60歳貯蓄ゼロという状況でパニックにならないために

先日、大杉潤さんの『定年ひとり起業マネー編』出版記念イベントで、ファイナンシャルプランナーで日本年金学会会員の長尾義弘さんに初めてお会いしました。

その際に、献本いただいた長尾さんの著書『60歳貯畜ゼロでも間に合う老後資金のつくり方』を読んで、運用を求めない老後資金のつくり方を学べました。

具体例が多くて、とてもわかりやすい一冊でした。

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60歳で貯蓄ゼロは特別なことじゃない!

社会人・ビジネスパーソンとして、40年近く働いて、60歳という定年という時期を迎えた時に、あなたは、貯蓄はどれぐらい手元に残っているでしょうか?

一定以上の退職金と年金があれば、安定した老後を過ごすことができるというモデルは、崩れかけています。

人生100年時代であれば、働いてきた期間と同じだけの時間が待ち受けています。

60歳までに、コツコツと資産を貯められない事情が広がっていることも見逃せません

ポイントは年金の受け取り時期を先延ばしにして、長く働き続けること

長尾義弘さんは『60歳貯畜ゼロでも間に合う老後資金のつくり方』の中で、5件の事例をあげつつ、具体的な老後資金をつくる方法を教えてくれています。

ポイントは、年金の受け取り時期を先延ばしするという「繰り下げ」によって、受給タイミングと受け取る金額を増やすという策にあります。

あんてる
あんてる
せっかく60歳になったのに年金をもらわないの?!

令和4年4月から年金制度が改正されました

2022年4月現在、老齢基礎・厚生年金は、原則として65歳から受け取ることができます。

この受け取る時期を「繰上げ」「繰り下げ」という選択ができるのです。

まず、繰り上げについて、下記の通りです。

希望すれば60歳から65歳になるまでの間に繰り上げて受け取ることができます。ただし、繰上げ受給の請求をした時点に応じて年金が減額され、その減額率は一生変わりません。(日本年金機構ホームページより)

年金は60歳になったらもらえるという古い認識の方は、この情報を冷静に読み解きましょう。

60歳から繰り上げて年金を受給できるものの、年金額が減額されてしまい、一生変更はありません。

一方の繰り下げについては、下記の通りです。

老齢基礎(厚生)年金は、65歳で受け取らずに66歳以降75歳まで※の間で繰り下げて増額した年金を受け取ることができます。繰り下げた期間によって年金額が増額され、その増額率は一生変わりません。(日本年金機構ホームページより

あんてる
あんてる
 要するに、早く受け取れば少なくなって、少し先延ばしすれば多くもらえるのが年金ってことか!どっちが得なんだ?

長生きするならば、繰り下げで年金受給を先延ばしすればいいけど、もし、長生きできなくて繰り下げてしたら自分はもらえないということになるわけです。

現在、大半の年金受給者が、65歳時点から受け取っています。(繰り下げを実施している方は数%程度)

大事なポイントは、年金の受給額は途中で変えられないというルールです。

そもそも、60歳で貯蓄や金融資産がゼロに近いほど枯渇しているのに、年金受給を繰り下げしたら、受給までの期間で破産してしまうとは思いませんか?

だからこそ、長尾さんは、70歳まで働くことで、収入を得るために働くことで、後半生の資産不足を防御していくというプランを例として紹介しています。

細かい部分やケーススタディについては、『60歳貯畜ゼロでも間に合う老後資金のつくり方』を読んでいただくか、ご自身の場合を考えるためには、日本年金機構の相談窓口で、シミュレーションをして考えることが大切です。

いわゆる定年以降、どうやって働くのがいいのか?という問題は大きな課題です。

定年延長だけで在籍していた会社に残っても、仕事の内容や処遇は下がるので、満足な気持ちで働けないかもしれません。

この辺りは、大杉潤さんの『定年ひとり起業マネー編』と前作『定年ひとり起業』などを読んで参考にしていてはいかがでしょうか?

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必要な生活費は削りきれないけど、収支のバランスと資産残高を意識しないと

年齢を重ねても、必要な生活費はかかってきます。

収支のバランスを考えて、少しでも節約をすることで切り詰めることはできるでしょう。

ここで言われているのは、固定費を削減する方法です。

住居、保険、車、スマートフォン、などの費用です。

住宅ローンを支払い終えても、古くなった住居にはリフォームや改修費用が嵩みます。

家族の人数が多かった時期と比べると、夫婦や一人で住むには広すぎるならば、ダウンサイジングをしたり、住居費の安い環境を見つけて、終の住処を決めるという方法があります。

保険もお子さんが成人していれば、大幅減額をしても問題ないでしょうし、年齢が上がってるbんだけ、月々の負担は増えながら、病院通いをしているとしたら、無駄なコストとも言えるのでしょう。

車も、所有からシェアの時代になり、維持費の高いことと、高齢での運転リスクを考えて手放すのも1つの手です。

スマートフォンも格安プランに切り替えても、影響がない生活が暮らせるならばシフトしたほうが良いでしょう。

食費や光熱費、遊興費や交際費などの変動費を大幅にカットすると、生活の質が劣化したような気持ちになり苦しくなります。(贅沢をしているならば、見直すべきですが)

この支出の見直しで、少しでも浮いた金額(月1〜3万円程度)を、iDeCo(個人型確定拠出年金:イデコ)や積み立てNISAなどによって、先々への資産運用を60歳からスタートすることもできる、というのが最近の老後マネー本の特徴です。

つまり、若いうちに貯めた資産が消えている、という前提で、今から用意しよう!という考え方です。

なぜ、現役世代のうちに、資産を残せなかったのでしょうか?

住宅費、教育費、親の介護費などで現役世代は余裕がない

現役世代で老後資金が残せなかった理由は3点あります。

1.晩婚化による支出負担時期の集中

2.退職金・企業年金制度のトレンド

3.魅力的な投資方法・情報の不足

それぞれについて、この本や関連書籍、ファイナンシャルプランナーのサイトなどから得た情報と私の考えをまとめてみます。

1.晩婚化による支出負担時期の集中

日本人の初婚年齢の晩婚化の影響は無視できません。

国立社会保障・人口問題研究所の「出生動向基本調査」によると、夫妻の平均初婚年齢は夫が30.7歳、妻が29.1歳となっています。特に女性における晩婚化の傾向が顕著で、1992年と比較して夫が2.4歳高くなったのに対し、妻は3.4歳高くなっています。(公益財団法人 生命保険文化センターのホームページより引用)

ここからわかることは、30代で夫婦になり、子供が産まれて、住宅ローンで家を購入するタイミングが30−40歳の期間に集中することが想定できます。

20代で初婚・子供が生まれて、30代で住宅ローン・車購入などであれば、時期が分散できていた時期と違い、完全にこのタイミングで若い頃から貯めていた資産、場合によっては親からの援助も使い果たしてしまう可能性があります。

当然、ビジネスパーソンとして働いている限り、収入が滞ることはありませんが、企業業績の影響による収入減、フルの共働きから、一方がフル未満のパート勤務になるなど、家庭を維持するために、世帯収入が大幅アップする保証がありません。(年功序列的な給与制度の崩壊が影響しています)

40−50代になると、子どもの教育資金と親の介護などが同時並行で起こりつつ、住宅ローンなどの返済を続けていれば、キャッシュフロー上、±0というのが現実。

若い頃から貯めていた蓄えも吐き出してしまうのが、このタイングと言われています。

また、場合によって、健康上の理由で、働ける状況が変わる人もいますので、ミドルからシニアと呼ばれる世代の過渡期は厳しい支出状況が続きます。

2.退職金・年金制度のトレンド

団塊世代までは、諸事情があっても、しっかりと40年近く勤めていれば、金額差はあっても退職金が得られて、その金額と年金で、慎ましやかな自分の余生を過ごすことができました。

この退職金制度が、バブル崩壊以降、退職一時金の負担が大きいため、制度が維持できなくなり、大幅な減額や、個人による確定拠出年金制度(401k)にシフトしたことも見逃せません。

また、ビジネスパーソンの転職市場が活況になったこともあり、1社に長期間勤めて、退職金をたくさんもらえるというスタイルの方が減ったのも事実。

企業年金という大手企業にあった安定制度も消えようとしている昨今、頼るのは、公的年金側と考えていきます。

ところが、年金支給開始時期は、65歳となっており、自分たちが想定していた時期より後ろ倒しになり、今後、70歳になると予想されています。(ほぼ確実でしょう)

3.魅力的な投資方法・情報の不足

もう1つ現役世代が貯蓄がない状態で、60歳を迎えてしまう理由が、魅力的な投資方法・情報の不足です。

戦後世代から高度経済成長で現役だった方々は、郵便局にお金を預けてさえおけば、利子が大きく増えて、楽な資産構築ができた世代です。

その後のバブルを味わった世代は、華やかな時期を経て、崩壊後のダメージを味わい、厳しい状況のまま、定年前後の方が多いでしょう。

その後は、ITバブルと崩壊で株式市場に振り回された世代が就職難で、正規雇用で働くことができず、安定的な収入を持てなかったこともダメージとなって積もっています。

結果として、怪しい投機的な投資方法で失敗をしたり、マネープランのないまま、金融機関や不動産投資会社の言いなりで収支にダメージを受けている方もいらっしゃいます。

本来は、長期分散で、インデックス投資ファンドにコツコツと積み立てていれば、確実に用意できたはずの資産を得られていないのです。

マネーリテラシーの低い現役世代が多いのは、知識と勉強不足と冷たくあしらうだけでは済まない状況です。

本人にも社会にも課題があり、今、積み立てNISAなども含めて、国歌を上げて、資産構築を個人に促しているのです。

一番大事なことは健康で過ごしながら人生を楽しむこと

もちろん、お金がなければ何もできないと考えてしまうと生きづらさが残ります。

老後資金が潤沢だから幸せか?と言われても、YESと言える人、NOと答える人もいます。

貯蓄や資産は邪魔にはならないものの、これを目的に生きてしまうと本末転倒です。

一番大事なことは、健康で過ごしながら人生を楽しむことに尽きます。

そのために、老後資金のこと、働き方のことを考えて、準備をしておきましょう!というスタンスを忘れてはいけないのですから。

60歳貯蓄ゼロという状況でパニックにならないために、『60歳貯畜ゼロでも間に合う老後資金のつくり方』を読んでおくことをオススメします。

参考サイト

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安斎 輝夫
安斎 輝夫
【サードプレイス】ブロガー 、安斎輝夫。長年サラリーマンとして家庭と職場だけの生活に疑問を持ち、2017年から「サードプレイス」を研究・実践し、人と人をつなぐコネクターな存在になろうと決める。
Expand your life with energy and support. というミッションを定めて、人生を一緒に拡張していける仲間を増やすために活動を展開。月1回のリアルなイベント「サードプレイス・ラボ」の運営するリーダー(主宰者)。また、6人で執筆する、週刊「仲間と一緒にワクワクしながら、大人が本当の夢を叶える!サードプレイス・メルマガ」(まぐまぐ)の編集長。Facebookページおよびグループの「サードプレイス・ラボ」も運営中。