夢を強要されるのが嫌ならば『ドリーム・ハラスメント』を相手に渡すしかない

I Have a Dream.(「私には夢がある」)

1963年に、マーティン・ルーサー・キング・ジュニアが人種平等と差別の終焉を呼びかけた演説のフレーズとして有名ですよね。

世間では、「夢を実現する」「夢を持とう」というお題目を見ない、聞かない日はない。

夢を持つことを若者(子どもたち)に強制しているのではないか、という問題提起と分析をした一冊『ドリーム・ハラスメント 「夢」で若者を追い詰める大人たち (イースト新書)』(高部大問 著)を読んで、冷静になって考えてまとめてみました。

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夢を強制しちゃいけない!若者を追い詰めるな!

「ドリーム・ハラスメント」って言葉の重さと現実を受け止める一冊でした。

夢を持て!夢を実現させろ!という背中を強引に押す大人たちがたくさんいます。

正直言わせてもらえれば、大人の中に、夢を抱いて人生を送っている人は、そんなにいないのが現実です。(単純にお金持ちになりたいという欲望は夢とは違うと考えています)

ドリーム・ハラスメントの場合、厄介なことに先生たちにも保護者の皆さんにも悪意が無い。それどころか、夢を有り難かって使い込む姿は善意に満ちています。
なぜなら、若者たちへの助言を容易にし、差別も回避できる。そんな夢のような代物は夢以外に見当たらないからです。「有る」のが「難しい」。夢は「有り難い」ものなのです。

まさに、高部さんが伝える、ドリーム・ハラスメントの課題が浮かんできます。

悪意ではなく、善意だから厄介だという話に着目してください。

夢は持たなくても生きていける!

夢を持とう!夢は素晴らしいという理屈が浸透している時代になり、夢は持たなければならぬ、という風潮が定着しています。

そして、この夢が、なりたい職業に向かいやすいのは、シンプルでわかりやすいという背景があります。

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自分の親の職業であったり、身近に参考になるモデルがあれば、イメージは沸きやすいのですが、よほど強い思いがないと厳しいです。

「夢なんてない」

なんて言ってはいけないという空気が漂っていないでしょうか。

実際は、夢なんて無理矢理持たなくても生きていけます。

なぜなら、簡単に叶わないのが夢だと誰もが認知しているのではないでしょうか。

クールに、夢なんていらないと断固として語ることが間違いではないのです。

夢なんて叶わないもの!強制される圧力は大人たちの都合

夢なんて叶わないものなのに、大人である教師・先生や親たちは、なぜか、プレッシャーをかけてきます。

その背景は、逆算型のキャリアを思考するからではないでしょうか?

人のキャリアについて2通りの生き方があるでしょう。ひとつは、夢を決めてそこから目標をブレイクダウンし、やるべきことを明確化する「逆算型」のキャリア。もうひとつは、好奇心に基づきキャリアを積み上げていく「加算型」のキャリアです。

私自身も、キャリアの逆算思考という観点を考えていた時期があります。

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ところが、この考え方には無理があると気づきました。

若者であれば、可能性の幅を広く見せることができますが、中高年に向けて、この逆算思考のキャリア開発を促すと、人生の残り時間を考えるので厳しいのです。

若者には時間がある、可能性があるのだから、モチベーションを上げて生きてほしいという願望があるからこそ、保証も約束もできない夢を押し付けているのです。

安心感を得ているのは、若者ではなく、大人たちだと『ドリーム・ハラスメント 「夢」で若者を追い詰める大人たち 』のなかで書かれている内容に、共感させられました。

私には大きな夢は持っていなかった

実は、私自身、子供の頃から、なりたい職業の夢を明確に持っていなかったのです。

小さい頃であれば、戦隊モノに憧れたり、その延長として、俳優さんに憧れたり、ブログを書く人間ですから、文筆業・作家として生きる道を考えた時期もありました。

それらは、興味のレベルであって、夢というほどの高みを持つものではなかったのです。

どうしても、なりたいものがないまま、中高生、大学生となっていく中で、漠然とした不安を抱えました。

わかりやすい職業のために、勉強をして資格をとっていくような友人と自分を比べると、大きな差を感じて、このままではないけないのではないかと悩んでいたものです。

今、目の前で自分が頑張っている日常に満足していたし、その中で、見つける新しい喜びで十分でした。

私には、大きな夢なんて持っていなくても、普通に生きていけてるのです。

夢を持たない生き方も認めてあげて

もちろん、大きな夢や志を持って生きる若者を否定はしません。

高いモチベーションを持って、貪欲に頑張る彼らにブレーキをかけるのは不要です。

ただ、どこかで挫折して、諦めることも許容してあげましょう。

誰だって、自分の能力や運命を受け入れて、納得する時期が訪れるからです。

そして、夢を持てないで生きる人生も認めてあげてください。

少なくとも、夢を強要することで、若者や相手が苦しむぐらいなら、自然体で過ごす日々を尊重しましょう。

あなたが、夢を強要されるのが嫌ならば『ドリーム・ハラスメント 「夢」で若者を追い詰める大人たち 』を相手に渡すしかありませんね。

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投稿者プロフィール

安斎 輝夫
安斎 輝夫
【サードプレイス】ブロガー 、安斎輝夫。長年サラリーマンとして家庭と職場だけの生活に疑問を持ち、2017年から「サードプレイス」を研究・実践し、人と人をつなぐコネクターな存在になろうと決める。
Expand your life with energy and support. というミッションを定めて、人生を一緒に拡張していける仲間を増やすために活動を展開。月1回のリアルなイベント「サードプレイス・ラボ」の運営するリーダー(主宰者)。また、6人で執筆する、週刊「仲間と一緒にワクワクしながら、大人が本当の夢を叶える!サードプレイス・メルマガ」(まぐまぐ)の編集長。Facebookページおよびグループの「サードプレイス・ラボ」も運営中。