インクルーシブなアイデアの4ステップ ②〜④
【レビュー】『インクルージョン思考』石田章洋 その1の続きです。
石田さんの考える、インクルーシブなアイデアの4ステップ
①高次の目的を決めて旅立つ
②目的に従って材料を集める
③異なる分野の材料をつなげる
④手放して「ひらめき」とともに帰ってくる
②目的に従って材料を集める
効率よく情報を集めるために大切なのが、やはり「目的」をリサーチのあいだに明確に意識し続けることです。そうずれば、おのずと必要な情報が、効率よく取捨選択できるようになります。
大量な情報に囲まれているだけに、なんでもかんでも集めようとすると、収集がつかなくなります。やはり、何の為に、情報を収集するのか、という目的がなければ、ゴールが見えなくなります。
結果として、必要な情報が引き寄せられてきます。
また、インターネット上の情報は、「相場観」を養うために必要とされ、ブログやSNSなどは、エンドユーザーの生の声を拾って、インクルーシブなアイデアを生み出す為には重要と考えられています。
集めた情報は整理せずに、自分の判断を加えずに、掘り避け続けること。
そして、情報の受け手、ターゲットを想定することもポイントと石田さんは語っています。
確かに、集めた情報を自分軸で考えるのではなく、相手目線で見直すことは、どう考えても必要です。例えば、優秀な広告クリエイターが、自分の好みだけを重視して作品を作ったとしても、一般消費者や広告主には受け入れられない可能性があります。自分軸ではなく、相手軸で考えることができなければ、アイデアを活かす価値が生まれてきません。
あなたが、これまでの人生で「おもしろいと感じたこと」や「衝撃を受けたこと」、「感動したこと」や「興味を持ったこと」など、潜在意識のなかで眠っている材料が、リサーチで集めた材料と組み合わさって、新しいアイデアは生まれます。
アイデアとは、既存のものの組み合わせの産物と言われています。
③異なる分野の材料をつなげる
インクルーシブなアイデアを発想する際の「抽象化」とは、「その特徴や特性をさまざまな角度から、ざっくりと一般化してみる」ことです。
具体例→ざっくり一般化⇒具体化の思考プロセスの例として、落語の「なぞかけ」のアプローチを例に挙げています。
●●とかけて、◆◆と解く、そのココロは?
という、あの「なぞかけ」アプローチにはアイデアをつなげるための技が埋まっています。
遠距離恋愛的であったり、異分野との組み合わせであればあるほど価値がある。
確かに、類似のものを組み合わせても面白いものはできあがりません。
私が、サラリーマンでありながら、サラリーマンを応援する内容だけのブログ記事を書いても、きっと楽しくなりません。本の書評であったり、ダイエットであったり、スポーツであったり、いろいろな角度からブログ記事を考えて、その中で見えてくるモノを、サラリーマンの立場で見直して、考えるように、努めようとしています。
だからこそ、何らかのヒントが生まれたり、共感が得られれば嬉しいと考えています。
④手放して「ひらめき」とともに帰ってくる
アイデアを考え続けていると、ほぼ確実に煮詰まります。
この時点で、根を詰めて考え続けても、何も生まれてきません。
そこで、手放す、距離を置くことの重要性をアイデア発想関連の書籍では必ず書かれているポイントです。もちろん、この『複数の問題を一気に解決するインクルージョン思考』(石田章洋)でも、同様です。
ワシントン大学のマーカス・レイクル教授の発見した、「デフォルト・モード・ネットワーク」がアイデアのひらめきの構造を知るための、脳のメカニズムを取り上げて、アイデアを考えることの手放し効果を語っています。
デフォルト・モード・ネットワークは、自分の過去を回想したり、自分を何かに投影して考えたりするなどといった思考を、人間が意識していないときも、無意識に脳の中でおこなっていることがわかってきたそうです。
デフォルト・モード・ネットワークとは、手放すことによってリラックスする、つまり「緊張を緩和させる」ことで活性化するのではないでしょうか。
アルキメデスの法則の発見で有名な話を思い出します。
課題に困り続けていたアルキメデスが、ある日、風呂に入ったところ、水が湯船からあふれるのを見て、その瞬間、アルキメデスの原理のヒントを発見したと言われる。
このとき、浴場から飛び出たアルキメデスは「ヘウレーカ」(分かったぞ)と叫びながら裸で走り出したという伝説です。
煮詰まったら、手放す。別のことに意識を向けて、ぼーっとしたり、考えを忘れる意識を持ったとしても、脳は、自動的に作動して、アイデアをアウトプットしてくれるような仕組みが整っているという話です。
ビジネスパーソンのあなたも、アイデアを考えだす為に、既存のものを組み合わせて、考え抜きましょう。煮詰まったら、一度忘れてしまいましょう。きっと、「ヘウレーカ」という瞬間が訪れるはずです。自分の脳を信じてみましょう。
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【サードプレイス】ブロガー 、安斎輝夫。長年サラリーマンとして家庭と職場だけの生活に疑問を持ち、2017年から「サードプレイス」を研究・実践し、人と人をつなぐコネクターな存在になろうと決める。
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