2020年7月5日(日)東京都知事選挙が行われます。
なぜ、選挙の投票率が50%前後になってしまうのか、という不可思議さを捉えつつも、1冊の話題の本『東京改造計画 』を読んでみました。
現在、多くの方が、書評やコメントを寄せている中で、私は少しだけ違う切り口で考えてみました。
※政治的なことを、このブログでは書こうと思っていません。
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出馬しないのに、なぜ、『東京改造計画』を出版したのか?
今回、堀江貴文氏が、「東京都への緊急提言37項」として、緊急出版をNewsPicks Book(幻冬社)から行ったのか、という点に注目したいと考えています。
表紙は、蜷川 実花さんがリモートで撮影し、編集者は箕輪厚介さんという体制です。
明らかに、ある層に向けてメッセージを伝えつつ、内容への反発・議論を巻起こすことを狙って作られた一冊であり、1972年出版された故・田中角栄氏の『日本列島改造論 』、小沢一郎氏の『日本改造計画』などと同じ展開を想起した人は、都知事選への立候補表明を予測してざわついていました。
結局、堀江氏は出馬しないという決断をしたことになっているが、最初から、このシナリオはできていたのではないでしょうか。
37の提言の中で、テレワーク化・脱ペーパーを語りながら、紙の書籍という点への批判
著書の中の、37の提言については、賛否両論があるのはわかっていて、まとめられている一冊です。
東京都知事として判断してできることなのか、国の政策レベルの話まで混在しています。
他の著書でも行っているような持論への強引な展開が後半に見受けられるのは、ワンパターン的であり、ホリエモン本のラストには、「売り込み・アピール」臭が強いと感じてしまいます。
私は、もう1冊合わせて読んだ本が、ブロガーかさこ(著)『東京改造計画の闇』(kindle本)でした。
実は、私自身、読んだ本の順番としては、『東京改造計画の闇』が先で、その後に、『東京改造計画 』(電子書籍)を読むという、非常識なパターンをとった人間です。
批判は内容と現実の矛盾をつき、なぜ、紙の書籍の先行販売や出版を優先して、電子書籍で行わなかったのか、という点を課題にあげていました。
確かに、教科書は紙でなくていい、都の職員の9割はテレワークでいい、と語るのに、紙の書籍にするん段階で、印刷・流通・書店、及び、アマゾンなどの配送などの手間がかかるわけで、矛盾ではないかという、「ブロガーかさこ」さんの論を支持しようと思いました。
「ブロガーかさこ」さんの電子書籍の中盤では、音楽業界への批判も含めて、結局、どこに焦点を当てたいのか、私は迷子になりました。
ご自身の電子書籍の実績を多くの方に知ってもらうために、便乗したのではないかと。
彼のアメブロの記事を膨らませたものの、ゴールはどこだったのでしょう。
電子書籍バンザイだったとすると、世間では受け入れてもらうには、まだ足りないような気がします。
書き手側の都合よりも、読み方の多様性なメリットを掘り下げて語らないと、まだ、電子書籍オンリーの書籍は、質(校正・校閲が弱いのかも)には不満足が感じます。
イラストも図解も、イメージ画像も入らないと、文字だらけのブログを読まされてる感覚になり、短い作品で、無料に近いコストで読めても、途中で飽きてしまうのです。
なぜ、紙の書籍優先で、電子書籍を後付けのようにしたのか?
電子書籍だとしたら、紙の書籍の無駄はなく、スピーディーではあるけども、関わる人たちの仕事を生み出すことはできないという裏事情を想定しました。
つまり、出版業界全体に向けて、インパクトを与えるためには、電子書籍優先にはできなかったわけです。(私は、kindle本になるまで待ちました)
仕事がなければ収入が得られない、厳しいコロナ禍の環境の中で、本を読む読者だけでなく、出版関係者を巻き込みたかったのではないだろうか、と考えてみました。
これは、サザンオールスターズが、横浜アリーナで無観客ライブ配信をした際に、数百名のスタッフと一緒に作り上げたというエピソードと似ているのではないでしょうか。
エンタメも仕事も一人だけでは成り立たず、多くの方が関わってこそ価値が生まれるという、当たり前のことを前提に考えてみたら、納得できます。
だからこそ、電子書籍だけでも良かったし、堀江貴文氏の有料メルマガやオンラインサロン内だけで完結しても良かった内容をあえて、オープンにし(本人だけが考え抜いた内容だとは思いませんが)、世間に波紋を呼び、カオスな状態に一石を投じたかったのではないでしょうか。
だからこそ、彼は、書籍の内容と矛盾するアクションも行うと批判されても、出馬しないのに自己アピール本を出すなと文句を言われても、このタイミングで自分のできることをやったのではないでしょうか。
もし、多くの印税を得ることが目的ならば、『東京改造計画 』は電子書籍だけにした方が、堀江氏にはメリットがあったはずです。
ただ、電子書籍ではマーケットとして大きく確保できない事情がある点は見過ごせません。
「オーディオブック聴き放題なら – audiobook.jp」 や「Audible (オーディブル) – 本を聴くAmazonのサービス」や、書評のYouTubeチャンネルなどとの連携を取りながら、SNSも踏まえて展開する力がなければ、電子書籍で100万部!みたいな大ヒットは生まれないのではないでしょうか。
まだ、電子書籍を本格的にブレイクさせるには、何かが足りないのです。
だから、紙の書籍を発売することを優先とし、補完として、電子書籍も発売するという流れなのでしょう。
個人が自由に発行できる電子書籍の販売数を考えたら、ブログのPV数と大差ない個人が多いのが現実だと思います。
「本を出版した人」というブランディングはできますが、手元に形があるかないかの実感の問題で、電子書籍は2次元アイドルみたいな感覚が拭えていないのです。
もちろん、スピード重視や今後は、電子書籍が先行発売されて、じっくり読みたい人が紙の書籍を手に入れる時代が来るのかもしれませんけども。
ネット選挙を本気でやる時代を作りたいのでしょう
今回の東京都知事選挙(2020.7)も、ネット投票という形での選挙は行われませんでした。
あれほど、3密を避けて、不要不急の外出は控えるように指示してきたのに、選挙は投票所に足を運ばなきゃいけないっていうのは、旧態依然とした制度設計のままです。
選挙活動としては、街頭演説やテレビ番組出演など以外にもネットを活用した展開をされている方もいらっしゃいました。
探してみれば、YouTubeなどでのライブ配信などで、候補者の人物面まで伝わってきそうなものに触れることもできたと思います。(浸透度としては、弱いですが)
ただ、若い人の投票行動を促進するには、ネット投票に向かわないと、今後も日本の選挙の投票率は伸びないでしょう。
だからこそ、私は、『東京改造計画 』の37項目の本当の肝の部分は「ネット選挙」だったのではないかと考えています。
他の項目は、今までの主張をベースにしたものが多く、目新しいものはゴルフ場の会員制運営の話ぐらいだったような印象が残っているので。
正しい情報をキャッチできるのかというリテラシーの大切さ
ITリテラシーや情報リテラシーに関しては、検索して情報を入手する、トレンドのニュースや関連情報を得るということに向かっている流れには違和感があります。
正しい情報をキャッチできるのか、その判断ができるのかという部分が、リテラシーとして重要なわけであって、手法やツールの使い方のワザの話ではないのです。
流されている情報が誤報やデマであっても拡散されてしまう段階で、ブレーキを踏める自分の感度を高められるかどうかが大事なのです。
今回の堀江貴文氏の本は、自分への注目度を高めることもあったでしょうが、新しい選挙の形を模索していた様子も伺えます。(好き嫌いは別問題)
正しい情報をどのように得ていけばいいのか。
私自身も、この正しい情報を判断する能力を磨かなければいけないスキルですし、おそらく、あなたも同じだと思います。
選挙というお祭りだけではなく、日々の活動や実績を丁寧に見つめられるように
短期決戦になる、選挙戦は、立候補者も支援者もお祭り状態になります。
ただ、当選・落選を決めるだけのゲームではなく、その後、公約を踏まえて、自分たちの生活と密接に関わる姿に注視していき、彼らの日々の活動や実績を丁寧に見つめられるようになりましょう。
是々非々で構わないので、友人知人と雑談するだけでも、ネットでぼやくだけでもなく、ちゃんとした議論・意見をまとめて伝えられるような社会にしたいものです。
そのためには、起爆剤としての『東京改造計画 』という本は価値があったのではないでしょうか。
項目の1つ1つの是非は、詳しい方の見解、コメント、解説などをもとに各自で考えていきましょう。
その一歩こそが大切なんじゃないでしょうか。
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投稿者プロフィール
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【サードプレイス】ブロガー 、安斎輝夫。長年サラリーマンとして家庭と職場だけの生活に疑問を持ち、2017年から「サードプレイス」を研究・実践し、人と人をつなぐコネクターな存在になろうと決める。
Expand your life with energy and support. というミッションを定めて、人生を一緒に拡張していける仲間を増やすために活動を展開。月1回のリアルなイベント「サードプレイス・ラボ」の運営するリーダー(主宰者)。また、6人で執筆する、週刊「仲間と一緒にワクワクしながら、大人が本当の夢を叶える!サードプレイス・メルマガ」(まぐまぐ)の編集長。Facebookページおよびグループの「サードプレイス・ラボ」も運営中。