えたのは事実で、テレビ離れは加速したのは間違いありません。

そこまで大好きだったとはいえなくても、同世代で同時代を生きているものとして、何かの終わりを感じとり、自分自身のこれからの生き方を見つめ直すことにつながったのだと思います。

彼らもシニアに近づき、どう生きていくのかは課題のはず

第一線でキラキラ輝いていた彼らも、もう50代に差し掛かり、当然、同世代として歩んできた、鈴木おさむ氏は、自分の存在を「ソフト老害」と認識し、放送作家というフィールドから降りることを決めました。

それだけに、ここからは自らにスポットライトを当てるだけでなく、どう生きるのか、どのような活動に取り組むのかは、重要な問題になります。

彼らのリーダー、中居正広さんは、大病を煩い、治療・療養期間が必要になった時に、何を考えていたのでしょうか。

自分が芸能界などの諸先輩から吸収したものを、どうやって、時代に合わせつつ、後の世代に伝えていくのかは、大切なミッションなのではないでしょうか。

決して、現場から身を引けばいいというのではなく、自分たちだからできることに、意識を向けてほしと願っています。(プロデューサー側に徹しろ!という意味ではないということです。あくまでプレーヤーでいいけども、立ち位置の変化を受け入れてほしいという願いです)

私は、再結成することだけがゴールだとは思いません。

鈴木おさむ氏が、『もう明日が待っている』を、今のタイミングで世に出したのは、平成の時代は終わったという認識と、そこにあった光と影の部分を含めて、必死に走ってきた彼らへの愛だったに違いないと、私は勝手に推測しています。

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投稿者プロフィール

安斎 輝夫
安斎 輝夫
【サードプレイス】ブロガー 、安斎輝夫。長年サラリーマンとして家庭と職場だけの生活に疑問を持ち、2017年から「サードプレイス」を研究・実践し、人と人をつなぐコネクターな存在になろうと決める。
Expand your life with energy and support. というミッションを定めて、人生を一緒に拡張していける仲間を増やすために活動を展開。月1回のリアルなイベント「サードプレイス・ラボ」の運営するリーダー(主宰者)。また、6人で執筆する、週刊「仲間と一緒にワクワクしながら、大人が本当の夢を叶える!サードプレイス・メルマガ」(まぐまぐ)の編集長。Facebookページおよびグループの「サードプレイス・ラボ」も運営中。