元近鉄バファローズの投手:佐野慈紀さんが糖尿病による合併症で右腕を切断した体験記

ピッカリ投法の佐野慈紀(本名:佐野重樹)元投手、ユニークで明るいキャラクターで、中継ぎ投手で初の1億円プレーヤーでした。

数球団を渡り歩き、現役引退後、トルネードで有名な野茂英雄・元投手に1億円の借金をして訴訟されていることがニュースになって驚きました。

さらに、ニュースで見た姿は、右腕を切断されて、利き腕ではない左手でボールを投げる姿。

なぜ、彼が投手の生命である右腕を失ったのか、気になっていたところ、一冊の本『右腕を失った野球人』(KADOKAWA)の存在を知り、読んでみました。

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佐野慈紀さんのニュースを見て、ブログも読んで

39歳で糖尿病を発症し、その闘病生活の苦しみと葛藤に関して、ニュースと彼のブログを見て、知りました。

参考サイト

私がプロ野球をよく見ていて、選手名鑑を手に取っていた頃の選手の一人が、こんな状況に陥っているのか、と知って、言葉を失いました。

 

どうして、こんな過酷な状況に陥ってしまったのだろう、と彼自身の言葉で綴った一冊を読み耽りました。

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糖尿病の悪化は、足の切断だけでなく腕の切断もある

佐野さんが、右腕を切断したのは、糖尿病の病状が悪化し、感染症の転移が原因だと書かれています。

糖尿病の合併症によって足を失うリスクがあることは知られています。

高血糖状態が長く続くと、神経障害や血管障害が起こり、足の傷が治りにくくなったり、感染症にかかりやすくなったりします。

最終的には、壊疽が進み足を切断しなければならない場合もあります。

佐野さんの場合、その状態が右手の指に影響を与えて、腕を切断するまでに至ったわけです。

糖尿病の合併症は、恐ろしいものであり、病気の啓蒙を伝えるために、彼は、『右腕を失った野球人』を世に出すことを決めたと言います。

自らの体験記を赤裸々に書く勇気と彼の思いを感じることができました。

プロのアスリートが引退後に幸せな人生を歩めるとは限らない

類まれなる才能、運を持ち合わせて、光り輝く舞台で活躍するプロのアスリート。

必死に練習をして、自分の技術を磨いて結果を出したことで評価される世界。

彼は、近鉄バッファローズで1年目から活躍した中継ぎ投手でした。

現役引退後のキャリアについては、本の中でも書かれていますが、順調だったとは言えません。

彼らのセカンドキャリア問題は深刻です。

指導者・コーチや解説者になれる人物は一握りであり、大半は、別のキャリアを築く道を選択せざるを得ません。

佐野さんも、生活水準が下げられないという問題もあったようですが、何かと苦しんでいた素振りは、文章の中で垣間見れます。

そこに、糖尿病(心臓弁膜症も患っています)を発症し、治療を開始して、数年で、人工透析、右足中指を感染症で切断し、自分を支えてくれた右腕までも失います。

自暴自棄になり、諦めてしまう人もいると思うのですが、元来の強がりな性格な彼は、複数の病院、医師とともに、治療に向けて取り組んできました。

彼の人間性、コミュニケーション能力など社会性全般は正しくは理解できませんが、本書を読む限り、周りから心底嫌われるだけの人ではない(全ての人が心酔するようなカリスマでもないですが)ということは伝わってきます。

それだけにセカンドキャリア、人生の変節の先にある苦労は予測ができないことだと思い知らされます。

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透析クリニックの送迎ミニバンを見かけます

私の駅までの通勤経路に、人工透析専門のクリニックがあります。

クリニックの前には数台の送迎用のミニバンが置かれていて、週3回の透析患者を運んでいる様子が伺えます。

「1回4時間程度、週3回」と聞けば、普通の人の感覚ならば、アルバイトか、パートではないかと思うでしょうが、これが、人工透析患者の日常です。

体力的にも疲れてしまうし、この時間の長さも慣れても大変だという話を聞きます。

佐野さんも、現在、腹膜透析をやったものの、通院型の人工透析を週3回行っているとのこと。

糖尿病の進行は、投薬から、インシュリン投与、人工透析と段階を踏んでいき、その過程の中で、金銭的制約よりも、時間的・心身的な負担が重なっていくのです。

人工透析まで至れば、受給要件をクリアすることを前提として、障害者手帳を取得できます。

ただ、それはメリットというよりは、多少の負担を軽減できるに過ぎません。

また、糖尿病も完治・寛解しない(最近は、治るという話も一部にありますが)病ですから、継続的な治療・処置が必要になります。

続けたからと言って、大幅に改善されるものではなく、現状維持すら、徐々に厳しくなるのが現実だと言われています。

参考サイト

血糖おじさんのセルフ治療(糖尿病専門医の人気Youtubeチャンネル)

親友・野茂英雄に1億円の借金をするまでに追い込まれた男

糖尿病患者として、自分の経過を時系列に丁寧にまとめ上げているだけに、この病気の怖さを感じてもらえるでしょうし、予防と治療に向けて、どう取り組むべきか考えさせられる一冊です。

家族とも離れることになった、佐野さんの背景は病気よりも、親友・野茂英雄への借金問題だったと言われています。

金額が億という単位に驚かされますが、返すアテがあったのか、その計画性には疑問が残ります。

もちろん、佐野さんも語れない事情はあるのでしょうが、結果として、親友からの借金により関係性も壊してしまったのは事実。

そこまで追い込まれた男が、投手の命、利き腕の右腕を失ってまで、生きようとする姿。

終章で、彼の家族と野茂英雄への懺悔、後悔の気持ちが書かれています。

そこに何を感じるのかは、読者次第だと思います。

少なくとも、私は、佐野さんが、少しでも活躍の場が増えて、一人でも多くの人に糖尿病の現実を知ってもらうためにも、頑張ってもらいたいと思います。

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安斎 輝夫
【サードプレイス】ブロガー 、安斎輝夫。長年サラリーマンとして家庭と職場だけの生活に疑問を持ち、2017年から「サードプレイス」を研究・実践し、人と人をつなぐコネクターな存在になろうと決める。
Expand your life with energy and support. というミッションを定めて、人生を一緒に拡張していける仲間を増やすために活動を展開。月1回のリアルなイベント「サードプレイス・ラボ」の運営するリーダー(主宰者)。また、6人で執筆する、週刊「仲間と一緒にワクワクしながら、大人が本当の夢を叶える!サードプレイス・メルマガ」(まぐまぐ)の編集長。Facebookページおよびグループの「サードプレイス・ラボ」も運営中。