池井戸作品の中で『陸王』が一番だと思う
池井戸潤さんの作品は「半沢直樹」(『オレたちバブル入行組 』)『下町ロケット 』『七つの会議 』『陸王』など映像化が続いてきました。
本としての売れ行きだけでなく、ドラマも高視聴率をたたき出す人気ドラマでした。
私の中で、一番響いたのが『陸王』でした。
『陸王』は、『小説すばる』(集英社)に2013
創業100年の足袋製造会社、こはぜ屋の宮澤鉱一社長が主人公。
もう一人の主人公は、ダイワ食品陸上部の若きランナー、茂木裕人。
本来ならば、この二人の人生なんてクロスするはずがなさそうなのに、不思議な縁で結ばれていきます。
この『陸王』の中で、宮沢社長と茂木裕人は、踏み込んだ会話らしい会話をしていないのです。もちろん、一緒にお酒を飲み交わすなんてシーンは一度もありません。
相手を慮る二人の姿は、年代も、生き方も違っているのに、なぜ、成立したのでしょうか。
スポーツ選手だけが主役ではない!挫折と信頼の物語
スポーツ選手の物語だと、選手の活躍だけに展開が集中します。
どれほど厳しい練習を積んで、高い目標に向かって挑み続ける。ライバルと戦い、指導者(監督、コーチなど)のもと、壁を乗り越えて成長していき、勝負に勝つ。
鉄板のストーリー展開です。
ただ、この『陸王』は、あくまで中小企業のこはぜ屋の社長が主人公。
衰退していく業界の中で、自分たちが生き残るために、足袋以外のビジネスを探して、ランニングシューズに着目して、技術を生かしながら、専門家たちを巻き込んでチャレンジしていく話です。
選手をサポート(スポンサー)になるという意味では、大手シューズメーカーに資金も知名度も勝てない存在。
自分たちは、怪我を乗り越えて頑張ろうとする、若手ランナー、茂木裕人のために、ベストなシューズを作ろうとする。
事業は失敗や危機を乗り越えながら、一歩ずつ成長していくものの、大ピンチを迎えてしまいます。
なぜ、足袋屋の作ったランニングシューズを履いて、茂木裕人は走ったのか。
つらい時の自分を見捨てずに応援してくれたサポート企業への感謝の気持ちに報いるのは、信頼があったからこそ。
足袋屋は、作っても履いてもらえないかもしれない、売れないかもしれないという不安があっても、応援する選手のために全力を尽くそうとする。
池井戸作品にある勧善懲悪な時代劇的な要素がありながらも、スカッと気持ちが晴れるだけでなく、心が温かくなるのは、この信頼関係が見事に成り立っている姿が美しいと感じるからではないでしょうか。
真摯に生きる二人の関係は利害ではない
スポーツの勝負の世界でも、ビジネス社会においても、利害関係、損得は捨て去ることはできません。
でも、この二人は、見事なまでに利害関係ではない、お互いを理解しながらの信頼関係を作り上げています。
相手のためだけに従属するのではなく、相手を信頼して、本気で応援していくために、自分にできることに集中していく姿。
誰かに見下されるとしても、腐ることなく、実直に真摯に生きていきます。
あなたの人間関係に信頼はありますか?
打算の全くない関係性なんてあり得ないかもしれません。
相手を利用して、自分も成功してやろうという、邪とも言える思いは誰にだって潜んでいます。
本当に成功している関係性の中では、お互いの信頼が大前提になっています。
相手にギブしていこうという思いと行動の先に、信頼が生まれてきます。
これからの時代に一番大切なものは何か、と尋ねられたら、私は迷わず「信頼」と言い切ります。
どんな場面、状況においても、相手を敬い、支えあってこそ生まれるのが信頼です。
信頼は、時間をかけて、手間暇かかってこそ、本当の価値が芽生えてきます。
もし、対人関係で苦しんだり、悩まされるようなことがあれば、私は、『陸王』を読むことをお勧めします。
『陸王』関連
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【サードプレイス】ブロガー 、安斎輝夫。長年サラリーマンとして家庭と職場だけの生活に疑問を持ち、2017年から「サードプレイス」を研究・実践し、人と人をつなぐコネクターな存在になろうと決める。
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