【映画】「記憶にございません!」(2019年公開)は、どんな人も変われるって物語

「記憶にございません!」

アメリカのロッキード社と日本の総理大臣・田中角栄の間の贈収賄の橋渡しに関与した、実業家・小佐野賢治の証人喚問で連呼した言葉として、1976年(昭和51年)に大ブレイクしたフレーズです。

証拠でなく、記憶という自分自身が忘れたと言い張ることで、難局を乗り切ろうとする。

このフレーズを喜劇映画に仕上げてしまうのは、三谷幸喜監督の映画「記憶にございません!」をPrime Videoで視聴しました。

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内閣支持率2.3%の内閣総理大臣って絶対にいないから!

総理大臣が演説中に、傍聴していた一般人から投石を頭に受けて、国会議員になってからの記憶を失ってしまうという奇想天外なストーリーから始まる作品。

内閣支持率2.3%という信じられない嫌われ者の総理大臣、黒田啓介を中井貴一が演じるから最高に面白い。

ドロドロの問題が渦巻く中で、家族のことも忘れ、政治の話も忘れていく中で、どう乗り切っていくのか、その逆転劇の物語。

やはり、三谷幸喜が描くエンターテイメントは面白い。しかも、今回は過剰すぎる演出は、有働由美子と気づかないニュースキャスターや、米国初の女性大統領を木村佳乃が演じるという配役冥利につきます。

初期の作品の三谷組の常連メンバーの出番が少なくすることで、、作品の雰囲気が違うものに仕上がっていた印象が残りました。

政治家だっていろんな顔を持つのは当たり前

政治家はクリーンであるべきという理想論を語る人もいます。

名誉や権利への欲求や損得感情が全くないまま、数年に1回、街頭で大声を出して、頭を下げて、投票されるなんていう、過酷な転職活動をするという時点で尊敬に値します。

当然、普通の人間のように色恋も含めたドロドロした側面だって、持ち合わせていても不思議ではありません。

一方で、政治家として存在する以上、自分が成し遂げたい夢や公約の実現に向けて、ひた走る存在でもあって欲しいと、支援者は望んでもいます。

結果として、外面を意識して、人気取りを意識して、ポピュリズム(大衆迎合主義)と言われる姿を晒しつつ、腹の中では別のことを考えていると世間では邪推されるもの。

だからこそ、映画「記憶にございません!」では、記憶喪失したことで、自分の非を認めて、正しい方向に向かおうとする総理大臣に、ワクワクさせられます。

これが、喜劇という点が、悲しい現実を思い知らされます。

私の周りの政治家たちを見ていて

私の周り、つまり投票可能な存在の政治家を見ていて、2つのことを思います。

1つは、彼らは選挙以外の時の活動をわかりやすく説明しているのは、支持者だけという究極のクローズドな仲間社会の姿。

もう1つは、ザイオンス効果(単純接触効果)に走るために、ポスターや地域のイベントに顔を出してることの裏に感じる思惑。

クローズドな支持者には濃厚接触するのは当然

政治家が自分の後援会、支持者に対して、頻繁に接触をして、進捗報告や意見を聞くのは、当然な話です。

それは、選挙という短期間のお祭りイベントで自分を支えてくれる存在なのだから、不義理にはできません。

つまり、利害関係に近い信頼関係を持ってしまうから、今までの政治家と支持者の間には金銭授受や利権誘導を含めた、黒い部分が脈々と続いてきたのです。

完全に、この関係性を壊すには、政治家に常設モニターをつけて、行動や言動を逐一後悔するようなアプローチでもない限り、無理なのかもしれません。

そうなったら、政治家って、人間である必要はないという極論も想定できます。

ザイオンス効果(単純接触効果)は、街の外観として美しいとは言えない

もう1点、政治家にとって、名前を顔を覚えてもらわないと、次の選挙も戦えないのは事実。

それだけに、街中に自分の顔写真ポスターを張り出し、街のイベントには足しげく通い、顔を知ってもらう機会には熱心になる。

選挙以外の時に受けたザイオンス効果って、意外と響くものだから、何十年もポスターが貼られているのが変わらない街があります。

個人宅の外壁にベタベタと貼っているのは景観として美しくありません。

だからといって、デジタルサイネージや電光掲示板にして欲しいとは思いませんが。

私たちは、政治家の姿を断片的しか知らないし、その活動や考え方に日頃から接しているわけではなく、何かが起きた時に、周りの空気で応援したり、批判するという風見鶏な姿勢の人がたくさんいるというのが現実です。

喜劇に仕上げる裏には、エンターテイメントでは片付けられないメッセージがある

映画「記憶にございません!」は、十分に楽しめる喜劇でした。

ただ、喜劇にも面白がらせる以外にメッセージが込められていると私は信じています。

1つは、人はいつでも自分を変えられる存在という希望の話。

もう1つは、人にはいろんな側面があり、善人だけではいられないという現実。

これらが組み合わさっているからこそ、三谷幸喜の作品は、軽そうなのに、何かが自分の中に残るという特徴があるのだと思います。

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投稿者プロフィール

安斎 輝夫
安斎 輝夫
【サードプレイス】ブロガー 、安斎輝夫。長年サラリーマンとして家庭と職場だけの生活に疑問を持ち、2017年から「サードプレイス」を研究・実践し、人と人をつなぐコネクターな存在になろうと決める。
Expand your life with energy and support. というミッションを定めて、人生を一緒に拡張していける仲間を増やすために活動を展開。月1回のリアルなイベント「サードプレイス・ラボ」の運営するリーダー(主宰者)。また、6人で執筆する、週刊「仲間と一緒にワクワクしながら、大人が本当の夢を叶える!サードプレイス・メルマガ」(まぐまぐ)の編集長。Facebookページおよびグループの「サードプレイス・ラボ」も運営中。