NHK大河ドラマの「龍馬伝」を見るまでは、坂本龍馬と岩崎弥太郎の関係性をクローズアップして考えてみたことは一度もありませんでした。
三菱という大企業グループを作り上げた、岩崎弥太郎といえば明治前期の起業家であり、貿易事業を中心に大成功を納めた人物。
一方の坂本龍馬は、薩長同盟などの幕末史の英雄とされ、高い人気を誇る人物。
原口泉(著)『龍馬の夢を叶えた男 岩崎弥太郎
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海に囲まれた日本は、貿易立国として成長する道を選ぶしかなかった
幕末から明治にかけて、日本が近代化する変革期において、貿易立国として世界で戦うしか成長する道はなかったのです。
世界へ生糸やお茶を輸出しながら、海外の商品を輸入するということで急成長を遂げた日本は、隣接する国との境界には海があり、船(現代ならば飛行機)などを介さないと、行き来できない関係でした。
レベルの高い軍事力として武器も持たず、購買できるマネーもなかった国は、貿易立国として海外との関係性を作り上げるしか成功の道はなかったのです。
とはいうものの江戸時代は、長崎の出島を除けば、海外各国との交流も情報など何もない関係性だっただけに、ペリー来航をきっかけに国をあげて大混乱になったのは間違いありません。
自国の商品を海外に売り、海外のものを日本で売り捌くという貿易・商社の発想こそが、不可欠な時代に、坂本龍馬と岩崎弥太郎という歴史上の人物は活躍しています。
坂本龍馬は「世界の海援隊」をやりたいと語っていたのだから
幕末史の中で、特異な存在・キャラクターとして人気のある、坂本龍馬は、土佐藩に売れま育つものの、剣術を磨くために江戸へ修行に行き、人生を変えていきます。
凡庸だったとされる坂本龍馬が、時代のうねりの中で、正しい情報や師匠を得て、成長していく様は、司馬遼太郎の『竜馬がゆく
彼が後年、海援隊などによって、藩同士の交易だけなく、海外との貿易によって未来を築こうとしていたのは紛れもない事実。
海へ出て、世界で活躍する日本の姿を夢見ていたことは間違いないでしょう。
残念なことに暗殺されるという非業の死により、夢が途絶えたことは残念でなりません。
時代のど真ん中で政商として成功を遂げた岩崎弥太郎
坂本龍馬と対峙する関係に置かれる岩崎弥太郎は、当時の武士階級とはいえない立場に身を置いて、自分の能力・才覚で時代を切り開いた、明治前半の起業家です。
結果として、坂本龍馬のなし得なかった、海外との貿易によって財を成すという国策とも相まって、急成長を遂げています。
ワンマン経営者として三菱グループの基礎を作り上げ、政治の世界の周辺で成功を収めていきます。
もちろん、反発も喰らうことでダメージもあったようですが、企業として成長を続けていく姿は、勢いのあるベンチャー企業そのもの。
明治前半の混沌とした変革期だからこそ、必要とされたリーダーなのだと感じます。
坂本龍馬との接点は多少あったようですが、良好な親密関係とまでは言わず、たまたま坂本龍馬の亡き後、彼の資産や夢を引き継いでいったというのが正しい認識だと理解すべきでしょう。
貿易立国は、21世紀にはどうあるべきなのか
貿易立国として、輸出入で成長を続けてきた日本は、今、岐路に立たされて苦戦が続いています。
もはや、自国の商品が海外で強烈に評価されて売れる時代ではなくなっています。
海外から輸入する物は増えていても、輸出する部分では工業製品には限界があり、農業製品だと生産量と消費のバランスを踏まえると、予測できない話が多いため、厳しいと判断せざるをえません。
良いものを大量に作って、海外で売るというモデル自体が、生産能力が高い時期の日本では通用していたとしても、21世紀のVUCの時代にマッチしているとは言えないようです。
21世紀は、モノのやりとりではなく、コトやストーリーを売るべき時代なので、貿易としての観点よりも、興味を惹かれるエピソードの存在がなければ、誰もが関心や興味を持ってくれない可能性があるのです。
したがって、コトやストーリーを盛り込んだ商品を作って世の中に広めない限りは、厳しい環境に晒されてしまうのではないでしょうか。
坂本龍馬や岩崎弥太郎の描いた夢の先の先の先、ぐらいな状況を踏まえて突き進むしかありません。
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【サードプレイス】ブロガー 、安斎輝夫。長年サラリーマンとして家庭と職場だけの生活に疑問を持ち、2017年から「サードプレイス」を研究・実践し、人と人をつなぐコネクターな存在になろうと決める。
Expand your life with energy and support. というミッションを定めて、人生を一緒に拡張していける仲間を増やすために活動を展開。月1回のリアルなイベント「サードプレイス・ラボ」の運営するリーダー(主宰者)。また、6人で執筆する、週刊「仲間と一緒にワクワクしながら、大人が本当の夢を叶える!サードプレイス・メルマガ」(まぐまぐ)の編集長。Facebookページおよびグループの「サードプレイス・ラボ」も運営中。