【映画】「正欲」(2023年公開)個人の多様な価値観を理解し合えるのかを考え

人の持つ価値観を理解して、多様性を認めようというのは、実際ととてつもなく難しいものです。

このテーマに切り込んで作られた、第34回柴田錬三郎賞受賞作でもある、朝井リョウの『正欲』であり、この映画化した作品をNetflixで視聴しました。

エンディングに向けてどうなるのか全く想像ができなかったです。

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世の中にはいろんな価値観の人がいる

ダイバーシティ・多様性なんて言葉を知らない時代にだって、世の中にはいろんな価値観の人がいることぐらい、漠然と誰だって理解していたはずです。

むしろ、声高に叫ばれることで、特殊性や希少性のある価値観の人に焦点が当たり、晒されるような目に遭っているとは言えないでしょうか。

理解できない相手を異端者や変人を見る目でいいのか

自分が理解できない相手の価値観や考え方を、単純に異端や変人として扱うのはどうなのでしょうか。

自分自身と周りで常識と思われてるものと相容れない相手に対して、真っ向から否定することってないでしょうか。

正直言って、全ての価値観を理解して、多様性を完璧に強要するなんて無理。

この映画「正欲」の中でも、登場人物の少し変わったものを視聴している私が理解できているかと問われたら、疑問が残ります。

この作品の多様性を本当に理解して認めることってできるのだろうか、という命題に対して、真摯に向き合うと言葉に詰まります。

多様性を認めることはできても納得や理解は難しい

多様性を認めることが正義、みたいな世の中の流れで、対立による衝突や紛争を軽減しようという意図は間違っていません。

また、自分と異なる価値観を否定するのではなく、その存在そのものを認めておけるぐらいの人間ではありたいと誰もが考えるような時代になりました。

ただ、実際は、この多様性って、マニアックなものすぎると、正直、周りは理解できません。

本人の持つ価値観やポリシーなんて、第三者が強引に変えてしまうものではなく、自分自身で培ってきたものですから、頑なに守るものになります。

それが希少性がありすぎて、変わっていると感じる度合いが高いほど、非公開や秘匿にしてしまうものであって、事件などのトラブルにならなければ、見過ごされてしまうのが現実だと思います。

新垣結衣の普通と違う人の演技が自然すぎた!

ガッキーこと、新垣結衣は、真面目で擦れていない人を自然体に演じることができる女優さんです。

もしかしたら、彼女自身の個性に近いのでは、と感じてしまうほど、普通の中に紛れる少し変わった異端の要素を放っていました。

後半に向けて、どんな人生を歩んできた人物なのかが見え隠れして、検事の前でも堂々とする姿には、潔さを感じました。

ワクワク、キラキラを演じるよりも、少し根暗っぽさが入った役の方が彼女には、ピッタリするのは、どことなく陽気とは言い切れなそうなオーラを纏っている姿を見せられるからかもしれません。

この作品においても、彼女以外で、この役をこなせる同世代の女優さんがいるのか、というと、思い浮かびませんでした。

検事役の稲垣吾郎が起伏のない淡々とした役にハマっていた

元SMAPメンバーの稲垣吾郎さんが、表立ったメディアで仕事をするシーンを見ることが少ないだけに、元気そうに演じている姿が見れて良かったです。

検事役という真面目で、世間の常識・良識の中で生きている人物として、あまり起伏のない淡々とした役に向いているキャスティングです。

ただ、検事として、児童虐待の容疑者と向き合う場面は、非常に複雑な背景が頭をよぎりました。(邪推なので細かくは触れません)

きっと、本質的に理解はできないものが人と人の間には存在する

多様性って、簡単じゃねーよ、というメッセージを伝えたい作品だと思うのですが、心から楽しめるエンターテイメントな作品ではないですし、現実感も漂うのが見事でした。

どこまでいっても、本質的に理解できないものが人と人の間には存在します。

共感をした仮面を被った、その奥には、舌を出してそっぽを向いている自分がいないと言えるでしょうか。

自分と価値観や考え方が違うから拒否をする、分断するというのはシンプルで、それを防ぎたくて多様性の話を持ち出しますが、結局のところ、多様性は認められても、理解しあって納得できるという保証はないのです。

自分に直接関係ないならば、スルーする程度で、やり過ごさないと、自信が混乱してしまう恐れがあります。

見えないもの、分かりきれないものを納得しようと無理強いをすることは避けないといけないでしょう。

鑑賞後に、なんとなく胸に残り、考えさせられる作品でした。

参考サイト

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投稿者プロフィール

安斎 輝夫
安斎 輝夫
【サードプレイス】ブロガー 、安斎輝夫。長年サラリーマンとして家庭と職場だけの生活に疑問を持ち、2017年から「サードプレイス」を研究・実践し、人と人をつなぐコネクターな存在になろうと決める。
Expand your life with energy and support. というミッションを定めて、人生を一緒に拡張していける仲間を増やすために活動を展開。月1回のリアルなイベント「サードプレイス・ラボ」の運営するリーダー(主宰者)。また、6人で執筆する、週刊「仲間と一緒にワクワクしながら、大人が本当の夢を叶える!サードプレイス・メルマガ」(まぐまぐ)の編集長。Facebookページおよびグループの「サードプレイス・ラボ」も運営中。