映画を1本作るのに、どれだけコストがかかっているのか、手間をかけているのか、ご存知ですか?
私も、映画のエキストラとして1日を費やした体験を少しだけ書かせてもらいます。(もはや、時効になっていると思うので)
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映画を見る側には、記憶に残らないシーンにもものすごい手間がかかってる
黒澤明監督が「七人の侍」の撮影のために、雲が気に入らないという理由で何日も撮影をストップさせたという有名な逸話があります。
映画監督を筆頭に、映画スタッフ関係者は、細かいところに気を使い、手間暇を惜しまずに作品を作り上げています。
あなたが映画を見る立場としては、記憶に残らないシーンであっても、実はものすごい手間がかかっているのです。
映画の制作費って、ものすごくコストがかかる
そもそも、映画の制作費ってどれぐらいのコストがかかるかについて、調べてみました。
作品によってコストの幅はピンキリなのでしょうが、参考までに調べてみました。
映画の制作費はいくらかかる?平均や内訳、歴代ランキングまとめ(あした話せる嗜好品メディア、ルークス)という記事の情報です。
邦画にかかる制作費
映画の制作費は作品の規模によって変わります。スタジオジブリなどのアニメ作品になると10億円〜50億円までと高額な制作費がかかるものも多くありますが、日本の大手映画製作・配給会社がつくる実写映画は約数千万円〜5億円程度の制作費が多く、10億円を超えると「高い」といえるでしょう。
ハリウッド映画にかかる制作費
ハリウッド映画は数億円〜300億円と、日本に比べてはるかに高い制作費がかけられています。ピクサーやディズニーなどのアニメ作品でも30億円〜260億円で、特にCGが多く使われるファンタジーやSF作品は全編3Dなど最新技術が更新されるたびに高額になっています。
どんなに安くても、数千万円の制作費がかかり、高額になると300億も必要になります。
なぜ、ここまで費用がかかるのか、主に2つに分けられると言われています。
・撮影費用(クランクイン〜クランクアップ)
・編集費用(映像編集、音楽挿入など)
まず、ロケという撮影に関わる費用が莫大になります。
機材費、ロケ地の使用料、スタッフ人件費、役者への出演料など。
これがクランクイン〜クランクアウトまでの日数によって、しかも、出演する役者さんのフィーと人数によって大幅に影響を受けます。
無名な役者たちばかりの映画がヒットするのは、特殊な例しかありません。(下記の「カメラを止めるな」などのケース)
さらに、現在の映画は、実写であっても、VFXなどの特殊効果・視覚効果(わかりやすい言葉で言うと、CGが近いです)を盛り込み、撮影後の編集作業にも膨大な手間と時間がかかります。
撮影・編集ともにプロが全力でスケジュールを守って制作すると言うのが映画の醍醐味です。
※ あくまでも制作費なので、その後の広告宣伝費用などは考慮していません。
映画のワンシーンって、どれぐらいで撮影してるのだろうか?
では、映画のワンシーンって、どれぐらいで撮影していると思いますか?
2時間の映画を作るために、使われるシーンの数を考えて、制作日数でカウントすると、実は、1日に撮影されているシーン数って限られます。
当然ながら、撮影場所の都合、シュチェーション(季節や天候)もあるので、余裕を持って準備はするでしょうが、1日をかけて、撮影できるのはわずかなシーンでしかありません。
どんなに役者がセリフや動きを覚えていても、カメラ機材のセットを準備する時間、リハーサルも含めた時間、など、プロとアシスタントがきめ細かく準備をしても、スムーズにいっても、時間を要します。
1日でワンシーンだけしか撮れない日もあるでしょうし、諸事情により1日を無駄に過ごさざる得ないことだってありえます。
実際にエキストラとして出演した私の体験談
「映画の業界関係者でもないのに、偉そうなことを書いて、実績でもあるのか?!」
とお叱りを受けそうなので、ここで、10年近く前、私自身が、映画エキストラ出演したことを書かせていただきます。
映画「踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望」のエキストラ出演をインターネットで見つけて、参加応募をしてみました。
厳正なる抽選の上(エキストラですから、オーディションはない、大量出演のケースです)、参加できる時点で大はしゃぎしていました。
日曜日の朝5時30分に都内某所(23区外)の某駅から徒歩10分弱の場所に集合という指示です。
我が家からは、始発電車に乗ってギリギリのタイミングです。
前夜の興奮で寝不足のまま、ロケ場所に出向きます。(寒い季節でした)
当日のエキストラは、数十名規模。
条件は、ダークスーツを着てくること(黒髮でロン毛NG)。
捜査会議のシーンなので、その他大勢の刑事役です。
当然、セリフはないし、難しい動きもありません。
当日の流れを説明を受けて、撮影場所にスタンバイ。
その前に、軽食の朝ごはんを食べさせてもらいました。
機材などスタッフが準備しつつ、ADさんらしき人(助監督アシスタントとか、エキストラ担当の方だったと思います)から細かい注意や説明が続きます。
「役者さんなどとの会話、撮影、サインなどは行わないこと。映画公開まで今日の話を一切口外、SNS投稿などをしないこと」
厳重な注意を受けました。(契約書もサインもないんですけど)
撮影シーンまで待つこと数時間
「みなさん、弁当を用意しておりますので、控え室でお食事をしてください」
え?何もしないままに午前中が終わってしまった。
スタッフ向けの弁当とお茶を飲み、時間を過ごして、午後になって、役者さんたちが動きやセリフ、カメラの段取りなど、細かい設定が続きます。
明らかに飽きているエキストラも出てきます。
大事なのは、このエキストラは無給のボランティアで、エンドロールにも個人の名前なんて出ないし、ロケに参加したとしても映る保証がないのです。
撮影が始まったのは、夕方近くでした。
数シーンを何度か撮り直します。
「みなさん、カメラを意識しないでくださいね。あくまで、刑事さんですから」
もちろん、テレビ番組の街頭中継コーナーではないので、当然です。
撮影準備で細かい、打ち合わせや確認、役者さんの動きやセリフのチェックなどが続きます。
日が暮れました。
19時頃、また、朝のADさんらしき人が声をかけてきました。
「もうしばらく撮影に時間がかかります。もし、ご帰宅などされなければいけない方は、退出されても結構です」
朝5時半に来れるんだから、大丈夫なのでは、と思っていたところ、斜め前に座っていた人が、立ち上がります。
「昨日近くのホテルに泊まったけど、明日仕事だし、地元が仙台なんで帰ります。」
と話しかけてきました。
ギャラなしで、ホテル、新幹線代まで払って参加する人がいるんだと驚きました。
さらに、数時間撮影が続き、21時過ぎにエキストラの方は解放されました。
帰りのお弁当と参加した証明となる、ノベルティグッズをもらって、トボトボと帰りました。
長い1日でした。
ほんの数秒だけスクリーンに映った!!
当日、エキストラの配置なんていうのは、偶然の産物にすぎないものでした。
ただ、センターに近い位置なので、カメラが役者を撮っている背景に写り込んだ自信はありました。
当然、映画「踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望」は前売り券をゲットして、公開初日に行きました。(試写会は当たらず)
映画を楽しむテンションがいつもと違い、あのシーンは、映画のどの辺で使われるのか、はたまた、全カットなのかドキドキ。
あ!あのロケ場所だ!
そのシーンが映ります。
役者さんのセリフも覚えています。
ストーリーそっちのけで、スクリーンに集中!
いた!映った!!
そりゃあ、映画館で小躍りしたい瞬間でした。
おそらく、何も知らない人は、風景のような存在として見ていたにすぎないでしょう。
映画のクォリティや評判・評価はさておき、自分が映画の中に入り込んだ人になれたことを心から喜びました。
Blu-rayを買って、何度も、そのシーンを見ました。
家族には、
俺はムービスターだ!!
と興奮して、何度もいうので、失笑され続けました。
エキストラ体験から振り返る!一瞬のために手間を惜しまない、手抜きしないこと
思い出話や自慢話をしたいわけではありません。
そう、あのワンシーンや数カットのために、どれだけ多くの人が関わり、時間と手間をかけていたのかという事実から振り返ります。
一瞬のために手間を惜しまない、手抜きをしないことで、1つの作品が完成しています。
映画や映像なら当然です。
では、あなたの日常周辺ではどうでしょうか。
ちょっとしたことに手抜きや手間を惜しんだり、誰かがやってくれた細かな気遣いや作業に対して、どういう態度をとったり、理解を示しているのでしょうか。
結構、おざなりな対応をしていませんか。
お金を払っているんだから当然だ。
家族なんだから当たり前だ。
この程度でいいや、とりあえず。
そんなことを考えていますか?それとも無意識ですか?
今、世の中が大変な状況が続いていますが、その時に、相手やその裏側にいる人やモノにどれだけ苦労や工夫、手間をかけているのか、想像してみましょう。
目の前のことを大事にする気持ちになれますから。
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【サードプレイス】ブロガー 、安斎輝夫。長年サラリーマンとして家庭と職場だけの生活に疑問を持ち、2017年から「サードプレイス」を研究・実践し、人と人をつなぐコネクターな存在になろうと決める。
Expand your life with energy and support. というミッションを定めて、人生を一緒に拡張していける仲間を増やすために活動を展開。月1回のリアルなイベント「サードプレイス・ラボ」の運営するリーダー(主宰者)。また、6人で執筆する、週刊「仲間と一緒にワクワクしながら、大人が本当の夢を叶える!サードプレイス・メルマガ」(まぐまぐ)の編集長。Facebookページおよびグループの「サードプレイス・ラボ」も運営中。