【映画】「三度目の殺人」(2017年公開)は「誰かを悪者として描くことをしない」の是枝流そのもの

名優を使えば、絶対に名作ができるのでしょうか。

無名な俳優を使っても、名作は生まれるかもしれませんが、やはり、名優を組み合わせる方がハズレの少ない作品ができあがるのは事実。

「三度目の殺人」も福山雅治役所広司広瀬すずという名優を使うことで、重たいテーマに深みを増すことができるのです。

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是枝裕和監督作品は、「誰かを悪者として描くことをしない」が特徴

是枝裕和監督といえば、ドキュメンタリーディレクター出身らしい切り口と映像を作り上げています。

今でも、企画、脚本、監督、編集、すべて自らが行うスタイルを貫き、現場で脚本を役者と一緒に変えていけるそうです。

彼の作品は、社会問題や矛盾に切れ込むものの「誰かを悪者として描くことをしない」というスタンスを大事に作り上げているのがわかります。

証言を二転三転する法廷サスペンス

法廷でのシーンは、登場人物の会話のやりとりがテンポよく続くので見ていて引き寄せられます。

被告、弁護人、検察官、裁判官、証人、傍聴人、とさまざまな人が込み入っているので、人間関係の縮図が展開。

人の心が揺れ動き、何が真実なのか、誰かが嘘をついているのか、と心理戦が続くので、とても面白い。

今回は、役所広司さんの演じる、三隅高司が何を考えて、どういう発言をしていくのか、という流れに引き込まれていきました。

一体、何が起きているのか、なぜ、そのような発言をするのか、をラストまで見て、胸が締め付けられます。

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何かを隠すという人の思いをどう伝えるか

サスペンスや推理モノで謎を解いていくストーリーには、何かを隠すという点がポイントになります。

この何かを隠すという人には深い思いがあるものです。

この不可思議さにハマっていく時点で、是枝作品のマジックにかかっています。

隠さないといけない理由は何か、その謎を紐解いていけるのかが、ストーリーの重要な点。

複雑なのは人間の心理面に尽きると感じる作品でした。

彼女を守るために貫いた思い

小学生の頃、私は、ある嘘をつきました。

細かい描写は忘れてしまいましたが、ある女の子の名誉を守るため。

その子が大好きだったから、自分が泥を被ることに躊躇はしませんでした。

「三度目の殺人」と同じとは言いませんが、あの時、私は、この嘘(秘密)は死ぬまで誰にも言わないと決めたのは覚えています。

ただ、時間の経過とともに、重要なポイントが記憶からは消えかかっているのが玉に瑕ですが。

あの時の、じくじたる気持ちだけは胸の奥に残っているのです。

誰にだって、墓場まで持っていきたい秘密(嘘)なんて1つはありますよね。

人は嘘をつく、誰かも守るために

人が嘘をつくのは、自分を正当化して守るためと思いがち。

一方で、人は自分以外の誰かを守るために、自己犠牲的な嘘をつくことがあります。

「誰かを悪者として描くことをしない」の是枝流の真骨頂そのもの。

自分自身が、どの立場だったら、どういう行動、判断、発言をしたのか、自問自答してみると、深い味わいを得られます。

「三度目の殺人」は、是非、一度じっくりと見て欲しい作品です。

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安斎 輝夫
安斎 輝夫
【サードプレイス】ブロガー 、安斎輝夫。長年サラリーマンとして家庭と職場だけの生活に疑問を持ち、2017年から「サードプレイス」を研究・実践し、人と人をつなぐコネクターな存在になろうと決める。
Expand your life with energy and support. というミッションを定めて、人生を一緒に拡張していける仲間を増やすために活動を展開。月1回のリアルなイベント「サードプレイス・ラボ」の運営するリーダー(主宰者)。また、6人で執筆する、週刊「仲間と一緒にワクワクしながら、大人が本当の夢を叶える!サードプレイス・メルマガ」(まぐまぐ)の編集長。Facebookページおよびグループの「サードプレイス・ラボ」も運営中。