【伝記】日本人女性初のメダリスト、人見絹枝さんが24年間の駆け抜けた生涯

スポーツの世界で女子選手が活躍するのは当たり前の時代になりました。

1992年バルセロナオリンピック女子マラソン銀メダルの有森裕子が獲得する64年前、一人のスーパー女子アスリートが日本にいたのです。彼女の名前は、人見絹枝です。

今回、『人見絹枝 (世界の伝記 コミック版 46)』を子どもと一緒に読んで、彼女の足跡を辿ってみました。

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人見絹枝さんが女子スポーツ選手の道を開いた

日本人初の女子メダリスト・人見絹枝さんといえば、歴史の教科書にさらっと出てくるだけの存在に過ぎなかったと記憶していませんか?

彼女が銀メダルをとった種目は、800m走というのは意外に知られていません。

だって、彼女は、短距離とジャンプ種目(幅跳び、3段跳びなど)の選手ですから。

彼女が女子スポーツ選手の道を開いたパイオニア

人見絹枝さんについては、2019年の大河ドラマ「いだてん」で菅原小春さんが演じた、人見絹江さんの短い人生のストーリーを見て、世間が改めて注目を浴びることになりました。

1907年に岡山県で生まれた人見絹枝は、テニス選手を経て陸上競技で数々の好成績を収めるようになる。二階堂体操塾(現・日本女子体育大学)に入学した人見は、日本新記録を連発。明治神宮競技大会をはじめ多くの大会で優勝を飾る。その後人見は大阪毎日新聞社に入社し、1926年、第2回国際女子競技大会に派遣され驚異的な成績を残したのである。2年後の1928年には、アムステルダムオリンピックにおいて史上初めて行われた陸上競技女子種目に出場した。これは日本の女子選手にとって初めてのオリンピック出場でもあった。

【笹川スポーツ財団】 2-6 オリンピック日本初女子メダリスト・人見絹枝『大正デモクラシーの花』より一部引用

彼女は、女子がスポーツ、というよりも運動をするということを世間に知らしめた第一号の存在です。(ある意味、奇異な目で、当時の世間から見られていたのは間違いありません)

圧倒的な身体能力があり、新聞社に勤めて、日本国中に講演も行うなど活動を続けた彼女の生涯は、銀メダルをとった2年後、1931年8月2日、24歳という若さで肺炎のため亡くなって終えています。

ものすごいアスリートだったものの、彼女の短い生涯のためか、あまり注目を浴びることはありませんでした。

プレッシャーの中で、本来の種目以外でメダルを獲得する

彼女が銀メダルを獲得した、800m走という競技は、陸上競技のトラックを2周する中距離走です。

全力疾走をするような短距離とも、時間をかけて駆け引きをする長距離とも違うのが中距離走です。

人見絹江さんは、勝負をかけた100mで予選敗退し、他の円盤投げや高跳びなどでも成果が出なかったため、この800m走に全身全霊をかけて挑んだそうです。

例えるならば、経理のスペシャリストが、会社の売上が足りないから、飛び込み営業に行って成果を上げるような話ですから、尋常な展開ではありません。

プレッシャーを感じながらも、自分の持てうる力を出し切る姿は、スタジアムの観客も、関係者も驚かせたことは想像できます。

自分の得意分野で勝負しないと勝てないという思い込みを捨てて、絶対に勝ちたい、メダルを取って日本に帰るという強い気持ちを抱いたという点は、特筆すべきポイントです。

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彼女が残したメッセージの価値

人見絹枝さんが残した言葉の数々は、ストレートでありながらも、強いものを感じます。

「おろかなりとも、努力を続ける者が最後の勝利者になる。」 

「努める者はいつかめぐまれる。」

近年の日本では、頑張る・努力というメッセージが暑苦しくて、受け入れられない風潮が強くなっています。

ただ、実際に、成功している人は、圧倒的なトレーニングや行動量を積み上げて、成功しているんは事実です。

人見絹枝さんは、先人や情報が足りないなか、必死に努力を続けてきたからこそ、この言葉には重みがあります。

「いくらでもののしれ。私はそれをあまんじて受ける。しかし、私の後から生まれてくる若い選手や日本女子競技会には指ひとつふれさせない。」

「いくら人から教えられても、その内容を本当の意味で理解していなかったら、何にもなりません。」

当時、女子スポーツなどが理解されていない逆風の中で、強い意志を持って戦っていたのがわかります。

パイオニアが全く理解されない時代、どれほど強いプレッシャーを感じていたのか想像すると、人見絹枝さんの短い生涯で走り抜けた姿を想像すると、頭を深々と下げたくなります。

新しい時代を作ろうとする人を見かけたら、否定するのではなく、是非、応援しましょう!

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投稿者プロフィール

安斎 輝夫
安斎 輝夫
【サードプレイス】ブロガー 、安斎輝夫。長年サラリーマンとして家庭と職場だけの生活に疑問を持ち、2017年から「サードプレイス」を研究・実践し、人と人をつなぐコネクターな存在になろうと決める。
Expand your life with energy and support. というミッションを定めて、人生を一緒に拡張していける仲間を増やすために活動を展開。月1回のリアルなイベント「サードプレイス・ラボ」の運営するリーダー(主宰者)。また、6人で執筆する、週刊「仲間と一緒にワクワクしながら、大人が本当の夢を叶える!サードプレイス・メルマガ」(まぐまぐ)の編集長。Facebookページおよびグループの「サードプレイス・ラボ」も運営中。