【レビュー】『幸せになる勇気』岸見一郎 古賀史健

どうすれば人は幸せになれるか

アドラー心理学ブームは、地味に、でも、確実に広がっています。
ただ、なんとも捉えどころがなく、理解しきれずに、消化不良になりやすい。

嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教えの続編として書かれたのが幸せになる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教えIIです。

哲人と青年の対話で進むスタイルは前回同様ですが、今回は、青年がアドラー心理学を教育現場で実践して、うまくいかない思いを、怒りも混めて、哲人と向き合う流れが特徴的です。

教育現場で、アドラー心理学を活かそうとして、苦しんだ青年の訴えを聞きながら、哲人は、アドラーの言葉を借りつつ、彼との対話が書斎の中で続きます。

“子どもたちの決断を尊重し、その決断を援助するのです。そしていつでも援助する王位があることを伝え、近すぎない、援助ができる距離で、見守るのです。たとえその決断が失敗に終わったとしても、子どもたちは「自分の人生は、自分で選ぶことができる」という事実を学んでくれるでしょう。”

「自分の人生は、自分で選ぶことができる」ということを子どもが学ぶ。当たり前のようで、なかなか難しい。誰もが、自分の人生を、自分で選んだはずなのに、どこかで他者や環境のせいにしてはいないだろうか。

自分で選択したという意思がないまま、進学し、就職してしまうような時代に、わたしたちは生きているのかもしれません。

“アドラーの語る「すべての悩みは、対人関係の悩みである」という言葉の背後には、「すべての喜びもまた、対人関係の喜びである」という幸福の定義が隠されているのです。”

確かに、わたしたちは、対人関係の悩みはつきません。転職を決意する際の、退職理由の大半は、表向きは「一身上の都合」と言いながら、多くの場合、「人間関係」が原因であるケースが多いと言われています。

人生の中で、人は、誰かとともに接点を持ち、生きていく以上、なんらかの悩みを抱えています。相手を思い通りにすることはできないですし、相手も、自分をコントロールしきることは難しいでしょう。

対人関係の喜びを得る為に、わたしたちは、何を考えなければいけないのか。
さらに、読み進めていきました。

“我々はみな、「わたしは誰かの役に立っている」と思えたときにだけ、自らの価値を実感できます。”

“「わたしは誰かの役に立っている」という主観的な感覚があれば、すなわち貢献感があれば、それでいい。”

誰かの役に立つことで、喜びをえる。当たり前のようで、実は、難しい。
人はどうしても、自分を中心に物事を考えて、自分が楽しい、嬉しい、ということを幸福と考えがちです。他者への貢献という観点で考えるには、心に余裕が必要です。

人を愛することについて、アドラーからの教えを青年と哲人は話し続けます。
わたしとあなた、という関係ではなく、わたしたちという主語に切り替えて、自立と愛によって、人は幸せになると説いていきます。

「幸せになる勇気」というタイトルの意味を後半で、ようやく理解できます。

“「世界はシンプルであり、人生もまた同じである。」しかし、「シンプルであり続けることは難しい。と。そこでは、「なんでもない日々」が試練となるのです”

私が、一番、この一冊の中で気に入った言葉です。

シンプルであり続けることの大切さ。そして、困難さ。

わかっているからこそ、シンプルな人生を求めていきたいと願っています。

あなたも、日々、色々なことに悩み、苦しんで居ることと思います。考えを巡らせると、深みにはまるような感覚。だからこそ、シンプルであり続けることを意識して、一緒に頑張っていきましょう!

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