ワークライフバランスじゃない!“ワークアズライフ”だ!落合陽一の語る未来論にワクワクしてみた

「ワークライフバランス」って、なんだか楽しくない。

「ワークライフバランス」って言葉が世の中にインパクトを与えたのは、2007年頃。

誰もが、働きがいとプライベートの充実(“リア充”って言葉を聞かなくなりました)を求める時代のトレンドは、政府もメディアも取り上げてきました。

誰もが飛びつき、納得できる、新しい生き方・働き方として賞賛されています。
私も、一時、21世紀のスタンダードなスタイルだと思い、共感を抱いていました。

ただ、ある時から、この「ワークライフバランス」というフレーズがしっくりしてこなくなりました。

残業を減らす割り切った働き方は、「フラリーマン」を世に生み出しました。

従来、残業時間に使っていたサラリーマンたちが、この空白時間を街をぶらぶらする姿を指します。バブルな時代とは違って、お金を使って消費する(飲む・遊ぶ)だけでは楽しめない状況なのです。そもそも、そんなに潤沢に浪費できるお金を持ちあわせていない事情もあるので、しっくりこない姿は、楽しくありません。

ヒントになったのは、フラリーマンになる時間をどう使うのか、パートナーと関係性を築くかというNHKのWEBニュースでした。

[参考]“フラリーマン” あなたは夫を許せますか?|NHK NEWS WEB

こちらの話も納得したものの、どうもしっくりこない。

人生が楽しくイキイキするはずの「ワークライフバランス」が変わってしまった理由は下記の3点だと考えます。

・働き方改革・残業削減のトレンドの中で、本来自分としては求めていなかった、自分の時間を持たされてしまった。

・仕事の生産性が上がったのかは微妙。質を変えるか、手を抜くか、別の問題をうすうすと感じているのが本音。

・自分のなかでやりたいことに時間を自由に使えても、お金が使えるわけではない。消費以外の時間の使い方を見いだせていない。(頑張っても、スマホゲームか、SNS閲覧程度)

自分が「ワークライフバランス」に感じる違和感を突破できそうな一冊の本を見つけました。

「情熱大陸」で落合陽一さんを知った方は多いでしょう。未来を見据える日本人の天才科学者です。面白い1冊なので、オススメです。

落合陽一『超AI時代の生存戦略 ―シンギュラリティ<2040年代>に備える34のリスト

AI時代の先、シンギュラリティをどう生きるのかまで、見据えられるのは、落合陽一さんの魅力

最近、書店やネットなどで、落合陽一さん(国際ジャーナリスト:落合信彦氏のご子息。落合信彦さんといえば、アサヒスーパードライのCMで強烈に覚えている)の名前だけは視界に入っていたものの、とりあえずスルーはしていました。

落合陽一さんは大学教員でありながら、メディアアーティスト、実業家という存在。

最近、大学教授も実業を兼務する人を見かけるようになりました。
(立教大学ビジネススクール教授として「大学教授×上場企業取締役×経営コンサルタント」で活動をされる田中道昭さん、なども同様な存在です)

落合陽一さんは天才過ぎて、私のような人間には理解できない脳の構造をしているのだろうとイメージして、距離を取っていたのです。

AIと時代、シンギュラリティなどで検索して本を探していた結果、『超AI時代の生存戦略 ― シンギュラリティ<2040年代>に備える34のリスト』にたどり着きました。

グローバル化とインターネット化と通信インフラの整備によって、ワークライフバランスという言葉は崩壊したことを意味している。ワークとライフの関係性は完全に「バランス」でなくなった。これからは「ワーク〝アズ〟ライフ」、つまり差別化した人生価値を仕事と仕事以外の両方で生み出し続ける方法を見つけられたものが生き残る時代だ。

落合陽一『超AI時代の生存戦略 ― シンギュラリティ<2040年代>に備える34のリスト』より

「ワークアズライフ」というフレーズを噛みしめてみました。
差別化した人生価値を仕事と仕事以外の両方で生み出し続ける方法という意味を理解するのにしばらく時間がかかりました。

バランスではなく、仕事も仕事以外も入れ子になって、ワクワク楽しめる姿なのだと読み進めていくうちに把握できるようになります。

ワークライフバランスだけの考え方を捨てて、「ブルーオーシャン戦略」や「趣味性」「遊び」などで、超AI時代の労働として新しい考え方にアップデートし、ストレスと報酬の関係性について再考していくことで、ワークアズライフの世界観が見えてくるだろう。

落合陽一『超AI時代の生存戦略 ― シンギュラリティ<2040年代>に備える34のリスト』より

「ブルーオーシャン」といえば、W・チャン・キム とレネ・モボルニュが記した経営戦略論として有名な本、[新版]ブルー・オーシャン戦略―――競争のない世界を創造する (Harvard Business Review Press)』を想起させられます。

経営戦略、マーケティングの分野では外せない『ブルー・オーシャン戦略』です。

この「ブルーオーシャン」に加えて「趣味性」と「遊び」が必要だと、落合さんは語ります。つまり、今まで仕事とは違う世界と思っていた趣味やプライベートの遊びの分野もシンクロして仕事に関わるというのが新しい働き方として提案しています。

いったい、どういうことなのだろう。

「仕事は遊びだ!趣味だ!」などという輩をたまに見かけるが、ほんの一握りの存在です。どこまでも没頭して楽しく仕事をするなんて、しかも遊びや趣味とオーバーラップする姿なんて、今までの常識的働き方観では一致しない。

それこそが、超AI時代であり、シンギュラリティな2040年の未来の姿だと想像してみる。

これからやらないといけないことは、全員が全員、違う方向に向かってやっていくことを当たり前に思うということだ。つまり、誰も他人の道について気にかけていない。そして自分も気にしていないというマインドセットだ。
今、この世界で他人と違うのは当たり前で、他人と違うことをしているから価値がある。もし、他人と競争をしているならば、それはレッドオーシャン(競争の激しい市場)にいるということだ。つまり、競争心を持つというのは、レッドオーシャンの考え方で、そうではなくて一人一人がブルーオーシャン(未開拓な市場)な考え方をしなくてはいけない。

落合陽一『超AI時代の生存戦略 ― シンギュラリティ<2040年代>に備える34のリスト』より

No.1ではなく、Only1戦略で生きて構わない。他人と比べる価値観が意味をなさない。ひとり一人が開拓者として、自分自身と向き合い、自分の道を歩んでいく姿。組織論などからするとバラバラで、カオスな姿にしか思えないが、それが未来に訪れるというならば、自分たちも変わらなければいけない。

明治維新後、武士が髷を切り、散切り頭になり、脇差や刀を捨てて、着物を洋服に変えていったように、大きなパラダイムの変化を目の当たりにする世界から逃れられない。流れに逆らってみても、何も生まれない。自分も新しい時代で生きていける人間に変わっていくしかないのだと感じました。

これは、リンダ・グラットンの『ワーク・シフト ─孤独と貧困から自由になる働き方の未来図<2025>』や『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)』で語られていた未来の生き方とも呼応する部分を感じる。

「働き方」の対して、インパクトのあった1冊。まだ読んでなければ、是非、ご一読してみてください。

未来予想図が描ける人たちが預言者ではないとしても、方向性が変わりスピードアップしていくならば、その時代に生きる人間は、まずは、ついていくしかない。価値観と行動が変わる変化ならば、常人には理解や納得などを求める余裕はなくて、飲みこまれるだけなのだから。せめて、自分にできるだけの心の準備と柔軟な脳を持って、待ち構えて波に乗るしかない。

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好きで何かを続けている理由を細かく分解すると、そのギャンブル、コレクション、快楽のどれからに誰もが集約されるだろう。「ドキドキしたい」し、「充実感を得たい」し、「単純に気持ちがいい」と感じたいのだ。

落合陽一『超AI時代の生存戦略 ― シンギュラリティ<2040年代>に備える34のリスト』より

最近、残業過多・過剰を理由に病気になったり、自殺をしていくことで、企業だけを悪にする風潮がある。確かに、それは正しい。でも、もし、その人が新しい時代に迎える働き方や考え方をもって、気持ちいいという感情で仕事に取り組めていたら、違う結果が出たのではないだろうかと考える。

我慢をしたり、無理をするのではなく、どこまでも楽しむというスタンス。

確かに、猛烈に働いている人でも、楽しそうにしている人と会うと、こちらにワクワク感が伝染するような時がある。だれもが、そんな時代に生きていけるならば、AI時代も含めた、革命的変化を受け入れて、前に進もうと感じました。

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投稿者プロフィール

安斎 輝夫
安斎 輝夫
【サードプレイス】ブロガー 、安斎輝夫。長年サラリーマンとして家庭と職場だけの生活に疑問を持ち、2017年から「サードプレイス」を研究・実践し、人と人をつなぐコネクターな存在になろうと決める。
Expand your life with energy and support. というミッションを定めて、人生を一緒に拡張していける仲間を増やすために活動を展開。月1回のリアルなイベント「サードプレイス・ラボ」の運営するリーダー(主宰者)。また、6人で執筆する、週刊「仲間と一緒にワクワクしながら、大人が本当の夢を叶える!サードプレイス・メルマガ」(まぐまぐ)の編集長。Facebookページおよびグループの「サードプレイス・ラボ」も運営中。