【映画】「ONODA 一万夜を越えて」(2021年公開)で、30年もゲリラ的に生き残った小野田寛郎の人生とは

小野田寛郎・旧陸軍少尉という人物を、遠藤雄弥(ほぼメイン)と津田寛治の2名が演じた「ONODA 一万夜を越えて」という映画は、フランス、ドイツ、ベルギー、イタリア、日本による国際共同製作された作品です。

通常の邦画としては、制作されなかったのはなぜなのか、と考えながら見てみました。

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小野田寛郎という人物を忘れていないだろうか

第二次世界大戦に、情報将校として従軍し、ゲリラ戦を展開。終戦から29年後、フィリビン・ルバング島から日本へ帰還した人物が、小野田寛郎氏です。

もはや、50年近く前の実話なので、当時を知る人も高齢者になっており、忘れ去られそうな人物です。

30年近くゲリラの立場で生き抜いた人物って、想像を絶すると思いませんか。

終戦情報を信じない小野田が、ラジオなどで最新の情報を得ていたという話に矛盾を感じる

終戦したという情報を信じずに、ジャングルにこもって、30年近い時間を過ごした人物。

部下と一緒に過ごした時間はともかく、一人になってからの孤独感は半端なものではなかったはずでしょう。

そもそも、食料を略奪するなど、ある意味、犯罪行為を続けて、戦い続ける意思を示したことに驚愕させられます。

もちろん、上官の命令には絶対服従という軍隊の規律を守るのはわかるとしても、いくら何でも長すぎます。

ましてや、30年の間に大きな病気にもならずに、生き延びれた生命力も信じられません。

テレビ番組のサバイバルコンテンツとはレベルが違いますから、命を賭けていたのは間違いありません。

小野田さん自身は、ラジオなどを手に入れて、日本の情報、世界の情勢を知っていたという前提ですから、そこまでして拘って、ジャングルに残った理由が謎のままな気がして、矛盾が残ります。

生き残ることが仕事だったのか?!

戦後30年の間に、日本は復興と経済成長を遂げて大きく変貌しました。

その間、フィリビン・ルバング島で過ごした、小野田さんにとって、ゲリラ的な活動と生き残ることは、ある意味、役割をこえて、仕事だったのではないでしょうか。

軍事力で制圧されることはないとしても、島民たちの襲撃を受ける可能性はあるわけで、必死に生き残りをかけざるを得なかったのは理解できます

でも、それって、人生の30年も投下してやらなければいけないことだったのでしょうか。

映画を見ながら、2時間の作品の背景にある、30年の時間を考えてさせられました。

もし、彼が終戦を受け入れて帰国していたら

終戦後、外地から帰国した元軍人たちは、その後、日本の復興のために尽力していく方が大半です。

大きな時代の変化を受け入れて、前に進んでいたことでしょう。

PTSD的に、仲間の死、自分が相手を殺した記憶に苛まれた人もいたでしょうが、まるで何もなかったかのように過ごされているように記憶しています。

私の祖父は、スマトラ島に行って戦ったらしいですが、詳しいことは何も話してくれませんでした。

でも、祖父が無事に帰ってこなければ、自分の親は安定して暮らせずに、私もこの世に生まれていない可能性があるので、感謝の気持ちしかありませんが。

そう思うと、小野田さんが、終戦を受け入れて帰国していたら、どんな人生を歩んだのだろうと考えてしまいます。

おそらく、一般人の中に埋もれて働く、真面目で、モーレツな日本人の一人だったのではないでしょうか。

この映画が日本で作られなかった理由は

小野田さんは帰国後、ブラジル移住などを経て、2014年に91歳で亡くなっっています。

彼自身のエピソードとして、30名以上の島民を殺害したという話もあり、英雄視することはできない存在だという側面と、戦時中ではなく、戦後の中で埋もれてきた人物という点でも、予算がつかなかったのだと推察します。

現代で、これほどの大量殺人者なら、どんな末路が待っているのか誰にでもわかるでしょう。(戦時下、戦時中という扱いと平時は違うという理屈はわかりますが、人の命を奪うという行為としては変わらないと私は認識しています)

海外から見れば、サムライのような忍耐と誇りを持った存在として認められるのかもしれません。

でも、現代の日本人が、この映画をわざわざ見たいと思うのか、と問われると疑問です。

ここから何かを得られるのか、考えると答えが出にくいからなのではないでしょうか。

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安斎 輝夫
安斎 輝夫
【サードプレイス】ブロガー 、安斎輝夫。長年サラリーマンとして家庭と職場だけの生活に疑問を持ち、2017年から「サードプレイス」を研究・実践し、人と人をつなぐコネクターな存在になろうと決める。
Expand your life with energy and support. というミッションを定めて、人生を一緒に拡張していける仲間を増やすために活動を展開。月1回のリアルなイベント「サードプレイス・ラボ」の運営するリーダー(主宰者)。また、6人で執筆する、週刊「仲間と一緒にワクワクしながら、大人が本当の夢を叶える!サードプレイス・メルマガ」(まぐまぐ)の編集長。Facebookページおよびグループの「サードプレイス・ラボ」も運営中。