新書サイズの本ならば気軽に読めるし、簡単な内容で理解できるはず。(大学時代のトラウマで岩波新書だけは少々アレルギーあり)
こんな甘い考えを持っていたら、『「利他」とは何か (集英社新書)』には太刀打ちできません。
東京工業大学の「未来の人類研究センター」の共同研究として議論された5人の研究者の考えを吸収しようとしたら、骨が折れました。
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ごめんなさい。読めば読むほど袋小路な内容が半分!
参加している読書会の課題本だったのですが、本を読む前から、ペイフォワード(恩送り)や、Giver(ギバー)の精神が理解できている自信があったので、私は、簡単に理解できる本だとたかを括っていました。
大間違いでした。この各種専門家・研究者の目線で語られる、利他の話は、正直、頭に入ってくるのが難しかったです。
これって、「利他」に関する話をまとめた本なのか、章を進めるごとに首を傾げてしまいました。
読めば読むほど袋小路にハマっていき、意識が「利他」から離れていきそうになりました。
利他って誰のため、何のため、これから必要!
「利他主義 Altruism」という言葉は、フランスのオーギュスト・コントによって、19世紀半ばに提唱されるようになった、比較的新しい造語です。「altrui」とは古フランス語で「他者」のこと。元になったラテン語は「alter」ですから、これは「オルタナティブ(別の、ほかの)」という言葉をイメージするとわかりやすいですね。
本の冒頭で、伊藤亜紗さんが言葉の意味を語源から解説してくれています。
利己主義の対義語のように生まれたのではないかと想定しています。
自分のことを一旦度外視して、他者のために何かしらのアクションをすることを利他と呼ぶのではないか、とシンプルに考えていました。
合理的利他主義や効果的利他主義までは理解がギリギリ可能
ここで、経済学者ジャック・あたりの提唱する利他主義の紹介がされています。
利他主義とは、合理的な利己主義に他なりません(中略)利他的であることは、ひいては自分の利益になるのです。
「情けは人のためならず」をベースにした利他主義の話になっています。
さらに、効果的利他主義というものを提唱した、哲学者ピーター・シンガーの考え方も解説しています。
効果的な利他主義は、非常にシンプルな考え方から生まれています。「私たちは、自分にできる(いちばんたくさんのいいこと)ををしなければならないという考え方です。
この辺りまでは、利他は奉仕的活動とは異なることがわかってきました。
正直、この1章部分まではギリギリ、利他に関して意識が集中できる本でした。(本音)
究極の利他ができるマザーテレサみたいな人間なんていない
つまり、利他の大原則は、「自分の行為の結果はコントロールできない」ということになるのではないかと思います。
利他は、自分の行為の及ぼす結果は予測不可能だと語っているわけです。
マザー・テレサのように愛に溢れて、利他100%みたいな生き方や行動ができる人は、人類に数えるほどしかいないのでしょう。
究極の利他なんて、誰もができないことって割り切る方が現実的解釈です。
利他って大事だけど、わかりにくい
2章以降の研究者・専門家の切り口は、さまざまで興味深いものでしたが、どのあたりが利他だったのか、軽く読み解こうとしても無理です。
読書会のメンバーとも話しました、利他って大事な概念なのはわかるけど、実際のところ、何を指すのかがわかりにくいというものになりました。
自分を捨て去って、相手のことだけを考えて生き続ける人間はいません。
どうしても、自分のこと、身近なところを優先するのは避けられませんから。
となると、利他というのは、どこにゴールがあって、どうなればいいのか、という姿を、今回の本の中から導き出すことはできませんでした。
<「利他」に関する本>
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【サードプレイス】ブロガー 、安斎輝夫。長年サラリーマンとして家庭と職場だけの生活に疑問を持ち、2017年から「サードプレイス」を研究・実践し、人と人をつなぐコネクターな存在になろうと決める。
Expand your life with energy and support. というミッションを定めて、人生を一緒に拡張していける仲間を増やすために活動を展開。月1回のリアルなイベント「サードプレイス・ラボ」の運営するリーダー(主宰者)。また、6人で執筆する、週刊「仲間と一緒にワクワクしながら、大人が本当の夢を叶える!サードプレイス・メルマガ」(まぐまぐ)の編集長。Facebookページおよびグループの「サードプレイス・ラボ」も運営中。