喜劇のような映画には、実際は、真実の課題が盛り込まれているもの。
映画「老後の資金がありません」は、現代の長寿社会の日本人にとって切実な話でありながらも、楽しく、切なく伝わってくる作品でした。
とても笑えない話をコメディのように作れる邦画って、なかなかのポテンシャルがあると感じますよね?
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老後の資金がない!という一言が誰の胸にも刺さる
老後の資金がない!としたら、どうやって人生の最終盤を生きればいいのだろうか。
もはや働くことも、現役世代(子どもたちや孫世代)に頼ることも厳しいとしたら、もはや、手の打ちようがないかもしれない。
誰もがそんなことが頭をよぎきるからこそ、この映画のテーマ設定は秀逸で切実な話です。
セレブ姑の草笛光子さんが、ものすごく効いていた作品
主役が人気女優の天海祐希さんだったことは間違いないのですが、この作品を深いものにしているのは、明らかに、超ベテラン女優の草笛光子さんの存在です。
ご年齢を考えると、セリフも芝居も大変なのではないかと思うのですが、飄々とこなしている姿は、以前と変わらない女優の凄さを感じます。
旦那のリストラ、退職金問題、そして、年金問題に、息子の就職と娘の結婚式費用など、金融資産が減りながら、突発的な支出が増えていく展開に、主人公たちと同じ目線で苦しさを感じます。
その展開を後半に向けて、草笛光子さんの出番が増えて、主人公夫婦がラストにあのような人生設計展開をすることを予想できた人は少ないでしょう。
老後2000万円騒動から世間は注目したものの
この映画「老後の資金がありません」が作られた背景は、「老後2000万円騒動」が社会で騒がれて、不安を煽られたことがあるのではないでしょうか。
あの直後、誰もが、2000万円なんて用意できないし、どうすればいいのだ?!ということで、頭の中が混乱していたことでしょう。
老後に差し掛かると、予想できない出費が出てきます。
大病をしての入院・治療も、介護が必要になる事態も踏まえると、手元資金なんて心許ないものです。
もちろん、公的な社会保障制度を活用するにしても、限界があるのは避けられません。
この映画の中で、主役夫婦たちは、あたふたしながら、お金がなくなっていくことへの恐怖とバタバタに立ち向かっていきますが、簡単に解決できずに苦しみます。
明日は、我が身に起こりえるストーリーとして身につまされながら見てしまいます。
老後に支出は増えるが収入がない姿は想像できる
では、老後に向けてひたすら現役世代の頃から貯蓄や資産運用をしていけばいいのか、といえば、その時点でも必要な生活費用があるわけで簡単には行きません。
ただ、現役世代であるという点で、自らが働けるということで乗り切ろうとするものの、シニア世代でバリバリ稼げるかというと、簡単ではありません。
わずかな年金だけで生活を送ることができずに、一方で支出も減らしきれないラインがありますから。
この困った世代の親世代たちが、無造作なまでに明るく乗り切れちゃいそうな雰囲気が笑える作品ではあるものの、現実には簡単ではありません。
最低限以上の生活水準を維持するために必要となるお金を確保しないと、大変だというスタンスは、映画のテーマの根幹でありつつも、誰もが納得できる話です。
楽しく生き続けて人生を終えるためにマネープランは欠かせない
楽しく生き続けて、人生を終えるためには、生きがいを持つことと、健康であること、それらを維持できるお金がなければ成り立たないのも理解できます。
時代は、貯蓄から運用・投資にシフトしかけていますが、リスクを取りつつも、自分の後半人生をお金で苦しまないために、準備をすることと、それを気にしないぐらいに楽しめる生き方を構築することが大事だと感じました。
最後は、なんとかなるものだ!という楽観論ぐらいを持って生きないと、日々、気持ちが暗くなってしまうので。
重く考えずに、楽しく見てもらいたい作品です。
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【サードプレイス】ブロガー 、安斎輝夫。長年サラリーマンとして家庭と職場だけの生活に疑問を持ち、2017年から「サードプレイス」を研究・実践し、人と人をつなぐコネクターな存在になろうと決める。
Expand your life with energy and support. というミッションを定めて、人生を一緒に拡張していける仲間を増やすために活動を展開。月1回のリアルなイベント「サードプレイス・ラボ」の運営するリーダー(主宰者)。また、6人で執筆する、週刊「仲間と一緒にワクワクしながら、大人が本当の夢を叶える!サードプレイス・メルマガ」(まぐまぐ)の編集長。Facebookページおよびグループの「サードプレイス・ラボ」も運営中。