世界中の映画祭で絶賛された「ケイコ 目を澄ませて」をAmazonプライムビデオで見ました。
女性ボクサーの作品といえば、クリント・イーストウッド監督の「ミリオンダラー・ベイビー」が有名ですが、比較しても、耳が聞こえない、ケイコの醸し出す雰囲気がとても良くて、評価されるべき映画だと感じます。
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目で伝わるから価値がある映画です
表情で語る、言葉で伝える、当たり前の世界観が通じないなら、目で相手に訴えることが必要になります。
この作品のケイコは、理解されない想いに苛立つことはあっても、どこまでも、目と姿勢で相手に伝えていく根幹は最初から最後まで変わりませんでした。
だからこそ、世界の映画祭で讃えられたのだと推測します。
岸井ゆきのを抜擢したから成功した作品!
ちょっと癖が強そうな雰囲気を漂わせる、女優・岸井ゆきのさんが、聴覚障害を抱える女性のプロボクサーとして演じ切っています。
背も高くないし、リーチ(腕の長さ)もないのに、耳が聞こえないハンデを乗り越えて、ポクシングに打ち込んでいく姿。
当然、彼女の生きる世界には、音が聞こえないのだから、彼女は目と心で周りと触れていく。
すごい女性ボクサーというよりは、一般的な人物が悩み、苦しんでいる様子も伺いながら、全く言葉を発しないまま、作品が展開されていきます。
彼女の無愛想な表情を軸とした演技力がなければ成立しなかったのは言うまでもありません。
障がい者も社会の中で生き続けるのは当然なのに
さまざまな障がいを抱える人たちが生きるのが普通な社会になりつつあるとは言っても、どうしてもコミュニケーションや感覚には違いがあるのは避けられません。
ドラマや映画にすると感動的な心の物語として設定しやすいのでしょうが、バイアスがかかっている要素があるのではないでしょうか。
スポーツ選手として、ハンディを感じないわけはないのに、戦い続けるシーンは引き寄せられました。
パラアスリートとしてではなく、一般の女性プロボクサーとして立ち向かう姿の演技が素晴らしかったです。
身体を使い切って、全力で演じている姿
ボクシングという格闘技は、体力も減量も、ボロボロになりながら、相手に向かい、拳をぶつけるスポーツです。
強くなるために地道なトレーニングを続けても、相手との戦いの中で勝敗ははっきりと分かれます。
このボクサー役を言葉を発せずに演じきり、周りのベテラン俳優陣の力も借りつつ、物静かな作品でありながら、相手の心に届くような展開力はさすがです。
原案に『負けないで』の小笠原恵子が関わっていることで、ノンフィクションではないものの真実味が増した作品に仕上がっています。
身体が衰えていくボクシングジムの会長役の演技をこなす、三浦智和も自然で素晴らしいので引き立て役として最高です。
なぜ、ケイコがボクシングを始めたのだろう
耳の聞こえないケイコがボクシングを始めたのはなぜでしょうか?
おそらく、子どもの頃、いじめられたり、馬鹿にされるという場面に遭遇して、その反発精神を拳にこめてチャレンジした結果だと思います。
ものすごい高い目標を掲げることもなく、毎日、コツコツと練習を重ね、ホテルのベットメイキングと清掃の仕事に打ち込む姿は、アスリートの地道な姿として、誰もがリスペクトできるものでした。
勝ち負けは時の運ですし、自分の能力と相手の力の差は絶対にあるわけで、誰もがチャンピオンになれるわけではありません。
ケイコみたいな女性ボクサーのような存在が社会にたくさんいるはずだと気付かされつつ、自分が本人と接したら、どのようにコミュニケーションを図れるのだろうと考えながら、見終えた作品です。
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【サードプレイス】ブロガー 、安斎輝夫。長年サラリーマンとして家庭と職場だけの生活に疑問を持ち、2017年から「サードプレイス」を研究・実践し、人と人をつなぐコネクターな存在になろうと決める。
Expand your life with energy and support. というミッションを定めて、人生を一緒に拡張していける仲間を増やすために活動を展開。月1回のリアルなイベント「サードプレイス・ラボ」の運営するリーダー(主宰者)。また、6人で執筆する、週刊「仲間と一緒にワクワクしながら、大人が本当の夢を叶える!サードプレイス・メルマガ」(まぐまぐ)の編集長。Facebookページおよびグループの「サードプレイス・ラボ」も運営中。