図書館で本を予約する場合、新刊、気になる分野・ジャンルの本、好きな著者の3点が軸になって予約をしています。
今回、好きな著者・著名人の阿川佐和子さんの小説を初めて読んでみました。
彼女が母を介護した経験の断片を感じる作品でした。
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エッセイストやインタビュアーの印象の強い阿川佐和子さんの小説の深み
『ことことこーこ (角川文庫)』を読んだのは偶然です。私がインタビューのお手本にしようと思った阿川佐和子さん。
彼女の自然な傾聴スタイルのヒアリングと、その後のアウトプットとしての文章への表現力。
とてもコピーできる存在ではありませんが、小説家としての姿は知っていたものの読んだことがなかったので、楽しみにして、読み進めました。
介護って親子関係、家族関係、周囲の人を巻き込むのは仕方ない現実!
離婚して老父母の暮らす実家に戻った香子(こうこ)は、フードコーディネーターとして新たな人生を歩め始めた矢先、母・琴子に認知症の症状が表れる、という場面からストーリーは展開されていきます。
弟夫婦は頼りにならず、自分が仕事も介護も担うということで失敗を繰り返す香子。
琴子の作った料理ノートのレシピによって、新しいチャレンジを展開しながら、と進んでいく物語。
ユーモアあふれる姿がありながらも、介護の世界の現実を思い知らされるシーンも多数出てきます。
介護は家族の中の問題では終わらず、仕事や行政などのさまざまな人を巻き込んで取り組まなければならないという事実を思い知らされます。
介護疲れで、という話が絵空事ではなく、いつ、誰に起きてもおかしくない現実として、頭の片隅に置いておくべき問題というのを小説の中で感じさせられます。
忘れてしまう母に繰り返す娘、娘を慮れる母の姿は長年の関係性が土台
母と娘って、同性だけに理解できる関係を持ちつつも、ライバルや相容れない部分があって、齟齬が起きるので、複雑な関係にも陥りやすいものです。
香子にすれば、自分の知っている母が直前のことを忘れてしまい、何度も同じ話を繰り返すストレスを感じていますし、時々、過去の記憶を遡れる母親は娘を慮る場面にも遭遇します。
お互い、長年、人生に触れ合ってきたからこそ感じる信頼と苦しい思い。
この関係性は介護サービスという第三者の力では補えない重さがあります。
プライスレスとも言える、お互いの関係性が老いる母と向き合う娘、それぞれに感じるからこそ、この小説『ことことこーこ (角川文庫)』は読み進められる作品なのです。
私の90代で亡くなったお婆さんは認知症と老化で衰える体を叔母が介護していた
私は、この本を読みながら、10年以上前に亡くなった祖母と、その祖母を長年介護していた叔母のことを思い出しました。
どちらもしっかり者同士だったのに、介護される側は記憶も体力も衰えて、どこかわがままになり、日々、一緒に過ごす叔母も自分の母を大切にしながらも、ストレスを抱えている日々でした。
叔母は、大腸がんを患ったものの発見時はステージが進んでおり、治療が厳しい状況でした。
家族たちは、ちゃんと健康診断に行ったり、体調を管理しきれなかった叔母を責めましたが、祖母の介護に付きっきりで余裕がない、叔母には、自分自身への気遣いをできなかったのです。(体力や健康に自信があったのは知っています)
祖母は、60歳で脳溢血を患って、回復するまでの根性のリハビリを見せた人で、左半身が不自由になってから30年以上も生きた人です。
私の中では健康った頃の祖母の姿よりも、年老いていくおばあさんの姿が印象深く残っています。
叔母と祖母は、香子と琴子のような母娘関係であり、信頼がありつつも、言いたいことを言いすぎる関係でもありました。
叔母が亡くなった後に、祖母が亡くなったのですが、祖母は叔母がいなくなったことを理解していたのか、最後の1年は曖昧です。
母娘の関係って、遠慮がなくなるほど濃密でありながら、老後や介護は避けられない時代
親子だから、子どもが親を介護するのは当然だという単純な話ではなく、有料・有償であっても、介護サービスを受けるという道を選択するのも、それぞれの判断です。
一般的な母娘というのは、信頼もある反面、半目もして、遠慮がなくなるほど濃密な関係だと思います。
年老いていく母親は、自分が必死になって育てた我が子に介護される現実をどのような気持ちで受け入れるのか。
子どもは、年老いていく親をどのような気持ちで接していくのか。
育児と違い、ゴールが死に向かっているという点が、介護分野に突きつけられるリアルです。
この作品を書いていた時に、まさに自らも母親を介護していた阿川さん。
それだけに、理想論でもなく、美化もされない姿が印象に残る作品でした。
『ことことこーこ (角川文庫)』は、中高年には読んでほしい一冊です。
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【サードプレイス】ブロガー 、安斎輝夫。長年サラリーマンとして家庭と職場だけの生活に疑問を持ち、2017年から「サードプレイス」を研究・実践し、人と人をつなぐコネクターな存在になろうと決める。
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