2003年、フジテレビ開局45周年記念ドラマ「白い巨塔」がNetflixで視聴しました。
『白い巨塔』は、1960年代に書かれた、山崎豊子の長編小説。浪速大学に勤務する財前五郎と里見脩二という対照的な人物を通し、医局制度の問題点や医学界の腐敗を鋭く追及した社会派小説として有名です。
当時のオールキャストとも言える、俳優陣を揃えて、財前五郎を唐沢寿明、里見脩二を江口洋介で展開し、他にも今や主役級の俳優が若手カテゴリーで登場しています。
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ドラマ「白い巨塔」が地上波で再放送されない
あれほどまでに重厚で予算をかけて作られたであろう、ドラマ「白い巨塔」(2023年版)は、なかなか、地上波では再放送をされていません。
出演者が多く、その中に、問題を起こした人物がいるから、という理由と、医学会の闇、権力や腐敗を世の中に伝えるのは、インパクトが大きいという判断という説があります。
もちろん、全21エピソードというボリュームの影響という話もあります。
主役の財前五郎のギラギラ感と対峙する里見脩二の医師としての真摯さ
「白い巨塔」を見ると、野心を持って、自分の技術に自信がある、財前五郎のギラギラ感が全sトーリーに影響しています。
あまり裕福でなかった彼が、財前家の婿養子になり、助教授から教授になっていくという、権力を得るための病院内抗争のドロドロ感も、現実にあるのではなかろうかと一般人に想像できるレベルにまで仕上げています。
一方で、財前の同期である、内科医の里見の研究と、患者に真摯に向き合う姿勢のギャップ。
単純に、どちらが善悪と言えないような作り込みが、山﨑豊子さんの原作の深さを映像化しているということなのでしょう。(単純な善悪の方が誰もが感情移入をしやすいのですが)
医療事故とも呼べる事案から、裁判に発展していき、多くの人を巻き込んでいきます。
患者と家族は、医師に委ねるしかない立場、知識であるため、弱い存在です。
検査をたくさんすることが必ずしも良いことではないにせよ、財前の教授着任時、海外での活躍が華々しい時期に、目の前の患者に対して、説明が足りなかった事実。
インフォームド・コンセントという、医療者が患者さん(または家族)に対し、病状、検査・治療内容、期待される効果や副作用、代替案などを十分に説明し、患者さんがそれを理解・納得した上で、自らの意思で同意・選択する医療行為の基本原則を軽く扱ったことが、トラブルの元凶になっています。
それらを周囲の医療従事者、特に、同期の内科助教授の里見も関わりながら、展開されていき、絡まった人間関係が深く胸に刺さります。
あの対極的なキャラクターを「愛という名のもとに」(1992年)という10年前の大学のボード部の仲間として演じていた唐沢寿明と江口洋介(実際は年齢は5歳ほど離れている)が演じるのも、なんとも言えない因縁を感じました。
里見助教授は本当に良い医者だったのか
では、財前と対峙する役回りの里見助教授は、どんな人物だったのか、改めて見ながら考えました。
大学病院の医師として、研究、医学生への指導、臨床としての患者の診察など多忙であり、家族と関わる時間が限られていた様子が伺えます。
これこそが、大学病院の医師の姿そのもので、彼らが労働対価として、収入が見合わないと感じるのだと理解できました。
上司である鵜飼教授からの信頼もありつつ、周りからも信頼をされ、患者とも丁寧に接している姿には頭が下がります。
外科医としてオペをする財前と比べると、診察室や診断画像と向き合う姿が多いので、地味な印象はありますが、良い医師として見られているのはわかります。
また、その優しさから家族や周囲からも信頼はされているものの、財前の暴走的な行為は価値観の違いだと、ある意味で、諦めていたのも伝わってきます。
ドラマ「白い巨塔」では、もし、里見の講演会で、佐々木庸平の妻・よし江が参加して、突撃的な行為をしなければ、医療事故的な判断を伴う医療裁判に至らなかったわけです。
里見が、財前の外科医としてのオペの技術を信頼していたからこそ、繋いだ結果、不幸な展開が生まれたわけであって、きっかけは里見にあるとも言えるわけです。
だからこそ、彼は裁判に証人として出頭し、浪速大学医学部を追われることになるわけですが。
ドラマの中で、大活躍する里見医師の姿は少なくて、人間的な好人物に描かれています。
ただ、世渡りや家族のことを考えたら、あの生き方は不器用とも言えるでしょうし、だからこそ、里見というキャラクターが財前の対局として際だているとも言えるのでしょう。
江口洋介といえば、なぜか、医師役が目につく
ロン毛キャラとして、世間に知れ渡った、江口洋介さんは、実は、「白い巨塔」以外にも、医師役が多いと感じます。
「救命病棟24時」シリーズでは、救命救急センターの医師・進藤として活躍をしています。
主役ではなくても、敵役から、好人物まで幅広くこなせるのはさすがですが、最近でも、劇場版 TOKYO MER 走る緊急救命室 南海ミッションで牧志秀実というチームドクター候補を飄々と演じています。
ある意味、白衣を着て、医師として活躍している江口洋介が実在するのではないかと思わせるほど、人間的で、患者と向き合う素晴らしい姿が目につきます。
だからこそ、「白い巨塔」というドラマにおいて、里見助教授は、江口洋介が適任だったのだと改めて納得させられました。
伏線回収と無理な展開力よリモ、掘り下げられている「白い巨塔」
リアルな設定、ストーリーを描く、山﨑豊子の作品を映像化・ドラマ化するのは、色々と難しい要素があるのはわかります。
スポンサーや社会的な影響を踏まえると、デフォルメしないと困るし、リアルすぎると楽しめないと思う人が多いのも事実でしょう。
だからこそ、「白い巨塔」は改めて見ると、作品の独自性は感じます。
私は、ダブル主演作品の中で、里見を演じた江口洋介が効果的に効いたことで、唐沢寿明の財前が輝いたような気がします。
「俺は君を助けたいんだ。君の不安を受け止めたいんだ」
この里見のセリフが、財前に突き刺さった瞬間は泣きたくなるのは、何度見ても同じです。
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【サードプレイス】ブロガー 、安斎輝夫。長年サラリーマンとして家庭と職場だけの生活に疑問を持ち、2017年から「サードプレイス」を研究・実践し、人と人をつなぐコネクターな存在になろうと決める。
Expand your life with energy and support. というミッションを定めて、人生を一緒に拡張していける仲間を増やすために活動を展開。月1回のリアルなイベント「サードプレイス・ラボ」の運営するリーダー(主宰者)。また、6人で執筆する、週刊「仲間と一緒にワクワクしながら、大人が本当の夢を叶える!サードプレイス・メルマガ」(まぐまぐ)の編集長。Facebookページおよびグループの「サードプレイス・ラボ」も運営中。




