児玉博『堕ちたバンカー国重惇史の告白』は、バブル日本の経済や社会背景を知りつつも、諸行無常を感じました。

日本に「バブル経済」があったなんてことは、若い世代には信じられない話でしょう。

私も、まだ未成年で、大人たちは狂ってると感じていました。

バブル経済の中で暗躍した1人、国重惇史(住友銀行MOF担)の語る話は、社会は多層な関係性によって動かされてることを思い知りました。

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熱量があった時代がバブルだとしても、その熱量は異常な世界だった

ノンフィクションライターの児玉清さんが、国重惇史さんのメモや当時の関係者にヒアリングをしながら、紡ぎ出した『堕ちたバンカー ~國重惇史の告白~』を読んで感じたことは、時代の異常な熱量でした。

バブルという時代は誰もが浮かれて、永遠にお金が増え続ける感覚に酔っていて、今の常識から見ると異常な光景。

ジュリアナ東京で踊るボディコン女性たちも含めて、あの熱量は異常だったと思います。

平和相互銀行事件、イトマン事件に暗躍したバンカーの今の姿は虚しい

児玉博(著)『堕ちたバンカー ~國重惇史の告白~』を読むと、ニュースで取り上げられていた「平和相互銀行事件」「イトマン事件」の真相を知ることができます。

登場人物に、大蔵大臣(当時は、大蔵省、現在ならば財務省)の竹下登まで出てくるあたり、スケールの大きな話が流れていきます。

経済小説、特に、金融機関が絡むバブル前後のものと比べると、実話だけに、恐ろしく感じる場面が多く出てきます。

やはり、権力や権威をもった人間のエゴによって、動き出すことに関わると、どの登場人物も、与えられた自分の役割の中で、当時の最適な判断(自らが損をしないという大前提)を求めていたことが伝わってきます。

正直言って、一般市民にとっては、どうでも良いぐらい遠い世界の話なのに、これがバブル経済の世の中だからこそ、成立した展開だと思うと、現代史の一部を切り取っていることは評価したい作品でした。

当時、重要な動きをしていて、住友銀行のMOF担・国重惇史さんが関わった事実をメモに残したからこそ、意味があるノンフィクションでしたが、今の彼の様子を語る、冒頭とラストを読むと、時の流れ以外の虚しさを感じます。

政界も、霞ヶ関も、思うままに動かせた男が、スキャンダルで失脚し、年老いて行く姿

銀行員に過ぎない、国重惇史さんが、銀行、財務省、日銀、政界、裏社会など様々な方と関わりながら、シナリオ通りに周りを動かしていく姿には驚かされました。

私自身、今まで、国重惇史さんの名前も存在もよく知らなかったので。

そこまで、住友銀行内で大活躍して、将来の頭取とも目された人物が、落ちぶれてしまったのは、女性スキャンダルによるもので、全てを失い、難病を患いながら、年老いている姿は、人生の晩期を考える上で印象深いものです。

「英雄色を好む」という通り、自分の存在感を見たし、エネルギーを発散するには、異性との恋物語が必要だったのは仕方ないのかもしれません。

結果として、ほとんど全てのものを失い、ボロボロになっていく姿の先に、国重惇史さんが死を迎えるのは避けられない未来だから。

奢れるものも久しからず、ただ春の夜の夢の如し(平家物語)

バブル経済史を専門的に研究をするのでなければ、この『堕ちたバンカー ~國重惇史の告白~』を読んで、思い浮かぶ言葉は、平家物語の冒頭のフレーズです。

奢れる人も久からず、ただ春の夜の夢のごとし。

当時、世の中や社会、企業を意のままに動かせたであろう、この作品に出てくる人物たちも、さまざまな末路を辿っています。(鬼籍に入られた方が多いです)

現代から見れば、彼らが将来を生きる私たちのために、何かを残したのかと言えば、ほとんど存在せず、我がエゴを全面に出して生きていたことが伺えます。

誰もが絶好調だと自分の実力や実績を最高のものと思い、勘違いをしやすくなります。

あの時代は夢物語だったから、バブル経済は弾け、厳しい30年以上のダメージを、今の日本に深く残してしまっているのに、誰も、反省も責任も取れずに過ごしてきたわけですから。

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社会のためより、自分たちに有利になるために必死だった時代

自分たちの有利になる、メリット重視でいきたエゴの時代だったからこそ、バブル経済が生まれ、異常に膨らみ、当時の人たちを熱狂させていました。

もっともっとお金を、贅沢を、という欲求に走りまくり、実現していたのです。

この感覚のずれは、21世紀を生きていれば、違和感でしかありません。

もちろん、個人軸で生きる時代になっていますが、自分のエゴは金銭ではなく、やりたいことや好きなことにシフトして、価値観は大きく変わりました。

また、自己資産、将来の生活に向けて、金銭面の不安を感じて、節約とコツコツとして投資を行える人と、その余裕が全くない人たちが増えました。

バブル後に失ったもののダメージは、今の私たちに強く影響を残し続けています。

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安斎 輝夫
安斎 輝夫
【サードプレイス】ブロガー 、安斎輝夫。長年サラリーマンとして家庭と職場だけの生活に疑問を持ち、2017年から「サードプレイス」を研究・実践し、人と人をつなぐコネクターな存在になろうと決める。
Expand your life with energy and support. というミッションを定めて、人生を一緒に拡張していける仲間を増やすために活動を展開。月1回のリアルなイベント「サードプレイス・ラボ」の運営するリーダー(主宰者)。また、6人で執筆する、週刊「仲間と一緒にワクワクしながら、大人が本当の夢を叶える!サードプレイス・メルマガ」(まぐまぐ)の編集長。Facebookページおよびグループの「サードプレイス・ラボ」も運営中。