単身でアフリカのタンザニア へ渡り、村人と生活を共にしながら絵を描き続けてきた、SHOGENの話と幸せの翻訳家・ひすいこたろうの共著『今日、誰のために生きる?』の評判を聞いて読んでみました。
私たちが当たり前に思っていることが何か違うと感じさせられるエピソードの数々は、自分は誰のために生きるのかを考えるヒントに溢れていました。
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アフリカに単身でペンキ画を描きに行く奇想天外さから見えてきたもの
ショーゲンさんという人物は、この『今日、誰のために生きる?』を読むまで全く知らない人が多いでしょうし、彼の生き方を真似しようなんて簡単に考えることはないでしょう。
ただ、普通の日本人とは思えない生き方としてペンキ画を描きに、アフリカのタンザニアの村に行くなんて、非常識だと言われるでしょう。
ただ、日本人のいない、今までと違う価値観や時間感覚の中で生きると、本当に何が大切なのか、自分たちが見失っているものに気づくのかもしれません。
日本人の「心」というものは意外なところで評価されている
アフリカと日本の接点を考えると、資源などのビジネス以外では考えにくいですし、広大な自然と文化的には近現代とかけ離れたものを感じてしまいます。
タンザニアの村の人々から教わる、今の日本人からすると異質な感覚をショーゲンさんは受け入れ、理解しながら、日本人の「心」というものを再評価・認識していく姿が独特なものでした。
日頃、接点などない国や地域から、日本人に対するリスペクトがあるのは驚きでしかなく、しかも文明・文化ではなく「心」にフォーカスされていることに驚かされました。
だって、日本人の「心」なんて、古臭くて、世界では理解されにくいものになって、誰もが忘れ去ってしまっていると認めざるえないものですから。
グローバルスタンダードと違う価値観も大切にしてもよいのでは
『今日、誰のために生きる?』のなかで一番考えさせられた、村長からショーゲンに送られた言葉があります。
「一番最初に大切にしないといけないのは、自分だよ。
ショーゲンはいつも自分を置き去りにしているように見える。
それでショーゲンの魂は喜んでる?
自分の魂に失礼なことをしてはいけないよ」
「ショーゲン、まずは自分の心を満たしてね」
自分の心を満たすという考え方は、グローバルスタンダードの経済合理性や効率化とは真逆にあるスタンスだと感じます。
心を満たすには、これらの価値観は不要ですし、むしろ、邪魔になりかねません。
今の時代、生活に困らないだけのお金を持ち、満足のいく生活は質を高めることに向かっています。(高級な物を手に入れて喜ぶようになっていませんか?)
もし、プライスレスなものにこそ価値があるなどと言われると、怪しい勧誘が始まるのではないかと疑いなくなるはずです。
いかに、私たちがグローバルスタンダードな価値観を正しいと信じ込んで生きているのかを思い知らされながら読み進めました。
四季を本当に味わえる、人に優しい日本人は減ったのか
季節の移り変わりを感じながら、他人に対して優しく、自分自身に対しても優しいという日本人は減ってしまったと言われると納得させられます。
誰かと何かを競争するような社会で生きていると、勝ち負けや上下を生み、些細なことで問題の対象を、誰もが叩き合うような状況が続いています。
正直言って、社会的な集団リンチがまかり通るのに、対個人の関係では、ハラスメントを機にするという歪な姿に気がつくのではないでしょうか。
おかげさまと思い、周囲の人と助け合いながら生きる、弱者に対して無意識に優しく、自分自身にも、甘えではなく優しい日本人は、絶滅危惧種になってしまったと感じます。
貧富の差、格差が広がったのだから、全日本人が中流以下で満足していた時代じゃないと言われてしまうとそれまでですが、世界から認められてきた日本人の良さを失っては、それこそ、失われた20年や30年なんて、取り戻すことなんてできません。
日常の幸せを味わる人間でありたい
日常のさりげない幸せを味わって、嬉しい、ありがたいと感じれる人間でいられるかどうか。
誰のために生きるのか、という問いに対して、他者への犠牲であったりするのではなく、自分自身のことを大切にして生きられるかどうか。
『今日、誰のために生きる?』の後半のひすいこたろうさんのパートが、前半とのショーゲンさんの部分とのギャップがあり、全体構成としては違和感が残りましたが、少なくとも、ショーゲンさんが語る、私たちが忘れている日本人としての「心」や生き方について見つめ直すには良い本でした。
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【サードプレイス】ブロガー 、安斎輝夫。長年サラリーマンとして家庭と職場だけの生活に疑問を持ち、2017年から「サードプレイス」を研究・実践し、人と人をつなぐコネクターな存在になろうと決める。
Expand your life with energy and support. というミッションを定めて、人生を一緒に拡張していける仲間を増やすために活動を展開。月1回のリアルなイベント「サードプレイス・ラボ」の運営するリーダー(主宰者)。また、6人で執筆する、週刊「仲間と一緒にワクワクしながら、大人が本当の夢を叶える!サードプレイス・メルマガ」(まぐまぐ)の編集長。Facebookページおよびグループの「サードプレイス・ラボ」も運営中。