「ロボットが人間の仕事を奪う時代になる」という言葉を耳にすると、危機感を感じる人と、楽になると喜ぶ人で極端に感覚が違ってくると思います。
いつの日か、人間はロボットたちに全てを乗っ取られてしまうようなSF映画のイメージが強いのではないでしょうか。
日本のロボット業界をリードしている一人、中嶋秀朗さんの『ロボット–それは人類の敵か、味方か――日本復活のカギを握る、ロボティクスのすべて』を読んで考えてみました。
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人間と同じ能力・動きをロボットが身につけるのは、ずっと先の話
鉄腕アトム、ドラえもんなど、アニメや映像作品で見てきた、ロボットたちは、人とコミュニケーションをとり、友好な関係を築いてくるものと、人間と敵対してくる存在として扱われるものがあります。
ロボットがあのレベルまで成長するには、AIによる頭脳面だけでなく、ロボティックスによるハードウェアと動きが連動しなければ完成しません。
pepperなどのロボットであっても、機能は限られており、人間と同水準に到達しているとは言えません。
つまり、ロボットが人間と同じ能力・動きをロボットが身につけるのは、ずっと先の話だと聞かされると納得します。
ロボットは単機能でシンプルなものが人間社会を支えてきた!これからも単一機能の向上が優先的な見込み
『ロボット–それは人類の敵か、味方か――日本復活のカギを握る、ロボティクスのすべて』を読むと、日本のロボットの歴史がわかります。
高度経済成長を遂げて、オイルショックの最中、「産業用ロボット」が誕生し、人の腕の機能を代替する単機能なものからスタートしたという事実を突きつけられます。
1980年以降、技術の進歩により、複雑な動きにチャレンジされ、二足歩行まで進むものの、結局、単機能の精度を高める方向に進んできました。
ロボットの頭脳にAIを搭載することで、頭脳としては進展したものの、まだ、肝心の動きを伴うロボテックスの部分は、サイボーグ的なヒューマノイドなロボットまでは到達できていません。
一方で、人の動きをサポートするようなロボットにより、支援型なものは増えていき、身体にハンディキャップを持つ人を支えたり、高齢者の生活を支えることは期待ができます。
お掃除ロボットのルンバや、空中移動のドローンのような単一機能に特化したロボットは増えて便利になってきますが、100%人間と同等なものを求めるのは無理な状態です。
人間と同じレベルというのは、複雑すぎて、技術力が追いつかない
鉄腕アトムの時代から、人間と変わらない見た目と動きに、ロボットらしい特殊な能力を身につけるロボットへの憧れは、私たちの根底に埋もれている期待感です。
ただ、人間と同じレベルに到達できるロボットは、さまざまな機能や設計が複雑すぎて、技術力を総合的に整えることは難しいのが現実です。
中嶋さんは、専門家でありながら、夢のようなロボットへ期待しすぎず、単機能の高度化した種類が増えるイメージを伝えようとしているリアリストでした。
逆に言えば、人間という生命体は、複雑な精密機械以上の存在であり、身体という外部に加えて、頭脳という蓄積と判断を伴う機能を持ちつつ、感情という変動が大きな捉えどころのないものも内包しています。
ある意味、神様が作ったと言える「人間」という最高傑作と同レベルのものを作ろうというアプローチそのものに無茶があると言わざるをえません。
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ドラえもんは22世紀からきた猫型ロボットですから!
例えば、ドラえもんという有名な存在から考えてみましょう。
22世紀からタイムマシーンに乗って現代にやってきた、ドラえもんは、未来の不思議な道具を提供してくれて、人(主に、のび太)に寄り添ってくれる猫型ロボットです。
ドラえもんの能力は充電能力、言語理解、動きなどトータルに考えて、ものすごい技術が詰まっています。
あのレベルのロボットが今から80年後に、生まれているのか?と聞かれても、YESと断言できないのが、ロボティックスの難しさです。
人間の能力や行動を支えるロボットは誕生しても、コミュニケーションを完璧に、思惑以上の価値を提供してくれる存在が生まれるというのは、無理なのではないでしょうか。
ロボットは人間を支えるサポート機能が主軸であり、代替できる存在にはなれない
AI技術の進化と、ロボティックス技術がめざましく発展する未来は予想できても、あくまでも、ロボットは人間を支える存在だと想定します。
AIなどのソフトウェアで考えることができても、それを実装として、現実社会でロボット自身が動いてやり切れるようになるには、壁が多いことを、中嶋さんが語っています。
専門家が言うのですから、100%人間と同等か、それ以上なヒューマノイドなロボットを作り上げることは、まだまだ時間がかかるのです。
ロボットが人間を支配するようなイメージは、SF作品としては成立しても、現在のペースでロボット技術が進化している程度では、無理な世界だと認めるしかありません。
いつか、ロボットと友情を分かち合ったり、恋愛に落ちるような未来が訪れたら、と想像するのは楽しいものですよね。
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【サードプレイス】ブロガー 、安斎輝夫。長年サラリーマンとして家庭と職場だけの生活に疑問を持ち、2017年から「サードプレイス」を研究・実践し、人と人をつなぐコネクターな存在になろうと決める。
Expand your life with energy and support. というミッションを定めて、人生を一緒に拡張していける仲間を増やすために活動を展開。月1回のリアルなイベント「サードプレイス・ラボ」の運営するリーダー(主宰者)。また、6人で執筆する、週刊「仲間と一緒にワクワクしながら、大人が本当の夢を叶える!サードプレイス・メルマガ」(まぐまぐ)の編集長。Facebookページおよびグループの「サードプレイス・ラボ」も運営中。