「必笑」という文字を見た瞬間、『中学受験「必笑法」 (中公新書ラクレ) 』を手に取っていました。
以前、直接、講演を聞く機会があった、おおたとしまささんには親しみがありました。
子どもを潰さない、親も成長ができる中学受験のすすめ、というアプローチが大変気に入りました。
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「必笑」という言葉を本のタイトルに入れた、おおたとしまささん
中学受験界隈の著者としては、メジャーな存在のおおたとしまささん。
リクルート出身で、教育現場に取材や執筆、講演を行なってきただけに、わかりやすく、無理のないメッセージを伝えてくれる人です。
今回、「必勝」ではなく「必笑」という文字をタイトルに入れてきた意図を理解しようとしながら読んでみました。
都心部では中学受験を目指していく割合が増えている現実からは目を背けられない
首都圏の中学受験最新動向、23年入試も「激化必至」、22年受験者数は過去最高に!
首都圏模試センターが発表した2022年までの中学受験(私立・国立のみ)者数と受験率の推移のデータがダイヤモンド・オンラインの記事にも展開されていました。
リーマンショック以前以来の受験者数と言われていますが、大事なのは、出生率は減っています。
厚生労働省のデータを見ると年々、右肩下がりの出生率のグラフなのは、世間的に継続されているニュースそのもの。
だからこそ、受験率は上がっている(あくまでも都市部)という結論になります。
私立・中高一貫の公立、国立を含めた受験を12歳の子どもたちがチャレンジすることが特別なことではないという世の中になっていることが伝わってきます。
日本の教育は、小中学校までは義務教育なので、地元・近所の公立学校で伸び伸びと学ばせて育てるという前提だったはずなのですが、トレンドは大きく変わっているという現実から目を背けることはできません。
受験の合否は勝ち負けでなく、親子揃って笑えるのかが大事
受験は当然、競争ですから、子どもたちは合格に向けて全力で勉強をして、知識や知恵を身につけて、入試本番を迎えます。
それまでの数年間に、進学・受験塾に通い、毎日勉強量を担保して、親からの厳しいプレッシャーにも耐えながら、見えないゴールに向けて頑張ります。
友だちと遊びたいし、なかなか成績も伸びないし、モチベーションが続かない状況でも、勉強を続けている姿。
親も心配と不安に苛まれながら、なんとか教育費を捻出して、合格を願い、必死になっていると、親子揃って、険しい表情になりがち。
この現実を受け止めつつも、12歳の受験に向けた勉強の価値を合格以外で、家族で乗り切った経験としての価値を求めて、笑おうじゃないかというのが、おおたとしまささんの「必笑」に込めた想いです。
小学生に無理やり勉強をさせて、将来の進学を見越して、勉強をさせる学校に入学させて、安心した未来を遅らせたい親心。
周りの環境に染まりながら、青春の日々に成長を遂げる子どもたち。
本当に、親子揃って「必笑」になるのは簡単なことではありません。
塾や偏差値も大事だけど、結局、中学に通ってどんな経験・友達ができるのかが大事
『中学受験「必笑法」 (中公新書ラクレ) 』では、中学受験には不可欠な塾や偏差値の話も出てきます。
合格するためには、入試で合格最低点以上をクリアすることは必至なのは言うまでもありません。
そして、受験熱としては、少しでも有名で偏差値が高い学校に入るために、必死に勉強をさせる親心と財力(受験にはお金がかかります)。
この本の中では、決して、特定の塾を推奨するのでもなく、偏差値信仰を煽る要素もありませんでした。
結局、子どもにとって、最適な学校で学べるかどうかが大事というメッセージです。
実際に、受験後に入学してから付き合う友達がどんな相手なのかが大事ですし、そこで味わえる経験、教員などの環境との影響が大きく影響してくるというのは納得できます。
つまり、受験合格だけをゴールにするのではなく、合格後の学生生活で何を得られるのかを親も子どももイメージが湧く学校を選択するのが妥当なのです。
偏差値やイメージだけで学校を選んでも、一緒にとっては、履歴書の1行にしかなりません。
名門私立中・高の卒業生だからといって、優遇されることは、ほとんどありませんから。(大学受験の合格率というアドバンテージは持てますが)
子どもに勉強をさせることは親にとって心苦しくないのか
実際のところ、有名塾のバッグを見ると、勉強している子どもたちだというのは一目瞭然です。
果たして、子ども自身は、どのような思いで勉強に向かっているのでしょうか?
また、受験に向けて小学生の子どもを勉強に向かわせる親は心苦しいと感じることはないのでしょうか。
自分自身が公立の小中学校で育ってきた人から見れば、異質な世界に映り、本音としては、抵抗感は強いといいます。
どのような未来を描くために、必死に勉強するのかという意識づけがどこまでできるのか。
ここが最大の課題であり、苦しみつつ勉強をしている子どもたちに笑顔が訪れる日々が訪れることを願うばかりです。
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【サードプレイス】ブロガー 、安斎輝夫。長年サラリーマンとして家庭と職場だけの生活に疑問を持ち、2017年から「サードプレイス」を研究・実践し、人と人をつなぐコネクターな存在になろうと決める。
Expand your life with energy and support. というミッションを定めて、人生を一緒に拡張していける仲間を増やすために活動を展開。月1回のリアルなイベント「サードプレイス・ラボ」の運営するリーダー(主宰者)。また、6人で執筆する、週刊「仲間と一緒にワクワクしながら、大人が本当の夢を叶える!サードプレイス・メルマガ」(まぐまぐ)の編集長。Facebookページおよびグループの「サードプレイス・ラボ」も運営中。