
外国人労働者のリアルな話を知りたいと考えていた時に、『外国人急増、日本はどうなる?』(海老原嗣生・著)に出会いました。
感情的に日本人優先を掲げる政党や思想が、現実と未来を見据えて、正しいものなのかを捉える意味で、大変参考になりました。
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98%の日本滞在の外国人は正規であり、不法滞在者は2%
日本滞在の外国人は不法滞在者ばかりで、安価な賃金で働き、犯罪を起こしているから、規制すべきであるという論調が、選挙のたびに取り上げられています。
なぜならば、排除の論理をかざしても、帰化をして日本国籍を有しない限り、投票行動に至れない存在を蔑んでも、結果には影響が出ず、むしろ、有権者の共感を得やすい論理構成に見えてしまうのが要因でしょう。
ニュースでは、「経営者・会社員・派遣社員・契約社員・パート・学生・外国人」という切り口で、事件当事者のレッテルを貼り付けます。
雇用形態や身分ではなく、国籍で切り分けると、この状況は印象に残りやすくなり、数件の事件がイメージとして、外国人は不法に働き、生活保護を受給しているという姿を作り上げています。
外国人だから危ないという考えのバイアスについて
外国人であっても、日本企業で働き、厚生年金を納めて、住民税も支払い、商品・サービスを購入すれば消費税も払ってくれています。
無税でもなければ、無負担なフリーライダーではないのです。
もちろん、日本の制度、行政を知らずに、手続きが滞っている方がいるのは事実でしょう。
だからこそ、行政も外国語に長けたスタッフを増やそうと試みている窓口があるのですから。
日本人ならば、同じ文化、環境、言語だから安全安心かと言えば、昨今の痛ましい事件やニュースの当事者は、大半が日本人ではないでしょうか。
外国人のレッテル貼りは、日本国内で日本人が苦しいと感じる時に出る、一つの排他的論理思考で、感情を揺さぶり、誰かの便益を得るために作られた行為だと言わざる得ません。
低賃金で働かせているという理屈は正しいのか
もちろん、外国人が日本で生活し、働くには、外資系企業の優秀な経営者であるとか、専門的な技能を有する方でなければ、賃金としては高くない仕事を担っているのは事実です。
これは、日本のブルーカラー職などで、人手不足になり、その穴埋めとして、外国人の方に働いてもらわなければならないという事情を無視してはいけないでしょう。
建築現場、農作業、コンビニ店員など、彼らは一生懸命に働いているように見えます。
文化も環境も違う国で、知らない言葉や技術、ノウハウを覚えて取り組んでいる姿を見て、彼らの些細な日本語のズレや間違いを非難することって少ないのではないでしょうか。
この本では、実態をデータに基づき語り、外国人だけが低賃金で働かされ、日本人の雇用を奪っているわけではないことを証明してくれています。
むしろ、彼らが誰も日本にいなくなったら、社会が機能しない程度まで深く入り込んでいるという話を目の当たりにすると、労働問題として外国人の存在を見つめ直すという切り口が、本当にわかりやすい一冊でした。
外国人労働者は、ルールが厳格で、ビザの問題もある
私自身、「技術・人文知識・国際業務」(「技人国(ぎじんこく)」という略されます)就労ビザを所有している、外国人と一緒に働いています。
外国人が日本の企業でオフィスワークや専門職として働くための主要なビザという扱いになります。
この本で取り上げられた、技能実習などとは異なり、高度な教育機関、大学や大学院を経て働く彼らは、基本的には大変優秀です。
一方で、日本の文化・風習、日本語コミュニケーションにおいては個人差があります。
ただ、トラブルが少ないとは言えません。
彼らは、自らは優秀であるというプライドも高く、志もある一方で、日本の企業で働くとするとそぐわない部分が残ります。
彼らの持ちうる能力を活かせる職場、企業が多いとは言えません。
最終的には、言葉と文化の違いを理由にお互いのギャップを埋めきれないという展開もよく見かけます。
日本文化や環境に慣れながら、自分の知識・スキルを高めることを同時に行うとしたら、難しいのは当然のことです。
自分が見知らぬ外国に行き、慣れない仕事に就くことを想像してみれば、その苦労やトラブルは想像できるのではないでしょうか。
彼らをサポートするのが日本の風習や文化、考え方だけをベースにする人間では、きっとフィットしないのだと思います。
こういう意味での国際人が足りない企業は多いのでしょう。
ビジネス上では海外とやれても、一緒に働くという仲間としてみると不整合が起きているのが現実です。
飲食店で会った外国人の若者が寿司店で働き、帰国して寿司屋を開きたいと語っていた

私が飲食店で食事をしていた際に、空いている店内にいた外国人が私に話しかけてきました。
慣れない英語と、彼はスマホのアプリを使いながら、コミュニケーションをとった際に、いろいろな国を渡り歩き、日本の寿司が最高だと思った彼は、今、寿司店で修行をしていると語ってくれました。
帰国したら、寿司店を出すために、寿司の握り方、サービスを覚えていると目を輝かせる姿に、驚きと感動を覚えました。
日本料理を外国に広めるのは、日本人が現地に行くだけでなく、現地出身の人材が日本で学び、技術やノウハウを輸入するように、寿司店を開くことを考えたことが、私には一度もなかったので、時代は変わっているし、こういう話が増えたら素敵だと思いました。
日本文化・日本ファンを増やすために、日本に滞在・生活した外国人に期待する
海老原さんは、『外国人急増、日本はどうなる?』の最終章の中で、具体的な試算も交えたプランとして、日本に滞在した外国人は永住するのではなく、帰国後、母国と日本の架け橋となってくれる存在、組織や体制を作ろうということで、日本語を国際語の1つにまで押し上げるという提案をしています。
確かに、帰国をした彼ら全員が日本人のファンになり、強力なパイプラインになる保証はどこにもありません。
自国ファーストを訴えることで、他国を侵略したり、蔑む、差別やヘイトをしてしまう流れは、もしかしたら、第二次世界大戦前に近い考え方、雰囲気なのかもしれません。
島国な日本だから、日本人以外には過度なアレルギーや抵抗感を持ちやすいのでしょう。
でも、スポーツの世界では、ハーフの選手が活躍したり、日本国籍を取得した彼らがオリンピックや世界大会でメダルを獲得しています。
日本に滞在する、生活する外国人を通して、もう一度、日本の文化、良さや問題を見つめ直して、降下傾向が著しい日本の存在や影響力を高めることに、もっと意識を向けようと思える一冊が
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投稿者プロフィール

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【サードプレイス】ブロガー 、安斎輝夫。長年サラリーマンとして家庭と職場だけの生活に疑問を持ち、2017年から「サードプレイス」を研究・実践し、人と人をつなぐコネクターな存在になろうと決める。
Expand your life with energy and support. というミッションを定めて、人生を一緒に拡張していける仲間を増やすために活動を展開。月1回のリアルなイベント「サードプレイス・ラボ」の運営するリーダー(主宰者)。また、6人で執筆する、週刊「仲間と一緒にワクワクしながら、大人が本当の夢を叶える!サードプレイス・メルマガ」(まぐまぐ)の編集長。Facebookページおよびグループの「サードプレイス・ラボ」も運営中。



